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interview9/お坊さん、死ぬことは怖いですか?

お坊さん(都内のお寺のご住職) 

少し前、祖父の七七日法要がありました。
ご住職がお話ししてくださった説法と、
そこでのやり取りになんだか心が温まったので、
記事にまとめてみようと思います。

(お話を聞いた日:2022年1月)

「信仰」はなんのために。

――(ガラガラガラ)こんにちは。

お坊さん
ああどうも。すみません今から着替えますね。

――普段着、初めて見ました。茶色いシャツと作務衣の青いパンツ。おしゃれですね。

お坊さん
ああそうですか。私らも普通の服を着るんですよ。
この頭だからスーツなんかを着るとね、そういう職業の人って勘違いされちゃう。だからスーツの時は帽子が必須です。ははは。

(お坊さん、身支度へ。そして法要へ。)

お坊さん
本日はありがとうございました。終わりに説法をひとつ。「七七(四十九)日」というのは、亡くなった人が次の命を授かり、生まれ変わる期間のことです。これまで善い行いをしてきた方や信仰に厚い方は、命日から数えて最初の7日間、「初七日」と言われる間に、人間として新しい命を授かり次の母体の中に入るとされています。

――あまり善いことをしてこなかったという人はどうなるんでしょうか……。

お坊さん
生まれ変わるまでに少し時間がかかりますが、どんな人でも全員、49日中にちゃんと生まれ変わります。49日内の1週間ごとに「善い行いをしてきた方順」に生まれ変わっていくんです。たとえば大きな罪を犯してしまった方の場合、命日から7週間後、つまり49日中の最終週に、新しい命を授かるとされています。

ですからつまり、どんな人でも人生をやり直すことができるということです。「あれができなかった」「こういう人間になりたかった」「もっと長く生きたかった」。こういった思いは、次の人生に生かすことができる。私たちは、前世に生きた人の「じゃあ次はこう生きよう」という思いを継いで、生きています。ですから私たちは、自分の信じる方向に進んでいいのです。そこに間違いはありません。
前世の方の人生があって今の自分がいるということを、ありがたいことだと思いながら生きていきたいですね。

そう思うと、気持ちが軽くなるでしょう。信仰とはそういうものです。わたくしどもが信じるものはそういう風に、自分の失敗も後悔も受け入れてくれる。信仰とは、“心のよりどころ”なんです。

――ちなみにお坊さんは、死ぬことは怖いと思いますか?

お坊さん
それはもちろん怖いですよ。でも、自分の中に生まれた「あれできなかった、これできなかった」っていう後悔は気にしていません。だって生まれ変わりますから。次はああやって生きればいいんだから、くらいに思っています。

――お坊さんにそう言われると、なんだか励まされます。今日はありがとうございました。

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――あ、猫!

お坊さん
この庭に暮らしてるんですよ。9年くらいの付き合いで。中には上げていないんですけれど、餌もあげているので飼ってるようなもんです。といっても私からはあまり触らず、甘えてきたら、おでこをちょんと触るくらい。

――かわいいですね。名前はなんですか。

お坊さん
名前……そうですね……名前という名前はないんですが、「ごはんだよ」って声をかけてるので、本人は自分のことを「ごはん」って思ってると思います。だから、「ごはん」です。
(餌をあげながら)ごはん~、ごはんだよ。

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(おわり)


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