#趣味で講義を受ける 【早稲田法学部編/メタバースと知的財産権】

青々しい木々に囲まれた大隈重信が、大隈講堂を見つめている、ように見える。木々の下には学生だけではなく、スケッチをしている人や大隈重信について熱く語っている人などもいて、彼らも負けじと青々しい。「労働者・学生統一行動にあつまろう!」という立て看板さえ青々しい。

まもなく8号館で「法学部横川敏雄記念公開講座」の貼り紙を見つけて入館する。自習している学生がちらほらいるが、こちらを一瞥もしない。私はまるで学部生かのような顔をして会場である教室へ辿り着く。

早稲田大学早稲田キャンパスに足を踏み入れた目的は、公開講座を受講するためである。

今年の春頃に東京大学で東大院生の研究発表を聴いてからというもの、大学が主催する公開講座を聴くことにハマっている今日この頃。今は、私の人生の中でも結構いい感じに知的好奇心が抑えられてないフェーズで過ごしている。

そういった公開講座を色々受講してはいるものの、受講しっぱなしになっていて勿体ないので、ちょうど最近エッセイを読むのにもハマっているところだったし、復習も兼ねて記録を残してみようと思って書いてみる。
講義内容についても記すけれど、おもしろかった部分だけ抽出して、詳細は書きすぎないようにするつもりではある。もし差し支えがありそうだったらすぐに修正もしくは非公開にしたいと思うので、連絡をいただければ幸いです。

今回は、2023年度 早稲田大学法学部横川敏雄記念講座「メタバースに係る先端技術と法学からの問い」の第2回。土曜3限。しっかり90分オーバー。

全5回の講義のうち、第1回はオンラインで受講していたが、第2回「メタバースと知的財産権」は知的財産権をご専門とされている早稲田大学 法学学術院 大学院法務研究科 上野教授が直々に教鞭を取られるとのことで、またと無い機会かと思い、秋風を感じながらはるばる大隈重信に会いにきたわけである。
そもそも私の勤めている会社はメタバース事業にかなり注力しているし、個人的にも最近もうずっと知財のことばかり勉強していたので、そのコラボレーションとしては私得な講義だなと強く関心を持っている状態で参加を決めた。

講義の内容としては、上野教授による日本法に書かれている著作権法や商標権の基本的な解説とともに、それらをメタバースに持ち込もうと思った場合にどれをどのように適用していくべきかという解釈を示していく、といったような内容であった。
知財について勉強していることもあり、大学時代に受けた法学系の授業よりは遥かに理解しやすい。

具体的には、「渋谷をメタバース化する際に、“忠犬ハチ公”をメタバース上に再現した場合、それは著作権法を侵害するか?」という問題に対し、

著作権法46条「美術の著作物でその原作品が前条第2項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。」

→「原作品」そもそも忠犬ハチ公が「原作品」ではないかも?
→「屋外の場所」メタバース空間は屋外扱いか?そもそもイギリスや韓国では規定がない。
→「美術・・・又は建築」写真や言語や音楽は対象外?

などというような指摘を踏まえて解釈を展開していくといった感じである。

ほう、確かにメタバース空間は屋内でも屋外でもなく、言うとすればコンピュータ内でしかない。そもそも立法の段階でなぜ「屋外の場所」と制限したのだろうという疑問も浮かぶ。

そのほかの指摘としては、

・仮想空間のアイテムに、リアル世界の意匠権が及ぶか?
・商標権は、登録の際に商品・役務の指定(「靴」「服」といったように)が必要だが、「仮想空間上の靴・服」は、ただの「データ」ではないか?
・めっちゃ細かく設定できるアバターは著作物扱いとなるか?

といった内容であった。どれもおもしろい。

最も興味を持ったのは、そもそもメタバースに適用する法律って、どの国の法律なん??という問いだった。

これはメタバースに限った話ではなく、メタバース然りSNSといったインターネットを通じて全世界からアクセスが可能なワールドというのは、私個人としては「国」とか「国境」とかいう概念がそもそも存在しない特殊空間であると感じている。全国家からの治外法権が叶ってしまう空間である可能性とか。

法律ひとつとっても、国によって規定や表現が異なる。民族や文化が違うから当然である。

日本法がそのまま適用されるとは到底考えられないワールドについて、どこの国の法律が適用されるのか(どこの国が管理するのか?)、それとも誰かが(誰が?)主導して(どうやって?)立法していくのか(法たり得るか?)、ちょっと難しそうである。これに対し、国際的に議論を重ねていく必要があると上野教授は仰っていた。

こんな感じの講義を受けてこんな感じのことを思いつつ、私ってリアルワールドに生きる人間なんだよな〜、私って日本法が適用されて日本法に守られ日本法に見張られている存在なんだよな〜、やっぱり法って人に根差しているんだよな〜、と実感したりしたのだった。

知的財産管理技能検定3級、がんばろうっと。

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