見出し画像

新卒人事に赤裸々に聞くシリーズ「志望動機は『御社の○○に共感しました』を語る」あじゅまるさん(7/n)

あじゅまるさんプロフィール


メーカーの人事。新卒の採用も担当。自動車メーカーの営業から転職した経験を持つ。
あじゅまるさんnote:あじゅまる|note


前回の記事はこちら

「エピソードは数字で示せ」にこだわりすぎるな

ーそれと、就活の噂とかでは「エピソードは数字で示せ」っていうアドバイスが飛び交っているんですけど、数字はそんなになくていいんですか?


 
『そもそもなんで「数字で示せ」って言われるかというと、ビジネスの報告は基本数値で事実をベースに根拠を並べるので、それが出来ますか?とかって求められている部分もあると思います。でも、淡々とした数字には感情が入らないので人間性を見たいときには合わないんですよね。人数と時間の2つは思い出話として「本人の頭の中にしかない経験のイメージ」を面接官と一緒に見るときイメージしてもらうときに役立つんですよ。
 
その他の数字は「あれば頼れるもの」っていうぐらいで、基本的にはそこに至った思考やプロセスですよね。最悪、実績面でダメだって言っても、「その経験を得て、次こういうことしたいと思ってる」って語ってもらった方が全然いいです。』
 

ーあ、そうなんですね。じゃあやっぱ自分のやってきたことを素直に語るっていうのが、やっぱり一番いいんですね。


 
『そうですね。だって、そもそも数字で分かりやすく示せるすごい経験をしてる人がいないということもありますし、強力な経験がなくても自分の勝負できる経験を語るだけで「人事の人は深堀り質問しながら見抜いてくれる」っていうのもあると思います。』
 

ーたしかにそういうことなんですね。

 

志望動機は「御社の○○に共感したか」を語れ

『次に、志望動機の作り方は「何に共感したか」なんですよ。なので、さっき第一志望じゃないと志望動機が書きづらいって話があったじゃないですか。そうじゃなくて、「御社のこんなところに共感しました」が、まず一言ボンと結論になってくるんですよね。』
 

ー共感なんですね。


 
『共感ですね。
 
そもそもホームページなのか、インターンなのか、座談会やOB・OG訪問なんかの社員の雰囲気なのか、説明会なのか、何でもいいと思うんですけど、志望している企業の『なにか』に共感した。

それは、取り組んでいる内容なのか、企業スタンス・姿勢みたいなものなのか、その会社が発信しているメッセージみたいなのか、そういうものを最初に結論として持ってくると良いです。

メッセージが一番多分やりやすいと思うんですけど、メッセージがない場合もあるんで共感できたポイントを探すことが大事ですね。』
 

ネットテンプレ回答とは

ー私ずっといろんな人に言われたのが、「その会社で活躍できる理由を最初にもってこい」みたいなこと言われたんですよ。「私はこういう経験があって、行動力やリーダーシップがあるので、御社でのこういう仕事に活躍できます」っていうのを人事の頭の中に想像させたら勝ちだよ、みたいなことずっと言われてたんですけど。


 
『あー、それは多分、ネットに転がってるテンプレと一緒かもしれないですね。』
 

ガクチカ、志望動機、自己PRのそれぞれの立ち位置の整理

ーあ、そうなんですね。


 
『それに今の話ってよく言うんですけど、「私、○○力があります」って言うじゃないですか。「○○力がある」は自己PRで良くて、「それを使ってこんなことしたい」とか別にいらないっていう。』
 

ーあ、そうなんですか?


 
『はい。で、「学生時代頑張ったこと」も○○力が身についたんじゃなくて、そうやって頑張った「こと」だから「事柄」でいいですよね。例えば「私は文化祭の実行委員やりました」とか。』
 

ーそれで終わりでいいんですね。


 
『そうです。「学生時代に頑張った」っていう事柄を、「なんでやろうと思った?っていう動機(行動に移すときの思考)」、「どんなふうに頑張った?その結果は?(個人やチーム組織でどう立ち回るのか、結果を受けてどうしていきたいのかという思考)」を話す、ただそれだけで良いです。それで何が身についたとか、何に活かしたいとかは別にいらないです。事柄と結果を聞いてるんで。』
 

ー初めて知った。文章本当に読めば、「学生時代に頑張ったこと」なので、事柄を答えるって「そりゃそうだよな」っておもうんですけど、色々ナビサイトとか見てると「就活って、ガクチカは○○力で締めないといけない」みたいなことが結構共通して書いてあるんですよね。


 
『はい、そうですよね。それこそホントにネットに転がってるテンプレ情報はあまり信じない方がいいですいいです。』
 

ー人事の目線だとそこはあんまり興味ないんですね。


 
『全くないですね。
だから「○○力付きました」は自己PRでそれが分かればいいって感じです。

「自分には○○力があって、それって△△といった経験で身につきました。その○○力は高校時代の部活で身につきましたが、大学時代では□□活動で☆☆のように活かされました!終わり。」みたいな感じの文章でいいんじゃないかなっていう。』
 

ーガクチカが学生時代に頑張った事柄、志望動機は企業の想いに共感みたいな感じになってくると。


 
『そうですね。
 
まずメッセージですね。例えば僕がいる会社で例えると、「未来を素敵にする」や「新しいカルチャーをつくる」というメッセージを最近は強く打ち出しています。
 
志望動機には共感した部分をってことで、「その言葉にめっちゃ共感しました」とかっていうのを一発目に持ってくるんですよね。例えば「御社の未来を素敵にするという想い・理念にものすごく共感しました」みたいな。
 
で、なんでかっていうと言うので、ここでESや面接で伝えてない自己PRやガクチカとは違う経験を持ってくるんですよ。「私、アルバイトで飲食店で働いてるんですけど、大量の食品破棄があって、食品ロスがめっちゃすごくて、私のやってる仕事ってお客さんは笑顔になってるけど、裏で環境問題がエグいことになってるんだろうなって思ってたんですよね」みたいな。』
 

ーおー、すごい!


 
『これ本当に「未来を素敵にする」ってメッセージを志望する会社が大事にしているんだったら、それに沿ったことに繋げられれば、どんな経験でも語れるじゃないですか。テクノロジーの話でもいいですし、心が豊かになるみたいな話でも良いし、環境問題みたいな話でもいいです。だから会社のメッセージって汎用性が高いんです。その会社が言ってた強めのメッセージをポンと持ってきて、それについて自分の経験談・経験値になったものを語る。
 
「○○ な時に御社の説明会でこんな話を聞いて、まさに私のその悩んでいた部分を解決できると思った」とか「貢献できる会社ってここだと思ったんですよ」みたいなかんじでもってくるんです。』


この記事が参加している募集

採用の仕事