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【書評】ユダヤの商法(藤田田著)【超高値で売買されていた幻の書】

はじめに【プレミアがついていた絶版本が新装版として復刻!】

日本マクドナルド創業者である藤田田さんの「ユダヤの商法」を読んだので概要をざっくり紹介します。

なんとあのソフトバンク孫社長が高校生時代に読んで感銘を受け、著者である藤田社長に会うため会社に単身乗り込んだという逸話(後述)がある、まさに日本ビジネス史においても重要な役割を果たす1冊。

長らく絶版になっていたため、メルカリなどでは1万円近い高値がついているレア本だったのですが、KKベストセラーズより、ついに新装版が販売されました。(KKベストセラーズさんいい仕事してますね!)


「ユダヤの商法」にまつわる藤田社長とソフトバンク孫社長のエピソード

冒頭でも触れましたが、この本には非常に興味深いエピソードがあります。

それは、本書の筆者である藤田田社長と、ソフトバンク孫社長の間にまつわる逸話です。


当時高校生の孫社長は、本書を読んで非常な感銘を受けました。

そして、直接藤田社長に会って話を聞きたいと考え、福岡から単身上京します。

とは言え、多忙な藤田社長ですから、高校生に時間を割くゆとりはありません。

当然の如く、孫社長は面会を断られます。

しかし、さすが孫社長、高校生時代からその行動力は半端じゃありません。

なんとそれから1週間、藤田社長に会うべく会社に通い続けるのです。

そして最後の最後、口説き文句として秘書にこのように伝えます。

「三分間だけ、社長室の中に入れてくれればそれで良いです。私はそばに立って藤田社長の顔を眺めています。目も合さない、話もしないということなら藤田社長のお邪魔にはならないのではないでしょうか?」

こうして見事孫社長の執念は実り、藤田社長と15分間の面談にこぎつけることに成功するのです。


そして面談の中で孫社長は、

「これから有望なビジネスとはなんでしょうか?」

と尋ねました。


すると藤田社長は、

「これからはコンピュータの時代だ。これからビジネスをしたいなら、コンピュータの勉強をしろ」

とアドバイスを送りました。


その後、孫社長はアメリカに留学してコンピュータを学び、それが現在のソフトバンクに繋がっていくのです。


そういう意味でも、日本のビジネス界において非常に重要な役割を持つ1冊であると言えるのではないでしょうか。


ざっくり言うとどんな本?

さて、ここからは本書の内容に入っていきたいと思います。


本書は文字通り、藤田社長がお金儲けの天才であるユダヤ人たちから学んだ商法について書かれている本です。


そしてこの本がどういう人向けに書かれているか?と言うと、

ズバリ、、、「お金持ちになりたい人」に向けて書かれている本

です。


藤田社長によるあとがきではこんな言葉が書かれています。

お金が欲しいと思っているならこの本を読んで、ユダヤ商法を実行すれば必ずお金に慕われる。これまで経済学や商法の本が出版されているが、どの本にもお金儲けの法則が書いていない。それはお金儲けをしたことがない学者が書いているからだ。金持ちになれないとすればここに書いた定石を100%守らなかったから。100%守れば必ずお金持ちになれる。(あとがきより)

100%実践すれば必ずお金持ちになれる!と言い切っています。

もの凄い自信ですね。


◆本書は古いから役に立たない?

とはいえ、本書が出版されたのは1972年です。

当時は藤田社長が言うように、「どの本にもお金儲けの法則が書いていない」状態にあり、本書は画期的な一冊だったのでしょう。

しかし現在では「お金持ちになる方法」みたいな本は本屋に行けば至る所で見ることができます。


「もう時代遅れの話なのでは・・・?」

と思われる方もいるのではないでしょうか。


しかし、当然ながらそんなことはありません。

もしそうならば、レア本として高値がついているはずがないですし、復刻する必要もないからです。


確かに、1970年代と現在ではビジネスで稼ぐための「手段」として取るべき方法論は大きく変わっています。(その最たるものはインターネットの活用)


一方、時代が変わっても「原則」や「本質」は同じものです。

本書が絶版後も高値で売買されていた理由はここにあります。

ましてや、ロスチャイルド家を筆頭に、今現在も世界の富を支配するユダヤ民族たちの原則となればなおのことですね。


さて、以下では僕がポイントと感じた点をいくつか抜粋して紹介していきます。

こちらを読んでいただければ、そのどれもが現代に通用する本質を語っていることが分かると思います。


ユダヤの商法の具体的な内容を紹介

◆78:22の法則【20%の金持ち相手に商売せよ】

本書で一番最初に出てくるのが78:22の法則の話です。

パレートの法則とか、働きアリの法則とか言われますね。


要は、2割(の人や商品)が8割の成果(売上)を作っていて、残りの8割は2割の成果しか作っていないという話です。

→この理由は現代においても不明ですが、藤田社長は「人間の体の78%が水分で22%がその他」「空気は窒素が78%で酸素等が22%」といった例を挙げつつ、これは宇宙法則だということを述べています。


そして商売に関しても当然この法則が成り立つ、つまり、人口20%のお金持ちが全世界の富の80%を保有しているのだから、お金持ち相手に商売すべしと書かれています。


女と口を狙え

ユダヤのビジネスにおける格言としてこういうものがあるそうです。

「ユダヤ商法に商品は2つしかない。それは女と口だ」

要は、「女性相手に商売をすること」「食品など口に入るものの商売をすること」こそが儲ける秘訣だということですね。


お金を使うのは主に女性であるということ(食や服などのブームは若い女性から始まり、また、家庭においても財布の紐を握っているのは奥さんであるケースが多いというのは皆さまもご存知の通りだと思います)と、食べ物は人間にとって必ず必要であるという原則に基づいた考え方です。


なお、これはユダヤ4000年の公理なので証明は不要とのこと。

公理とは、証明ぬきで正しいと仮定されるもの(例:a=b なら、a+c = b+cである)を言うわけですが、女と口相手の商売は稼げるというのはそういう類のものらしいです(笑)


ちなみに、ユダヤ人に次ぐ商才があるとされる華僑(中国から海外に移住したお金持ち)は口の商品を扱うケースが多いらしいのですが、ユダヤ人は女性相手の商品を第一、口に入れる商品を第二としているそうです。

そしてこのことが、ユダヤ商人たちが自分たちを華僑より商才があるとしている理由とのこと。

つまり、女性相手の商売が最強ってことですね。


契約は絶対に守る

ユダヤ人の教典である旧約聖書は、「神とイスラエルの民の契約の書」とされています。

旧約聖書を拠り所としているユダヤ人は、一旦契約したことは何があっても破らない一方、相手が契約を守らなければ容赦無く損害賠償を突きつけるそうです。


そもそもお金の本質とは信用です。

信用がある人の元には、このお金を運用して欲しいとか、あなたに投資しますとかで、お金がどんどん集まってきます。(クラウドファンディングなんかは分かりやすい例)

その一方で、預けたお金が返って来なかったとか、不正に使用していたなんてことになれば一気に信用は落ち、その後お金を集めることは非常に難しくなります。


この信用というのは約束を守ることの積み重ねでできるものです。

それはお金の約束に限らず、時間の約束も含まれます。(ユダヤ人は締切にもめちゃくちゃ厳しいそうです)


しかし、完璧な言行一致というのは簡単なことではありません。


ユダヤ人が商売の天才である由縁は、小さい頃から旧約聖書を通じ「契約(約束)」の大切さが自然と習慣化されているところにもあると言えるのではないでしょうか。


仕事を翌日に持ち越すのは恥辱

ユダヤ人の習慣として、出勤して1時間(「ディクテイト」の時間)は前日の退社後から出社時間までに届いた商取引の返事に費やすそうです。

そして、この時間は絶対にユダヤ商人に面会することはできないとのこと。

これは、ユダヤ人は即刻即決をモットーとしており、前日の仕事を持ち越すことを恥辱だと思っているからだそうです。


自分の商品は絶対にまけない(安売りしない)

ユダヤ商人は、ある品物を高く売ることについて、あらゆる資料でその正当性を説明(教育)するそうです。

商品に自信があるから絶対に安売りしない、だから利益が大きい、ユダヤ商法が儲かる秘密はここにあると藤田社長は書いています。


また、ユダヤ人は日本の「薄利多売」はバカだ(たくさん売るならたくさん儲けるべき)とまで言い放ったそうです。(そのことに対し藤田社長も認めざるを得ないと述べている)


価格競争に陥るほどに体力が消耗していくのは、ビジネスをやるなら誰もが分かっていることだと思います。

ユダヤ人の「良いものをきちんとした値段で売る」という考え方は、とても重要なポイントであると感じました。(もちろん悪い品を高値で売るのはお話にならないです)


ご飯はゆっくりと楽しみ、決してビジネスの話をしない

ユダヤ人はたっぷり時間をかけて食事をし、その中では豊富な雑学を駆使して様々な話をするそうです。

しかし、食事中に戦争と宗教と仕事の話だけは決してしないとのこと。


これは、飲みニュケーションや、ランチミーティングなどの重要性がよく取り上げられる日本の常識とは大きく異なるので大変面白い話だと思います。


納得するまで取引はしない

ユダヤ商法の鉄則として、「納得してから取引する」というものがあるそうです。

これは別に商売に限ったことではなく、例えば他民族の慣習などについても、質問に質問を繰り返し、納得するまで質問の手を緩めないのがユダヤ人の特徴とのこと。


これと似たような話で言うと、世界一の投資家ウォーレン・バフェット(彼はユダヤ人ではありませんが)の投資原則に「自分が分かるもの以外は絶対に購入しない」というものがあります。


結局のところ、投資であってもビジネスであっても(さらに言えば人間関係であっても)、うまくいかせるための本質は同じだということですね。

まさに原理原則として押さえておきたい考え方だと思います。


おわりに

以上、「ユダヤの商法」について紹介してきました。


最初のほうでも書きましたが、本書の価値は「時代関係ないビジネスの本質」を学べる点にあります。


もちろん本書が最初に出版された1970年代とは違い、現在ではお金の稼ぎ方の本質を学べる本も多数出ていると思いますが、ここでポイントになるのは我々が誰から学ぶのが最も効果的なのかという本質です。


それは、大きな成果を出したいなら大きな成果を出している方(ズバ抜けたレベルの成果を出している方)から学ぶということです。


そういう意味で、日本マクドナルドや日本トイザらスを創業し、あの孫社長から尊敬されていた圧倒的成功者の藤田社長からビジネスの本質を学べる本書は大変貴重なものです。


経営者の方や、ビジネスで大きな成果を出したいと考えている方ならぜひ押さえておきたい一冊です。

(なお、あとがきの中では「金持ちになれないとすればここに書いた定石を100%守らなかったから。100%守れば必ずお金持ちになれる。」と書いてあります。あくまで今回の書評は抜粋ですので、良さそうだと思ったならぜひ購入して、隅々まで読んで徹底的に実践することをオススメします)


貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!

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