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時代の先駆者、アレジオン

以前の記事で
花粉症薬の一部は病院やクリニックに受診しなくても
ドラッグストアで買うことができると紹介しました。

受診する時間と手間を省くことができるので、
アレジオンやアレグラを毎年処方されている方は
市販薬を試しても良いと思われます。

現在はクラリチンEXを含めて様々な花粉症薬が登場していますが、
最初に市販薬として登場し時代を築いていったのはアレジオン20です。

今回はアレジオン20の歴史を振り返りつつ、
その特徴を紹介していきます。
 

①アレジオン20とは?


有効成分のエピナスチン塩酸塩が20mg配合され、
1日1回寝る前に1錠服用します。

2011年にエスエス製薬から発売されました。

アレジオンが登場するまでの市販の花粉症薬は
1日2回又は3回飲むのがほとんどで、
眠くなりやすく、口が乾くことがあります。

市販の花粉症薬は眠気が出て口が乾いても仕方ない、
というのが常識でした。

しかも
アレルギーを抑える成分以外の成分が配合されているために、
1回に2錠以上飲む製品があります。

それに対して、アレジオン20は
1日1回寝る前に1錠だけ飲めば良く、
眠くなりにくい上に口も乾きにくいために、
従来の市販の花粉症薬の常識を覆したのです。
 

②最初は微妙だった

ただ、発売当初は現在と違い
アレジオン10という製品名であり、有効成分は半分の10mgでした。

病院やクリニックで処方されるアレジオン錠は
10mg錠または20mg錠のどちらかですが、
成人であれば大抵20mgが処方されます。

半分の有効成分のアレジオン10が効き目があるのか
当時は疑問でした。

更に、
当時のアレジオン10は第1類医薬品に区分されているために
薬剤師による情報提供が義務付けられていました。

購入時に説明文書を見ながら薬剤師の話を聞くのは
お客さんにとって煩わしかったでしょう。

病院で使われる薬を市販薬として発売するケースが少ないため、
販売を認可する厚生労働省の姿勢は慎重でした。


医薬品の評価は十分に検証する必要がありますが、
その慎重さ故に、アレジオン10の売れ行きは伸び悩みました。
 

③ライバルが登場してしまい…

翌年2012年には、アレジオンと同等に有名なアレグラ錠が
アレグラFXの製品名で発売されました。

アレグラFXも第1類医薬品として発売されたので
買う際に薬剤師からの説明が必要でしたが、
アレジオン10よりも販売数が伸びました。

有効成分のフェキソフェナジン塩酸塩を
発売当初から病院用と同じ60mg配合され、
飲み方も同じ1日2回です。
病院用と市販薬で効果の差がありません。

更に、アレグラはアレジオンよりも眠くなりにくいです。

医療用の添付文書の重要な基本的注意には、
アレジオン錠は眠気を催すことがあるため
自動車の運転に注意する旨の記載がありますが、
アレグラ錠にはそれがありません。
(注意:100%眠くならない訳ではありません。)

当時のテレビCM効果も相まって
アレジオン10はアレグラFXとの競争に負けていました。
 

④時が進むにつれて巻き返す

その後は
2013年にジルテック錠、2014年にエバステル錠、
2017年にクラリチン錠、2020年にタリオン錠が各々、

ストナリニZ、エバステルAL、クラリチンEX、タリオンARの
製品名で第1類医薬品または要指導医薬品として
発売され続けました。

次から次へとライバルが登場し、
アレジオン10はこのまま市場から淘汰されてしまうのかと
思っていました。

ですが、アレジオンも進歩してきました。

2015年にアレジオン10は販売中止になり、
有効成分が病院用と同じ20mg配合された
アレジオン20の製品名へと変わり、
しかも第1類から第2類医薬品へと区分が変更されました。

第2類医薬品は薬剤師が店舗にいなくても
登録販売者がいれば販売できます。

生まれ変わったことで
効き目が良くなり買いやすくなったのです。

強力な競争相手のアレグラFXが第2類になったのは
翌年からのため、
アレジオン20はライバル達よりも一歩先を行くことに
なりました。
 

⑤現在はアレジオンが優勢

現在はタリオンAR以外が第2類医薬品に区分変更され
買いやすくなったものの、

市販の花粉症薬の情勢は初期から販売され続けた
アレジオン20とアレグラFXのツートップです。

実際、多くのドラッグストアで
アレジオン20とアレグラFX、
各々の自社ブランドの製品を対比しながら
売場展開している様子を見受けられます。

ただ、陳列棚をよく見ると、
アレジオン20を最上段に、
その下にアレグラFXを陳列している店舗が多いです。

実際の効き目の差を示す資料は見つかりませんが、
私の経験上、患者さんの中にはアレグラよりも
アレジオンの方が症状を抑えられると仰る方が多いです。

一概には言えませんが、
花粉症薬は眠気を抑えると鼻水やくしゃみを抑える効果が
弱まる傾向にあります。

アレジオン20はアレグラよりは眠くなるものの
昔の花粉症薬よりは眠くならない、
効果が十分にあって1日1回だけなので飲み忘れしにくい、
そして10年以上販売し続けてきたから知名度が高い、

これらを考えると、アレジオン20が
市販の花粉症薬で最もおすすめできると言えます。
 

⑥自分に合うのを選ぶのがベスト

今回はアレジオン20を推す内容となりましたが、
花粉症薬の効果には個人差があります。

これも私の薬剤師としての経験上の話になりますが、

患者さんからアレジオンよりもアレグラの方が効く、
アレグラよりも他の花粉症薬の方が効くと
仰る方がおられます。

なので、今回の私の意見は参考程度にして頂き、
ご自身に合うのを試すのが最善です。

今回は以上です。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました😊

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