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久々に会った親友が2億歩くらい先を行ってて俺はただ灰になるしかなかった

たまたま連休だったのでたまたま帰省した日が、たまたま親友の誕生日だったので、たまたま会ってやることにした。





Sくんと友達になってから、もう15年だか6年だかになる。


幼い頃俺が通ってきたゲームとか、カードとか、その他細々した趣味とか、あとは習い事に至るまで、ほぼSくんと一緒だった。

たまたま一緒とかだったら漫画の展開みたいでおもろかったんだけど、実情は俺がストーカーみたいにSくんにかぶせてただけね。きっしょ。


で、大学卒業した今も、俺は専門通ってるし、Sくんは院進してるしで、なんだかんだ未だに同じようなライフステージを歩んでる。







まぁそんなSくんなんですけどね、






しれーっと彼女つくってやがったんですよね






いや別にいいんですけどね。
僕ももう大人なので、別に彼女できたからって羨んだり冷やかしたりする馬鹿な中学生みたいなことは全然しないんですけど。
むしろおめでとうお幸せにって感じなんですけど。





なんか、そういうタイプの男じゃなかったんですよSくんは。

俺の親友だからって俺みたいにひねくれてたり逆張りしがちだったりするわけじゃないんだけどさ、俺は彼の、ちょっと尖ってて、頑固で、孤高で、"普通"に迎合しない高潔なところが好きだったんですよ。



車の免許とか、途中でリタイアしたんですよ!??「教官が気に食わない」って!!!そんなことあります????

そんなSくんが、気づいたら免許どころか自家用車まで取得してて、理由聞いたら「彼女といろんなとこ行きたいから」とか言うし。



そんなの着る人じゃなかったのに、インスタ見たら大学生みたいなゆるふわカーディガン着てディズニー行ってたし。

っていうかディズニー行く人でもなかったはずなのに。





今日もなんか、車で家まで迎えに来てくれて、ひとしきり遊んだ末に駅まで送ってくれるっていうどちゃクソ彼氏ムーブかまされたし。








分かってくれるかな、この、いわゆる"普通"になっちゃった感じ。



もっかい言うけどね、僕とSくんは概ね同じライフステージを歩んできてるはずだったんですよ。


まぁ彼が空手で関東を制したり生徒会やってたり国立理系卒だったりするのは一旦無視するとして、概ねは僕と同じなんですよ概ねは。


クリスマスだって2人で街まで繰り出して、手ぇ繋いでるカップルを眼光ひとつで殺しまくったことだってありますよそりゃ。


なのになんか、彼だけ"普通"の男に、というかなんならちょっとかっこいい男に、というかいわゆる"モテる"行動をいちいちとれる男になってて。







分かりますかねこの感じ。いや分かんないよねごめんねみんなが知らない俺の親友Sくんのこととりとめもなく熱く語っちゃって。




けどちょっとだけ想像してみて。

普通の人と少し違うところが魅力で、そういうところにシンパシーを感じてた自分の幼馴染が、どんどん普通の人になっていって、自分だけ普通と違うまんまで取り残されててさ、それでさ、、、、










あれ、なんか涙が、、、、、、、










違う。

Sくんが普通になったことが不満なんじゃないんだ。

俺だけ未だに普通になりたくない中学生のクソガキみたいなことしてるのが情けないんだ、、、泣





Sくんのストーリーは彼女と行ったキラキラした行楽地とか、食べに行ったシャレオツなご飯とかばかりで、俺のストーリーでは全然面白くないのにオタクの大喜利みたいなことしてて、、、泣


気づけばあいつ、彼女以外のフォロー全部外してたし。理由聞いたら「彼女の以外見たいと思わない」って、、、泣


俺のも?俺のも見たいと思わないの!??」って聞いたら、、、








いや別に笑」って、、、泣  







しかも運転しながら、、、泣    










涼しい顔して、、、泣






2人で魚民行ったんだけどさ、下駄箱のナンバー、Sくんは彼女の名前の語呂合わせにしてて、俺はと言えば推しの女性声優の名前の語呂合わせにしてて、、、泣








なんやねん!!!なにがどうしてこうなった!!!!!










そういや俺らもう23歳だった。
2人でクソガキみたいに変人気取ってた。つもりになってるのは俺だけだったみたい。


SくんはSくんで着々と"普通"になっていったけど、そんなことは23歳成人男性なら当たり前のことで、おかしいのは僕の方だったんだ。23にもなってまだ中学生みたいにボカロとか歌ったり、普通になってく親友に納得がいかなかったり。





あいつの左手首、やたらかっこいい腕時計付けてたな。


あいつが彼女の話をする時の顔、いつになくかっこよかったな。




同じタイプの人間だったはずのSくんの、僕の身体からは決して生成され得ない"男"の部分を垣間見て、男ながらにときめいた様々な瞬間を回顧しながら、また僕は性懲りも無くnoteなんぞを書いている。



彼が15、6年来の幼馴染で親友であることは今後も揺るがないとしても、人として大きな差ができたし、こんなことをnoteに綴ってる時点で今の僕にはその差を埋める手立てなんかない。


さっきも言ったけど、僕の趣味や特技は大抵Sくんからの貰い物だから、僕もいつかSくんにならって"普通"の男になれたらなと願うだけの、哀れな日曜日でしたとさ。












改めまして、誕生日おめでとう、Sくん。

乞い願わくは、僕を普通の男にしてください。さもなければ僕を殺してください。

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