笹田 峻彰

1992年生まれ。山梨県韮崎市に移住。本屋 sieca店主。周辺に写真・文筆・まちづく…

笹田 峻彰

1992年生まれ。山梨県韮崎市に移住。本屋 sieca店主。周辺に写真・文筆・まちづくり・webデザイン。コーヒーブランドの監修・SNS運用などもしてます。

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    偶然の散歩

    思索、数学、子供との時間、今という瞬間… 偶然の日々の中で一度きりのすぐ近くにある、永遠をつかみたい―― その思いを胸につづられ、あふれでてきた、詩のような言葉たち。 散歩は、子どもたちとの本当の散歩のときもあれば、先人や先達との、時空を超えた思索の散歩のこともあった。二度とない偶然の散歩を、心に刻みつけるように書いた。 (まえがきより) 日経新聞「プロムナード」全25回ほかを収録。 『数学の贈り物』から3年半、著者に訪れた大きな変化の感覚が息づくエッセイ集。 -- 著者  森田真生 出版  ミシマ社 -- [配送について] パッケージとしてこだわりたい一方で、資材をあまり使わず、コストも削減したい。それは私たちにとっても、地球や皆さんにとっても心地良いあり方だと思っています。 できるだけ送料の敷居を減らし、過剰包装をしないよう心がけております。 この商品は『クリックポスト』にてお届けとなりますので、ご自宅ポストに直接投函でのお届けとなります。(複数ご注文の場合、発送方法が異なる可能性がございますので、予めご了承ください)
    2,200円
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    NEUTRAL COLORS 4

    「どうやって生きていくか」という問いに直結する特集であり、制作するにあたって考えることが多く、思い入れのある号になったと語る編集長・加藤直徳さん。 趣深い風合いに仕上がるリソグラフを採用し、自分の手で刷って作る、手仕事による楽しさを体現したかのようなアートデザインは、頁をめくるごとにさまざまな表情を見せてくれる。 印刷した紙を2つ折りにして、束ねて、留めるだけ。最もシンプルかつプリミティブな本の形態をしたこの一冊は、まさに『雑誌』と呼べるカルチャーの詰まったもので、紙媒体であることの必要性を示してくれているかのよう。 今回の特集では、著者が本を刷り続けることを仕事にする(出版で生きていく)ため、ヨーロッパへ旅立つところから物語が始まる。海外への販路を模索するなか、半ばやけになってトランクに荷物を詰め、アムステルダムやベルリンの出版社や本屋を訪ねて回ることに。 ベルリンのブックフェアへの参加や、作り手であり、表現者であることを誇りに思う人たちとの出会い。さまざまな交流を重ねるなかで著者は一体何を思うのか。非効率を突き進む、NEUTRAL COLORSだからこそ届けてくれる一冊です。 雑誌の余り紙で漉いたオリジナル和紙 1枚付き。 -- 仕事とはなにか?働く意味は?個人的で根源的な問いを追究しました。まずは「雑誌を仕事として継続していけるか」を探りに、 ベルリンのブックフェアとアムステルダムのパブリッシャーを訪ねる。 ヨーロッパ及び世界流通へ、飛び込み営業の結果やいかに。美濃和紙の工房に“臨時”で弟子入りし、オリジナル和紙を漉き込む。 福島の故郷に戻り人生を模索する女性、空飛ぶ車を開発するテック企業、 消えゆく文字の仕事「写植」を記憶し、落選中の政治家にフォーカスする。 障害を持つ人が働くほんとうの意味、宮大工が思考する木と石の建築物。アリ植物の夢を見て、シンガポールのインディペンデント出版に触発される。 校正という仕事の裏側、写真家が養蜂に見る“脱成長”への道。 (NEUTRAL COLORSより抜粋) -- 編集長       加藤直徳 アートディレクター 加納大輔 発行所       NEUTRAL COLORS 印刷        八絋美術 -- [配送について] パッケージとしてこだわりたい一方で、資材をあまり使わず、コストも削減したい。それは私たちにとっても、地球や皆さんにとっても心地良いあり方だと思っています。 できるだけ送料の敷居を減らし、過剰包装をしないよう心がけております。 この商品は『クリックポスト』にてお届けとなりますので、ご自宅ポストに直接投函でのお届けとなります。(複数ご注文の場合、発送方法が異なる可能性がございますので、予めご了承ください)
    2,970円
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    『KELLOO - ETHIOPIA』 150g

    『Classic』 - series とは "素材のおいしさ" にフォーカスを置いたシリーズ『Classic』。 このシリーズではシンプルで洗練された生豆を厳選し、その土地で育った味わいを大切にするため、すべての焙煎度を浅煎りに。 決して派手な風味ではなく、素朴でフルーティな、じんと広がるようなおいしさをぜひお楽しみください。 -- 北欧の生豆商社 Nordic approachから、おいしいコーヒーが届きました。 https://nordicapproach.no/ 『KELLOO - ETHIOPIA』 Kellooとはオロミファ語で「黄色」を指す言葉。エチオピアの生豆取引は非常に複雑で、トレーサビリティや品質をきちんと保つことが難しい場合も多くあるのが現状です。 そこで、Nordic approachでは「風味」という基準を軸に、コーヒーにロット名を付けることにしました。そのなかで、いくつかあるうちのひとつが、ロット『Kelloo』です。 最大限の透明性を保つため、生産地域や精製所の情報も残しつつ、Kellooというロットは常に同じニュアンスの(黄色の)風味を期待できるようになりました。 ジャスミンのような華やかな香りに、トロピカルフルーツやアプリコットを思わせる果実味。口に含むとダージリンティーの風味が広がり、口当たりは滑らかで丸く、春の暖かな陽気にぴったりなコーヒーです。 またエチオピアの品種も少しずつ変化していて、今回のロットで栽培されていたのは、Dega種とWolisho種。このコーヒーの精製所である「ウラガ、ラロ ウォッシングステーション」は小さな丘の上にあり、一日中日当たりがよく、涼しい風が斜面を覆う地域。 Degaとはアムハラ語で「涼しい高地」を意味し、そうしたエリアに植えられたために、Dega種という名前が付いたという説もあるようです。 初めてこのロットを飲んだのは、もう5年以上前のこと。 日本でまだ北欧の生豆商社から買い付けることが難しかった当時、初めて飲んだKellooのフルーティな風味がとても印象的でした。 そこから、コーヒーの面白さにのめり込んでいったことをいまでも覚えています。いまも変わらず大好きなロットなので、ぜひ皆さんにも楽しんで貰えたら嬉しいです。 -- 生産者 :Smallholders(近隣の約1500名の生産者) 生産地域:Uraga Woreda(ウラガ ウォレダ) 収穫年度:2022 標高  :2470m 品種  :Wolisho and Dega(ウォリショ、デガ) 精製方法:Washed(ウォッシュド) 焙煎度 :浅煎り 賞味期限:焙煎日から約2ヶ月 -- [配送について] パッケージとしてこだわりたい一方で、資材をあまり使わず、コストも削減したい。それは私たちにとっても、地球や皆さんにとっても心地良いあり方だと思っています。 できるだけ送料の敷居を減らし、過剰包装をしないよう心がけております。 この商品は『クリックポスト』にてお届けとなりますので、ご自宅ポストに直接投函でのお届けとなります。(複数ご注文の場合、発送方法が異なる可能性がございますので、予めご了承ください)
    1,250円
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    偶然の散歩

    思索、数学、子供との時間、今という瞬間… 偶然の日々の中で一度きりのすぐ近くにある、永遠をつかみたい―― その思いを胸につづられ、あふれでてきた、詩のような言葉たち。 散歩は、子どもたちとの本当の散歩のときもあれば、先人や先達との、時空を超えた思索の散歩のこともあった。二度とない偶然の散歩を、心に刻みつけるように書いた。 (まえがきより) 日経新聞「プロムナード」全25回ほかを収録。 『数学の贈り物』から3年半、著者に訪れた大きな変化の感覚が息づくエッセイ集。 -- 著者  森田真生 出版  ミシマ社 -- [配送について] パッケージとしてこだわりたい一方で、資材をあまり使わず、コストも削減したい。それは私たちにとっても、地球や皆さんにとっても心地良いあり方だと思っています。 できるだけ送料の敷居を減らし、過剰包装をしないよう心がけております。 この商品は『クリックポスト』にてお届けとなりますので、ご自宅ポストに直接投函でのお届けとなります。(複数ご注文の場合、発送方法が異なる可能性がございますので、予めご了承ください)
    2,200円
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    NEUTRAL COLORS 4

    「どうやって生きていくか」という問いに直結する特集であり、制作するにあたって考えることが多く、思い入れのある号になったと語る編集長・加藤直徳さん。 趣深い風合いに仕上がるリソグラフを採用し、自分の手で刷って作る、手仕事による楽しさを体現したかのようなアートデザインは、頁をめくるごとにさまざまな表情を見せてくれる。 印刷した紙を2つ折りにして、束ねて、留めるだけ。最もシンプルかつプリミティブな本の形態をしたこの一冊は、まさに『雑誌』と呼べるカルチャーの詰まったもので、紙媒体であることの必要性を示してくれているかのよう。 今回の特集では、著者が本を刷り続けることを仕事にする(出版で生きていく)ため、ヨーロッパへ旅立つところから物語が始まる。海外への販路を模索するなか、半ばやけになってトランクに荷物を詰め、アムステルダムやベルリンの出版社や本屋を訪ねて回ることに。 ベルリンのブックフェアへの参加や、作り手であり、表現者であることを誇りに思う人たちとの出会い。さまざまな交流を重ねるなかで著者は一体何を思うのか。非効率を突き進む、NEUTRAL COLORSだからこそ届けてくれる一冊です。 雑誌の余り紙で漉いたオリジナル和紙 1枚付き。 -- 仕事とはなにか?働く意味は?個人的で根源的な問いを追究しました。まずは「雑誌を仕事として継続していけるか」を探りに、 ベルリンのブックフェアとアムステルダムのパブリッシャーを訪ねる。 ヨーロッパ及び世界流通へ、飛び込み営業の結果やいかに。美濃和紙の工房に“臨時”で弟子入りし、オリジナル和紙を漉き込む。 福島の故郷に戻り人生を模索する女性、空飛ぶ車を開発するテック企業、 消えゆく文字の仕事「写植」を記憶し、落選中の政治家にフォーカスする。 障害を持つ人が働くほんとうの意味、宮大工が思考する木と石の建築物。アリ植物の夢を見て、シンガポールのインディペンデント出版に触発される。 校正という仕事の裏側、写真家が養蜂に見る“脱成長”への道。 (NEUTRAL COLORSより抜粋) -- 編集長       加藤直徳 アートディレクター 加納大輔 発行所       NEUTRAL COLORS 印刷        八絋美術 -- [配送について] パッケージとしてこだわりたい一方で、資材をあまり使わず、コストも削減したい。それは私たちにとっても、地球や皆さんにとっても心地良いあり方だと思っています。 できるだけ送料の敷居を減らし、過剰包装をしないよう心がけております。 この商品は『クリックポスト』にてお届けとなりますので、ご自宅ポストに直接投函でのお届けとなります。(複数ご注文の場合、発送方法が異なる可能性がございますので、予めご了承ください)
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    『KELLOO - ETHIOPIA』 150g

    『Classic』 - series とは "素材のおいしさ" にフォーカスを置いたシリーズ『Classic』。 このシリーズではシンプルで洗練された生豆を厳選し、その土地で育った味わいを大切にするため、すべての焙煎度を浅煎りに。 決して派手な風味ではなく、素朴でフルーティな、じんと広がるようなおいしさをぜひお楽しみください。 -- 北欧の生豆商社 Nordic approachから、おいしいコーヒーが届きました。 https://nordicapproach.no/ 『KELLOO - ETHIOPIA』 Kellooとはオロミファ語で「黄色」を指す言葉。エチオピアの生豆取引は非常に複雑で、トレーサビリティや品質をきちんと保つことが難しい場合も多くあるのが現状です。 そこで、Nordic approachでは「風味」という基準を軸に、コーヒーにロット名を付けることにしました。そのなかで、いくつかあるうちのひとつが、ロット『Kelloo』です。 最大限の透明性を保つため、生産地域や精製所の情報も残しつつ、Kellooというロットは常に同じニュアンスの(黄色の)風味を期待できるようになりました。 ジャスミンのような華やかな香りに、トロピカルフルーツやアプリコットを思わせる果実味。口に含むとダージリンティーの風味が広がり、口当たりは滑らかで丸く、春の暖かな陽気にぴったりなコーヒーです。 またエチオピアの品種も少しずつ変化していて、今回のロットで栽培されていたのは、Dega種とWolisho種。このコーヒーの精製所である「ウラガ、ラロ ウォッシングステーション」は小さな丘の上にあり、一日中日当たりがよく、涼しい風が斜面を覆う地域。 Degaとはアムハラ語で「涼しい高地」を意味し、そうしたエリアに植えられたために、Dega種という名前が付いたという説もあるようです。 初めてこのロットを飲んだのは、もう5年以上前のこと。 日本でまだ北欧の生豆商社から買い付けることが難しかった当時、初めて飲んだKellooのフルーティな風味がとても印象的でした。 そこから、コーヒーの面白さにのめり込んでいったことをいまでも覚えています。いまも変わらず大好きなロットなので、ぜひ皆さんにも楽しんで貰えたら嬉しいです。 -- 生産者 :Smallholders(近隣の約1500名の生産者) 生産地域:Uraga Woreda(ウラガ ウォレダ) 収穫年度:2022 標高  :2470m 品種  :Wolisho and Dega(ウォリショ、デガ) 精製方法:Washed(ウォッシュド) 焙煎度 :浅煎り 賞味期限:焙煎日から約2ヶ月 -- [配送について] パッケージとしてこだわりたい一方で、資材をあまり使わず、コストも削減したい。それは私たちにとっても、地球や皆さんにとっても心地良いあり方だと思っています。 できるだけ送料の敷居を減らし、過剰包装をしないよう心がけております。 この商品は『クリックポスト』にてお届けとなりますので、ご自宅ポストに直接投函でのお届けとなります。(複数ご注文の場合、発送方法が異なる可能性がございますので、予めご了承ください)
    1,250円
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          空にみずうみ

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          ビール片手に

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          移住日誌 / 一ヶ月

          最近の近況を残しておこうと思い立つ。 このところ慌ただしい日々を過ごしているので、言葉にして残しておきたい。僕の文章を読んでくれている人たちには、きっと素直な気持ちで言葉にできるような気がするのだ。 まちづくり 移住をしてからというもの、まちや人との交流がたくさん増えるようになった。もともと社交的な人間ではないので、まちの人たちは温かく迎え入れてくれて感謝する一方で、少し疲れてしまう部分も多くあった。 知らない人と出会うのはとても苦手だけど、バリスタとして接客業をずっ

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          日々、読書。 #02

          古本屋に行くと、ついつい時間を忘れてお宝探しのような感覚に没頭してしまうことがある。 新しい書籍は次々に増え続けているけれど、それらを追いかけ回すのはあまり好きではない。そうでなくても、既にもう人生をかけても読み切ることのできない本たちを、私たちより先に生きた人たちが残してくれているのだから。 そして古本の魅力は、私たちの生きる時代から離れた哀愁を感じさせ、その当時の生活風景や土地の様子が記されていたり、普段は手に取ることのない分野の本にも、同じ”古本”という陳列の中から

          日々、読書。 #02

          日々、読書。 #01

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