マイベストソング2023!を決めて、その所感を漫才師に重ねつつ書いてみる。

私は、音楽が好きだ。
取り分け、日本の音楽が好きだ。
2023年もたくさんの音楽に触れてきた。
そんな中で、ベスト10を決めてみたい。

一応ルールとしては2023年に日本で発表された曲ということで。

ただ感想を書いてもつまらないから、
漫才師にも重ねて書いてみようと思う。

基本的にはサブスクにある曲ばかりなので、
ぜひ聴いてみて欲しい。

順番は特に意味ありません!

・唱/Ado

歌姫は独壇場から見下ろしながら、聴衆からの高まる期待に本人はまるで気づいていないかのように自由に舞う。神憑り的な抑揚と重低音に我々はただただ耳を奪われ、圧倒されるしかないまま過ぎ去る一瞬。それはあの夜の霜降り明星のように。そして私たちは完全に屈服する。

・ひるねの国/chilldspot

ちょうど追いていかれない程度の流暢なリリックに気持ちよく抱かれながら、もう一度、もう一度と求めてしまう。堕落した私のことを何度も受け入れてくれるくせに、親密な雰囲気は無い。この曲はこの曲のために存在している。トム・ブラウンはトム・ブラウンのために。

・Start over!/櫻坂46

令和ロマンがあの夜ふざけながら階段を下りてきたように、何かを予兆させる挑発的なスタートを切る前奏。Aメロの弛まぬ緊張のあとに続く、Bメロの緩和は表面上だけのもの。そしてサビで一瞬落ちる音階に耳を疑う。櫻坂にしか歌えない自己啓発。あなたは何を思うのか。

・こっから/SixTONES

軽妙な疾走感と躍動感溢れる主人公感は、実は安定した歌唱力に支えられている。過去の楽曲では個の得意分野が反映された曲が多い中で、今作は6人のノリがまとまって耳心地が良い。ただのアイドルに留まらず音楽の最前線を走り続けるSixTONES。ただの一発屋に留まらず最前線を走り続けるオードリー。二組の勢いはこれからも止まらない。

・瞳のランデヴー/フジファブリック&フレデリック

単発的なフューチャリングであると信じられぬほど、生命個体として必要な構造と意志を十分に備えた存在感。我々がフジファブリックに求めるものとフレデリックに求めるものへの、完璧な理解。それはおいでやす小田とこがけんが組んだあの4分間にも勝る輝かしい脅威。

・ロングロングハイウェイ/浦小雪

地下鉄に乗っていても青空が見えるほどの透明感と爽やかさを保ちながら、海風は吹く。今すぐ旅に出てしまおうか、ヨネダ2000の愛ちゃんのTシャツのイルカにでも会いに行こうか、と思うほど高揚させてくれたかと思えば、ふとエモーショナルに涙が浮かんでしまうほどの暖かさ。「飛ばせ!ロングロングハイウェイ!アクセル踏み込め、あの日の感動や笑い声よ、君の思い出の片隅だけでもあたためて」。若くて頑張り屋なあなたへ送りたい曲。

・Cosmic Pillow/Kroi

宇宙に迷い込んでベースに酔いしれて溺れたい。次の杯へのペースが気づかぬうちに段々とアップしていく。「こんなんで足りるんすか?」と前衛的に私を攻め立て続ける。飛び跳ねるように生かされた音たちは留まるところを知らぬ。半端ない安定感を維持するリズム隊を信頼し切ったボーカルはフリーダムに遊ぶ。半端ない安定感を維持するツッコミを信頼し切ったボケはフリーダムに遊ぶ。そうそれはマヂカルラブリーに重なる。

・REVENGERS!(feat.kZm)/VaVa

体内にまで響く重たい打ち込みと、それに負けぬほどの疾走感のある言葉の韻律に脳を揺らされ続ける体験。日本において早い段階でジャージークラブの流行を取り入れる嗅覚がとにかく素晴らしい。蓋を開ければ、バキバキ童貞、5等分の花嫁、それでいてラピュタ、黒ベンツ。鋭い嗅覚を武器に、巧みにワードを選択し自由に構成する姿は、真空ジェシカに重なる。息継ぎする間もなく重たく速く進む中で、時折見せるキュートさが余計に虜にさせる。

・あたしの全部を愛せない/a子

嘲笑するために聴きに来た者を掴んで一蹴する。ウエストランドはちゃんと漫才が強いのだ。か弱そうでいて芯の通ったボーカリストに抱くのはきっと恋心。それなりに失恋した時に聴きたい。「あの夏のことを傍に今一度思い出しては生き返る」は2023年におけるマイベストリリック。短歌としても声に出して読みたい。

・空とぶ東京/CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN

君と過ごす夜は、幸福で、甘くて、でも切なくて、まるで夢のようなのです。まるで東京の空中をただゆっくり浮遊しながら街を見下ろしているように客観的でいながら、段々と本気になっていく私。今のことを歌っているのか?ある日のことを歌っているのか? 東京の夜に君に恋した歌は数あれど、彼らが編み出すメロディの不安定さが、この夜を一層刹那的にさせる。ランジャタイは不安感の塊であるが、その心地よさに一度気づくとと抜け出せないように、この曲は夢を繰り返させる。


こーんな感じでした。
漫才師を無理やり組み込むと、変。
是非聴いて感想をくださいませ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?