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無知な人が会社を設立した話

18年半のサラリーマン生活を終えて2020年7月に会社を設立しました。

よし、起業すっか!と決めてから会社を設立し現在に至るまで「え、なにそれ」みたいなことが本当にたくさんありました。自分がどれほど無知で世間知らずだったか。それなりにGoogle先生のお世話になり、いろんな情報をリサーチしていたにも関わらず、です。

これをやろうとするとその前にやらないといけないことがあったり、あれをするためには先にこれ、とかとにかく僕は結果的に結構遠回りをして効率的に設立はできませんでした。然るべき順番をちゃんと知っていれば良いのですが、残念ながら世の中の情報はぶつ切りで連続性がないため、無知な僕にはとてもスムーズに進めるには難易度が高かったです。

40歳にもなって無知すぎる自分が恥ずかしいのですが、これから独立なり企業なりしようと思っている人の役に立つかな、と思いnoteに残すことにしました。


まずやること(社名と所在地をきめる)

まず、株式会社にするのか合同会社にするのか決めます。それぞれのメリットデメリット等は以下参照。ちなみにfreeeのコンテンツにはとっても助けられました。感謝です。

僕は合同会社にしましたが、これは会社を将来的にどうしたいのかによるので、IPO狙って天下とるぜ!という人は株式会社でしょうね。

次に、社名を決めます。結構悩みますね。どういうコンセプトでビジネスをするのか、何をビジョンとして掲げたいのか、どうありたいのか、などなど色んな言葉を繋げたりひっくり返したり。いいじゃんこれ!と閃いたらその社名でググってみます。他にこの社名を使ってる会社はいるかな?と。
まぁ凡人の考えることなので、閃いたとはいえ世の中の想定の範囲内。ほぼ間違いなく既に同じ社名の会社があります。ちなみに前職のメンバーに「向井企画」と提案され、一応調べてみたらありました。向井企画。岡山に。

結局僕はブリヂストンの社名の由来と同じようなロジックで社名を決めました。向→向かう→Direction、井→井戸→Well、ということでWell Directionです。文法無視で、意味合いは「クライアントを良い方向に導いて成長させる」という事で会社のコンセプトというかビジョンにマッチするじゃん!ということをタイ料理のランチを食べながら思いつきました。

会社を設立するにあたり、定款(ていかん、と読みます)を作る必要があります。

僕はこの時点でfreeeを契約しました。なぜならこのコンテンツを読む中で、こんな内容が目に入るワケで。

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へー!そうなんだ!まだよくわからんけど会計って大事だろうからfreee使うことになるだろうし、年間契約して定款作成代行をタダでやってもらっちゃおう!って安易に飛びついたワケです。うまいよなぁやり方が(褒め言葉)。

で、電子定款の作成代行の依頼をWebページからやっていくのですが、社名を入れた後に「登記する所在地」を入力する必要があります。当たり前です。社名を決めてよっしゃーこれでOK!と思っていましたが、当然所在地が必要で、無垢な僕はいきなりここで詰みました。
人より少し頭が悪い僕でも「自宅住所はマズいよな。謄本取り寄せたら自宅住所バレバレじゃん」くらいはわかっていたので、電子定款の作成は社名を入れた時点で中断し、会社用の所在地を早く安くゲットするためにリサーチを開始しました。

ちなみに電子定款にすると定款用の収入印紙代40,000円が不要になります。定款を使う時なんてそうそうないので、電子一択が正解かと思います。

新型コロナの影響で2020年7月時点では既にリモートワークが定着し始め、ほぼ全てのミーティングはオンラインで実施していましたので、自然と「リアルにオフィス構えても使わんやん」と思っていたのでWeWorkに代表されるシェアオフィスは選択肢から外し、住所だけ使える「バーチャルオフィス」を探すことにしました。僕の新しい仕事もノートパソコンひとつあれば世界中どこからでも仕事になるものなので、登記できればいいよね、という安易な考えです。

比較サイトや明らかにこれアフィリエイトだろうが!と思えるようなブログを調べてたどり着いたのが「ワンストップビジネスセンター」という会社が提供しているバーチャルオフィスです。

名刺に「港区南青山」と入るのってカッチョいいし、どうやら港区は信用レベルがちょい高いらしいよ、という情報も目にしたので青山本店で会員登録しました。プランは1番安いやつで、月額4,800円。1日160円です。
実はもう一つ候補があり、知り合いの起業家の人が勧めてくれたのですが、現地の内覧をして手続きをするという流れだったので、とにかく1日でも早く所在地をゲットしないと登記できない!と焦っていた僕は「スピード」が最優先の意思決定基準だったので2つ目の候補は落選となりました。

ちなみにバーチャルオフィスといっても実際にその場所には受付と会議室、郵便受けがあります。行ったことないけど。会議室はネット予約で1時間1000円で使えるそうです。使ったことないけど。郵便物は週に1度、まとめて自宅に送ってくれます。これは月額費用に含まれます。

非常に簡単に安く法人用の所在地を手に入れることができるので、中には悪いことをする会社をバーチャルオフィスの住所で作る輩がたくさんいるらしく、バーチャルオフィスのデメリットとして銀行口座の開設が難しいというリスクがあるそうです。でも実際なんとかなったので、銀行口座の開設のコツについては後述します。

そして無事1週間位で諸々の手続きが終わり、中断していた定款の作成代行依頼をfreee経由で行うことができました。事業内容はとにかく今後可能性があるものは全て書いておくべし、という先輩からのアドバイスを受けて10個以上思いつくままに書いていきました。後から「やっぱり俺、このビジネスもやったろうかな」と思って定款を修正することになった場合、10万円くらいかかると聞いていたので、想像できる範囲でなるべく広めに書いておくと良いそうです。

こうして会計freeeの年間契約をし(これも安くて月4,000円位)電子定款の作成代行を無料でやってもらう手続きをポチポチっと済ませました。あとは待つのみ。

- サーバーを借りる

さてその間やることは、ホームページを作ってみたいし、メールアドレスも用意しないといけないよね、ということでまずはドメインを取らねば!と思うものの取り方なんてわかりません。でも大丈夫。ちょっとググれば出てきます。僕が使ったのはこちら。

GMOペパボが運用してるなら大丈夫っしょ、ということで特に他と比較せずに決定。

ドメインにはたくさん種類があります。co.jpが最も一般的ですね。そのほか.comとか.jpとか、面白いのは.tokyoとかあるんですね。僕はコスパと見た目のバランスで.jpにしました。どういうときに使うかというと、メールアドレスとホームページ。例えば僕のメールは mukai@welldirection.jp なのですが、これを@welldirection.tokyo にするなら非常に安くなるんですね。しないけど。

ドキドキしながら取りたいドメインを入力します。「welldirection」が.jpで取られてないかどうか確認できるのですが、「取得可能です」と出た時には安心したと同時に「早く確定しなきゃ!」と心拍数が無駄に上がったことを思い出します。甘酸っぱい思い出です。ウェルディレクションっていう社名は調べた限り国内では僕の会社だけなので、このドメインを取る人はいるわけもないのに。

無事ドメインをゲットしたら次は「サーバーを借りる」です。

サーバーを借りる?どういうこと?何に使うの?必要なの?
と思う人も多いと思いますが、
- 会社用にメアド作って仕事の連絡はそこでやりたい
- 会社用にホームページ作りたい

という場合はさっさと申し込んでください。このへんいちいち細かい仕組みを理解しにいこうとすると時間をロスします。とりあえず今は会社を設立することが目的。それに関連する諸準備を進める上で「サーバーとは」とか調べていくのは寄り道でしかありません。

僕はムームードメインを運営しているGMOペパボと心中すると決めて、同社が運営している以下に決めました。

ムームーだのロリだのポップだの、なんか軽い感じがしますが、大丈夫です。たぶん。後々になってサーバーどこの借りたの?という先輩起業家に聞かれて「ロリナントカ」って答えたら「ああ、ロリポップね、いいじゃない」となぜかお墨付きをもらいました。どうやら他のポピュラーなエックスサーバーというサービスが障害で止まったりしててロリポップに乗り換えている人が続出しているらしいという話を聞きました。

ロリポップで年間契約をし、取得したドメイン名を入れてサーバー名とポート番号をパソコンやスマホのメール設定から入力。プライベートで使っているGmailから「てすと」と題した記念すべき1通目のメールを送ってみて、無事受信できたことを確認してメールは完成。

さらに、せっかく会社を作るのでホームページを自分で作ってみたいなーと思っていたので、これまたいろいろと調べて行きついたのがWordPress。難しいWebのプログラミング知識なくてもホームページが作れるというものです。

そしてどうやらテンプレート、というものが色々あるということを知り、このテンプレートを選ぶとそれなりに見栄えの良いデザインで作れてしまうという素人に優しい?仕組みとのこと。
でも何か雰囲気が違うんだよなぁ…と思って調べると数多くの有料テンプレートが存在し、それを買うとよりカッチョいいデザインでより自由に作れるらしいではないか。ということで「WordPress 有料テンプレート おすすめ」でググると出るわ出るわアフィリエイトとステマらしきブログの嵐。どいつもこいつも特定のテンプレートを異様に持ち上げていて、段々と腹が立ってきた僕は知り合いの中にホームページ作成を生業にして仕事をしている人を思い出して連絡をとることにしました。彼の名は戸田くん。Mikoshi Storysというメディア運営企業の代表をし、ウェブ制作やフォトグラファーとして活動しています。

その彼が勧めてくれたのはこちら。

慣れない領域で雑味だらけのネット情報に疲れた僕は、何の疑いもなくこれをポチッと購入し、とりあえずガワの部分だけハンズオンで彼に教えてもらいながら作ることにしました。コンテンツはあとから加えれば良いので、全体のデザインや構成を教えてもらいながら作りました。タダで教えてもらうのも悪いので、彼のもう一つの仕事であるプロフィール写真撮影を依頼し、撮ってもらいました。

- ハンコを作る

そうこうしているうちに電子定款が出来上がり、これを必要書類と合わせて法務局に提出せよ、という指令がfreeeから来ました。さていよいよ登記か!とワクワクしながら「登記に必要なもの」を調べると、以下の記事が。

そうだ。ハンコいるやん(遅

このデジタルの時代、そうそうハンコを押すシーンは多くないだろうと勝手な想像をした僕はまたしても慌てて「早くて、安い」ところを探します。

こちらで基本的な3つのハンコがセットになったリーズナブルなやつを購入。3ついるの?と思うかもしれませんが、いるらしいので素直に3つ、サイズは以下のやつを買っておけば大丈夫です。

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実印を印鑑登録して印鑑カードを作らないといけないので、登記で法務局に行くときに一緒に印鑑登録もする必要があります。
ちなみに発注したハンコは3日後に納品されました。激早。

- 資本金

会社を作る上で事実上資本金は幾らでも良いのですが、それなりに資本金を入れておかないと信用が…とかいう記事をあちこちで見かけました。
ただ、僕の仕事は何か大きな調達をしたり仕入れをしたりたくさん人を雇用するものでもないし、資本金が少ないから取引しないという会社とはそもそも付き合わなくていいもんね、となぜか強気なことを思っていたので適当な額を自分個人のメイン口座からサブ口座に振り込みをし、それを資本金用に確保したよん、ということで振り込み明細をコピーしてエビデンスにしました。

ちなみに設立半年ですが、これまでに上場起業3社と取引できたので資本金はどうでもいいんだな、と改めて思いました。

- 登記手続き

必要書類を用意するのはめんどくさいけど特に難しいところはなく、内心舌打ちをしたのは「電子定款をCD-Rに焼く」っていうところです。このご時世、データをCD-Rに焼く人っているの?って感じです。平成前期かと。USBメモリじゃだめなの?とかGoogle Driveに上げとくからダウンロードしてよ、とゴネても絶対通らないと踏んだ常識人の僕は、大人しくAmazonで安くてレビューが良さげなやつを購入しました。

必要書類とCD-Rを持って西麻布にある法務局の港出張所へ。ありがたいことにこの出張所は西麻布という場所にもかかわらずちゃんと駐車場があります。

現地で合同会社設立の登録免許料ということで6万円の収入印紙を購入。ちなみに会社設立前に、設立準備のためにかかった諸々の費用は全部経費として処理できます。ノートパソコンも移動や会食、消耗品の購入も。なので領収書は全部取っておきましょう。

そしてその他書類を再度チェックして、いざ窓口へ。

生まれて初めて会社を作る瞬間…!とドキドキしながら「よろしくお願いします!」と書類を渡しましたが、受付のおねーさんは「はい、確認しますのでちょっとあちらでお待ちください」とクールに応対。
そして待つこと5分、おねーさんに呼ばれて窓口に行くと「書類確認しました。こちらの書類をお持ちください。登記が完了する目安と、以降のお手続きが載っていますので」と事務的な連絡事項のみ。
「向井さん!書類受理しました!!新しい門出ですね!頑張ってください!」みたいなことをどこかで期待していたのでしょう。事務的な連絡で無風のまま手続きが5分ちょいで終わってしまった僕はカレンダーに1時間半の枠で入れてある「登記手続き」の予定を15分に縮めて法務局港出張所を後にしました。

- ロゴ

さて、登記完了までにやる事は「ロゴを作る」です。別に無くても困らないものですが、せっかく自分の会社を作るわけなので、カッチョいいロゴが欲しいと思うのは人情というもの。
とはいえ僕にデザインの経験やスキルがあるわけでもないし、センスはゼロ。昔から絵を描くのが苦手で、クリエイティブな仕事を生業にしている人をリスペクトしています。

そこでお世話になったのがコチラ。

クラウドワークスでもよかったのですが、使い始めるまでがめんどくさい。安全のためなのでしょうが、登録事項が多かったりお金を先に預けたりと。その点ココナラは非常にライトに始められるので、それなりにしっかりしている企業はクラウドワークス、僕みたいな1人社長や個人事業主はココナラ、という感じで棲み分けができているのでしょうね。

ロゴ作成というのはとてもポピュラーな領域だということがわかります。非常に多くのデザイナーさん達が自身の過去の作品や実績を掲載しています。

ここで早速お仕事を募集してみることにしました。予算は1〜3万円。どんなビジネスをする会社なのか、どんな思想をもっていて、青系が好きで、海が好きでサーフィンしてるんです、といらんことまで伝えました。そして待つ事3日。なんと30名を超えるデザイナーの方々から応募が来たのです。みんな俺のロゴを是非つくらせてほしいと言ってるのか!と思いとても嬉しい気持ちになりました。まぁそういうわけじゃないんでしょうけど。
ちなみに、これ絶対定型分だな、という安直なメッセージで応募してくる人たちが相当います。長いこと営業やってるとこのへんは一瞬で見抜けます。定型分で営業してくるやつにいい仕事ができるわけないよね、と一方的な決めつけと先入観で半分くらいのデザイナーは落選。

そして1人、1万円で良さげな過去実績を持って提案してくれる人がいたので、ビビッと直感で彼に発注することにしました。

まず数日くらいで素案を3パターン作成して送ってくれます。そしてその3パターンを色々修正依頼しながら出来上がった1パターンを購入する、という仕組みです。
彼から出てきた3パターンはこちら。

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うーん。
これは俺どうすればいいのだ?

とりあえず1つ目は無し…だよな。なんで舟漕いでるの?サーフィンと聞いてカヌーを想起したのかしら。2つ目のトゲトゲが攻撃的な印象だし、Coatingって何だろう。コーチングだとしたらスペル違うしなぁ…。3つ目がまだ良いけど、Amazonのロゴにしか見えない。WとDのバランスもなんか違和感。

という素直な感想を大人の言葉遣いに変えながらデザイナーさんとやり取り開始。ただ何をどう伝えればこちらのイメージに合わせてもらえるのかわからないので、仲良くさせてもらっているFiNCのCCO (Chief Creative Officer)の小出くんに助け舟。

彼の第一声はこちら。

まず一言言えるのは、これいいね、というものが無ないのでどうしたものかと。

ですよねー。

具体的に、デザイナーにどういう風に伝えてどうフィードバックをしていくといいのかコメントをもらい、それをそのままコピペしながらやり取りをしました。まさに伝書鳩。
デザイナーの方はとても真摯に対応いただき、こちらの意図を汲みながら何度も何度も修正をしてくれました。
ただ彼の得意分野とこちらの求めているデザインが異なっていたのでしょう。とうとう小出くんから以下のアドバイスをもらいました。

これ以上フィードバックしても、これ以上のものににはならないと思います

恐怖。戦力外通告ってこんな感じなのね。

ということで、デザイナーには「こちらでOKです。納品してください。ありがとうございました。」というオトナの連絡をもって終了とし、代金をお支払いしました。この1万円は勉強代ですね。いやー奥が深いんですね。デザインって。

次はデザイナー選びから小出くんが入ってくれるということなので、再度ココナラで募集開始。またしても2日で20名強のデザイナーさんが応募してくれたので、小出くんに彼らの過去作品やプロフィールを見てもらい、あっという間に10分たらずで2名に絞ってもらいました。どういう判断軸で取捨選択しているのか、もはやわからない早さなのですが、彼いわく「これくらいのテンポで見ていかないと採用のプロセスが回らないんですよね」とのこと。

そうして選んだデザイナーさんから出てきた案の完成度は非常に高く、大した修正をせずに小出くんからも「いいじゃないすか!」というコメントをもらい、以下のロゴで決定しました。

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もし1人でこのオペレーションやってたら絶対辿り着けなかったと思います。持つべきものはその道のプロの友達ですね。

- 名刺をつくる

名刺交換をするシーンが激減し、たぶん作っても渡すことはないんだろうなと思いつつも、せっかく会社作ったし名刺は欲しい!という物欲レベルの欲求で作成を意思決定。

過去名刺交換をした人たちの名刺データをEightで検索しまくって、良さげな名刺を真似してcanvaというデザインツールを使って作成をしました。

そこでまた小出くんに相談し、フォントサイズや配置、肩書きの表示などをフィードバックもらって以下の名刺デザインが完成。裏面はネイビー地に白抜きロゴのデザインを全面に入れました。控えめに言ってもカッチョいいです。

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そして次に名刺の印刷です。HPのところで登場した戸田くんが「名刺印刷ならいいとこありますよ」と言っていたのを思い出して以下に発注。

ホームページが古臭くて大丈夫か?と思ったけど、安くて大満足の印刷品質で納品されました。ヴァンヌーボ(スノーホワイト)という紙を選び、100枚で3,000円でした。

- 弁護士と税理士

前職の時に知り合い、ここ数年何かと仲良くさせてもらっている1人社長ビジネスの先輩から「弁護士はいたほうがいいですよ。絶対」と強めにアドバイスをしてもらいました。彼が最近書いた本にも書いていますが、独立直後に騙されて数千万円の借金を背負うという経験をしています。弁護士をつけて契約の取り交わしをちゃんとやっておけば…という反省があり、僕に同じ目に遭わないように、ということで彼がお世話になっている弁護士さんを紹介してもらい、顧問契約を結ぶことにしました。
弁護士ってどうやって選べばいいのか全く見当もつかなかったので非常に助かりました。

ちなみに彼が最近出した本は以下です。とても読みやすく、大事なことがたくさん書いてあるので読んでみることをお勧めします。

同様に、税理士さんも大野さんに紹介してもらいました。昭和の武闘派税理士とでもいいましょうか。オンラインのミーティングはできないので会いにこい、ただカネ周りのことは任せておけ、税務署から何か言われてからが税理士の腕の見せ所だ。こっちは無双だから安心しておけ、という税理士さんです。話が長いし勢いで思いついた順にしゃべりまくるので確認したいことや聞きたいことがすぐ脱線するのはご愛嬌。ふるさと納税で送られてきたイクラを「土産だ」といきなり渡されたり、なんか親戚のおっちゃんって感じでもあります。

弁護士と税理士を信頼できる人から紹介してもらって顧問になってもらったことで安心して仕事に向き合うことができるようになりました。

- 銀行口座

7月下旬から8月にかけて、会社設立をしながらもありがたいことにお仕事のお話を幾つかいただき、少しずつ仕事を開始し始めました。そうなると必要なのが契約。ずっとサラリーマンだったので契約書を作ったことがなく、しかも10年以上外資の日本法人なので基本的に契約書は英語。
顧問とかコンサルとかの契約書フォームをネットで調べ、それを切ったり貼ったり削ったりしながらそれなりの形にして、弁護士にレビューしてもらいます。弁護士はこちらの味方なのでとにかく僕に何かしらリスクが生じる表現は徹底的に修正してくれます。修正コメントで真っ赤になった契約書フォームを再度僕自身でチェックする中で、「以下の口座に振り込むんだぞ」という項のところで手が止まります。

そう、銀行口座作らないとだ(遅

銀行口座は、会社の登記が終わって登記簿謄本を銀行に提出しないといけないので、会社の登記が済み次第すぐに口座開設の手続きをしたほうがよいです。

色々と調べたり話を聞く限り、最も難関と言われている法人銀行口座の開設。社長個人の信用ではなく、とにかく「この会社に口座持たせていいかどうか」だけで判断をされます。

もちろん実績なんてあるわけないので、法人口座開設審査のときは
- 実在する所在地にオフィスを構えているか
- そこに直接つながる電話番号があるか
- 何らかビジネスになる(カネが入ってくる)可能性がありそうか=HPがある、会社案内パンフレットがあるかどうか

がないと口座開設は難しい、と言われているそうです。

僕の場合、上2つは無しです。これがバーチャルオフィスの1番のデメリットと言われているポイントです。ただ3つ目については幾つか設立前にお声がけ頂いていたので何とかなりそうです。

メガバンクがいいのか、ネット銀行がいいのか。
色々な起業家の先輩達に聞いてみると、メガバンクとネット銀行を併用している人、メガバンクだけのひと、ネット銀行だけの人、それぞれどういう目的で銀行口座を使うのかによって分かれます。そりゃそうだ。

メガバンクの口座を持っていると会社の信用が上がる、という話も聞いていましたが、すみません、失笑してしまいました。何より口座を維持するための手数料やら振り込む際の手数料やら、もうとにかくがめつい。そのくせデジタル対応が未成熟だったりするのでインターネットバンキングが使いづらい。

ということで、メガバンクのメリットがゼロだと判断した僕はネット銀行一択でいくことにしました。その中で周囲の方々に意見を聞いて選択肢に入れたのは楽天銀行とジャパンネット銀行。この2つが社会保険などの口座引き落とし対応をしているという事で的を絞りました。

まずは楽天銀行。法人口座開設のページに書いてある必要書類を素直に揃えて郵送で送付。

待たされること1週間ほど。ペロッとメールが届きました。

理由は言えないけど開設はできないってことになったからヨロシク

はい洗礼きたー。意味不明。理解不能。何をどう調べて開設できないって判断したんだ?と腹が立ちます。

こちとら真面目にビジネスをしていくつもりで準備しとるのに「開設むり」って、あーもったい無いねー!たくさんお金振り込まれてそっから証券とかクレカとか色々派生して手数料とデータたくさん得られるのにあー残念だねーもったい無いことしたねー!(怒)と悪態をつきながら次のジャパンネット銀行へ。

ここでふと冷静になります。もし次もダメだったら俺、法人銀行口座難民になるじゃん。楽天銀行と同じ申請をして通るとは思えない。
何よりこの審査をしてる人は人間のはず。てことはコイツの信用を得ればいいんじゃね?なんだよ営業と一緒じゃん、と言うことでジャパンネット銀行のホームページにある必要書類について以下の工夫をしました。

- 挨拶と審査してもらうお礼を手書きで。丁寧にエモい内容を書く。
- 事業内容のHPの補足説明資料。どういうビジネスモデルで、何を解決したくて、どういう支援をしていくのか。
- 既に契約済みのクライアントとの締結済み契約書の写し。
- 近々契約締結する案件の見込みリストと毎月の入金予定推移(向こう1年分)
- クライアントへの提案書類一式(各ページに付箋で手書き補足コメント)

これらは提出必要書類には入っていませんが、相手からすると判断に足る情報が少ないわけで、できる限りの材料を渡すべきだろうと。相手が人間である限り、こういった丁寧で気持ちを込めた申請はきっと有効だろうと想定したわけです。最終的にそれぞれの資料をクリアファイルに入れて用意したので普通のA4封筒では入り切らず、レターパックで送付することになりました。

そして1週間後、「口座開設のお知らせ」というメールが届きました。営業やっててよかったー!と自己肯定感が高まった瞬間でした。

銀行口座の開設まで相当なタイムラグが発生します。法人登記が完了してから口座が開くまで1ヶ月ほど見ておく必要があるので、その間の入出金は個人の口座でわかるようにしておく必要があります。クソめんどくさいです。

- クレジットカード

仕事をしていく上で、色んなお金がかかります。ありとあらゆる諸経費は会社の事業活動として必要経費の処理をしていく必要があります。法人クレカがないうちは、当然プライベートのクレカを使うことになります。買うときはいいけど、買った後に仕分けるのがこれまたクソめんどくさいわけです。
サラリーマン時代から経費精算が最も嫌な業務だった僕としては、できるだけここを省力化したいので、法人クレカは早く欲しいところです。

ところが法人クレカもくせものです。Google先生に頼ると混乱することを約束します。どいつもこいつも寄ってたかってアレがいいコレがいい、キャンペーンやらキャッシュバックやら何やら、と何が何だかよくわかりません。

そこで今回も僕はSNSを通じて「結局法人クレカって何がいいのよ」と聞いて、たくさんの人たちから色んなコメントやアドバイスをもらいました。特に僕のFacebookは基本的にお会いした人、信用できると思った人としか繋がっていないため、情報の信用度は上がります。

結果、アメックスビジネスのゴールドとオリコのEX Gold for Bizの2枚持ちにすることにしました。メインはアメックスで、使えないところはオリコのマスターカードで。アメックスはイケてる営業の方を紹介頂き、その方経由で申し込む事にしました。結構なポイントバックをいただくことができたので良かったです。

クレカは手元に届くまでに2-3週間かかるので、届き次第各種ECサイトの登録やETCカードの申請、諸々の手続きをしていきます。当然ですが法人の銀行口座を開設することが先ですよ。口座引き落としの手続きをしないといけないので。

- 会計ソフト(freee)

顧問税理士を契約したので会計ソフトは極端な話不要と言えば不要ですが、電子定款をタダで申請代行してもらうインセンティブに目が眩んでよくわからないうちに年間契約をしてしまったのと、今まで会計や財務といった領域は全く関与せずに生きてきたので、経営者としては理解しておかないといけないよな、という思いもありfreeeはアプリもDLしてこまめに利用しています。

ただ、freee契約後、色々な諸先輩方と会話する際、みんな揃いも揃って「freeeよりMoneyForwardのほうがいいよ」というアドバイスをするのです。
え、MFって法人向けの会計SaaSも提供してたの?個人むけ家計簿アプリだけの印象を持っていた僕はロクに調べることもせずに盲目的にfreeeのコンテンツにだけ触れてきましたが、これはfreeeのWebマーケが上手だったという事に過ぎません(ググっても上位に出てくるのはfreeeのコンテンツばかり)。

MFの方が良いと言う人たちの主な理由は「MFは会計士がUIを設計しているから税理士側もMFを使っていたりする。そうなるとアカウントを共有してシームレスに会計業務が行われる。でもfreeeは本職の人に親しみづらいUIになっているので決算の時なんかはfreeeからExcelに出力してそれを提示するなどの面倒が出る」という事でした。

幸か不幸か、僕の顧問税理士はfreeeでもMFでもない、Windowsでしか動かない昭和の匂いがプンプンする某社製の会計ソフトを使っているので、結果的に僕は毎月クレカ明細と領収書を送って「あとはよろしくです」で済ませています。

僕のfreeeの利用用途は以下です。
- 経費登録と売上登録(アメックスとオリコ、ジャパンネット銀行とAPI接続しているのでスマホでポチポチと経費登録や売上登録をする)
- 見積書(求められれば)と請求書の発行
- 売上と費用の推移をダッシュボードで眺めて「ほほう」とつぶやく

実際の細かい処理や決算は税理士さんにお任せしているので、経費と売上の登録をする目的として僕自身が経営者としてどういう状態かを多少の経費の登録漏れがあるとはいえ見ておかないといかんでしょ、というくらいのものです。
なのでちゃんと使っているのは毎月発行している請求書のところくらいです。ってことはライセンスは一番下のやつにダウングレードしてもいいな。次の更新時にそうしよう。

- まとめ:会社設立の順番

何かをやろうとすると先にこっちやらないといけないのか!という状況に陥ったので、以下の順番で進めると良いと思います。

- 社名を決める
- オフィスを契約する(自宅住所を登記したくない場合)
- 資本金を入れる(個人口座A→個人口座Bへ移す)
- ハンコを買う
- 定款申請(freeeで電子定款の代理申請を使うのもあり)
- 法務局で登記申請をして印鑑登録をする
- サーバーを借りる&ドメインをとる
- メアド作ってHPのガワだけでもいいから作る
- ロゴをつくる
- 名刺をつくる
- 登記完了したら登記簿謄本をとっておく
- 銀行口座を開設する
- クレジットカードをつくる

情報があちこちにあり、それらのコンテンツは使ってる言葉も専門的で難しいので、このnoteが少しでも参考になれば、と思います。

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