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J3 第16節 レビュー【カマタマーレ讃岐 vs 鹿児島ユナイテッドFC】WELCOME BACK!

2021.8.28 J3 第16節
カマタマーレ讃岐 vs 鹿児島ユナイテッドFC

こんにちは。
今回もご覧いただきありがとうございます。

遂に帰ってきました、J3。WELCOME BACK!
ぼく史上最速のタイトル回収です、ありがとうございます。

さて、約1ヶ月半もの中断期間、いかがお過ごしだったでしょうか。

オリンピック、海外サッカーの開幕、J1・J2、インターハイ、各世代のクラ選。観る試合が多すぎると何も手をつけられなくなる病気持ちの僕は、毎オフのように怠惰に過ごしておりました。保険が下りて欲しい。

そんな僕に、規律正しい生活を取り戻せと言わんばかりに再開したJ3。中断期間で米澤はワイルドな風貌になったんですね。彼を初めて見たのは神戸ユース時代だったんですが、なんだか、大人になったなぁと。←

さらには、次の試合まで2週間の余裕があるのは、リハビリ期間をくれた日程くんの温情でしょうか。ありがとう、ありがとう。

とにもかくにも、再開初戦の讃岐戦。2-1の勝利。
上野体制の「初陣」と言っても差し支えないはずなので、勝ち点3を持って帰ってこれただけでも上々です。

さらには、中断期間で補強した新加入選手のプレーも見ることが出来ました。

今節も読み取れた範囲で振り返っていこうと思います。
ご笑覧ください。

0.スターティングメンバ―

TACTICALista_2021A讃岐戦スタメン

スタメン見て行きましょう。まずは鹿児島。

長らく離脱していたイヨハが鹿児島デビュー。スピードがある分、讃岐の強力FW2人を前にしても、勇気を持ってラインを上げられます。また高さもあり、CK残りからアシストもしてくれました。ありがとう。

一方で今節を見た限り、ボール保持の質は田辺が上回るかなという印象でした。が、決して質が低いわけでは無いのでスタメン抜擢は妥当だと思います。

またそれにより、田辺もDHに復帰。後述もしますが、やはり彼がビルドアップでアンカー役を担うと、安定感があります。その影で八反田はベンチ外になりましたね。まぁ近い内に帰ってくるでしょう、きっと。

他にもベンチには新加入の秋山・島津の両名がメンバー入りしました。島津はプレー時間が少なかったので何かを判断するのは避けますが、秋山は改めて期待が持てると言って良いのではないでしょうか。

DHが空けたスペースに落ちてプレーすることも多々ありましたが、引きつけてリリースを繰り返せる技術と認知能力を見せてくれたと思います。

一方で、そんなに寄らなくてもいいのになぁと思ったり、ボール保持の時間が長かった分、各所で言われていた守備強度の脆さも露呈せずに済んだだけだったりするかもしれません。

まぁ、その辺りの課題を克服するためにここに来たと思うので、これからも頑張ってください。あわよくば鹿児島を大好きになって定住してください。よろしくお願いします。

続いて讃岐です。
讃岐は前回対戦時と変わらず、3-3-2-2の採用。メンバーも大きく入れ替わっていないはずです。今日は両WBが厄介でした。

ですが、ピッチ内での振る舞いからは少し変化を感じました。次項で鹿児島の変化と共に振り返ります。

1.セットDFの変化とビルドアップ

鹿児島のセットDFから行きましょう。

TACTICALista_2021A讃岐戦鹿児島守備セット

前半戦には前プレを積極的に行っていた鹿児島。
しかし今節は、ゾーン2まではリトリートがメイン。そこから守備ブロックを形成していました。

前半戦には、前線3〜4人の気持ちプラスが空回り、プレッシングが機能しないことも多く、また8月のこの暑さなので無理な前プレは断念したのかと思われます。

そんな鹿児島は、基本的には4-4-2で構え、鹿児島SHは讃岐WBとお付き合い。ラインを押し上げ、コンパクトにブロックを固められている場合にはSHが左右CBまで前進し、外切りでWBへのパスコースを断つアクションも見られました。

また序盤、鹿児島DHが讃岐IHをそれぞれ監視する形を取っていましたが、讃岐IHがサイドに流れることも多かったので、鹿児島SBが対応することも、それに準じて多くなりました。

そのことで水を得たのはWBの4番薩川です。28:30のピンチでは、IHがサイドに流れることで対応したフォゲッチ-ウェズレイ間が広がり、そのスペースを使ってペナ内に侵入されてしまいました。

失点もその薩川から喫しましたが、そこについてはクロスを挙げた19番川崎へのプレスの弱さ・五領のボールウォッチが原因として大きかったと思います。せっかく得点がゴラッソだったのにおこですよ、五領選手。

守備については後半オープンになったことや、イヨハが言及していた「守備のリスク管理」が物足りない点でピンチも迎えましたが、そこは能力の高い鹿児島の選手達、なんとか処理は出来てしまうんだなといった具合でした。

課題はあれど、今回のような守備セットに移行したのは僕が読み取れた上野体制の型で、最も特徴的だったと思います。

続いて、鹿児島のボール保持についてです。

TACTICALista_2021A讃岐戦ビルドアップ1

今節、讃岐プレス隊は5枚で徹底的に嵌め込んできました。前線中央の4人を噛み合わせ、サイドにボールが出た時はボールサイドのIHがSBを対応、空いた鹿児島DHに対してはアンカーの7番西本まで出てきます。

前回対戦時にもIHまでは前に出てきていたのですが、7番西本が積極的に前進するのは少なかったと思います。なかなか執拗な前プレを交わせない鹿児島のビルドアップを鑑みてなのかは分かりませんが、それにより序盤にビルドアップで苦慮したことは間違いありません。

TACTICALista_2021A讃岐戦ビルドアップ2

そこで、第一の対応です。田辺がCB間に降り始めます。得意な左CBの位置に落ちる形ですね。

ボランチ落としをすることで讃岐FWのプレス基準をズラし、ウェズレイが9番栗田の脇で受けられる場面が出てきました。

そのことで、5枚で前プレに来ている讃岐プレス隊をウェズレイの楔のパスで一気に通り抜けが出来始めます。

しかし、この時点では讃岐最終ラインの数的優位。
迷いなく前方まで潰しに掛かることができ、それは受け手の五領が下がりながら受けざるを得ない事態に繋がるので、ロストしやすい状況が生まれていました。

前半には2本ほどウェズレイ→五領のパスが通りましたが、いずれもボールを失っています。

またこの他にも、SB・SHの内外関係もスムーズに行かず、居て欲しいポジションに居てくれない場面が見られ、繋いで前進が難しくなっていました。

粗ばかり触れてきましたが、そんな中でも、良い場面はいくつか生まれています。

中でも33:40〜では、フォゲッチや酒本の立ち位置によって讃岐の選手をピン留め出来ていたことで、2nd-3rd間でオープンに受けられた中原→米澤のラストパスに繋がり、チャンスが生まれています。

しかし、再現性は乏しい現実。
讃岐の出方に対応した再現性のあるビルドアップの光明、特にウェズレイの楔のパスが光り始めたのは後半に入ってからでした。

2.ウェズレイの楔と萱沼効果

後半50分過ぎに薗田に代わって萱沼が投入されます。

かねてより、少し落ちてボールを受けて散らすプレーを得意として、トップ下でも起用された萱沼。

ウェズレイの楔のパスを活かし、讃岐の前プレをひっくり返すには彼のその個性が光っていました。

TACTICALista_2021A讃岐戦萱沼効果

讃岐のセットDFは同様。
ここでは最前線で五領が少し中に絞り、4番薩川と33番遠藤に影響を与え、ピン留めしています。

加えて中央のCB30番竹内は、中央・最終ラインの自らのポジションを空けることが出来ないので、萱沼は相手を背負わずに受けることが出来ています。

さらに萱沼か田辺かという選択肢を与えられた15番岩本は、明確にどちらかへチェックに行けません。萱沼・田辺の距離感も良いので、田辺にレイオフから展開も出来た場面でしたが、ここでは萱沼が自ら展開して行きます。

この一連の流れが、どこまで計画的に行われていたかは推測出来ませんが、結果的には2nd-3rdライン間を狙う手段に対しては有効な交代となっていました。

一方で萱沼は、やっぱり動きすぎやろ!と思う場面が多かったのも事実なので、そこは試合毎の狙いや疲労などと相談していかないといけないかなと思います。

また後半は、讃岐の前プレも弱まり、IHの出足が出なくなってきます。代わりにWBがプレスに参加してきましたが、ビルドアップは楽になる、どころかそれを逆に利用して前進出来ていたと思います。

3.左サイドの崩し

WBの釣り出しについては、左サイドでのお話。

TACTICALista_2021A讃岐戦砂森インナー

前半は両サイド共にSB大外・SH内側の関係性が主でしたが、後半に入ってSBがインナーに位置取り、讃岐の2列目・3列目を動かす場面が増えてきます。

恐らく、前に残る9番栗田・13番重松の手前、予防的ポジションが危うくなるSBの大外からの前進より、SBをリスク管理すべきポジションに残らせ、シンプルにSHで勝負させる修正が入ったかと思います。

上図は、右サイドで密集を抜け出し、田辺が左を向いているところ。砂森は田辺の体の向きの先にいることで、19番川崎を釣り出せています。

このことで、田辺→秋本→米澤と繋いだ時には、米澤と左CB3番松本が対峙する形になり、讃岐最終ラインを晒せた状態になりました。

このシーンは米澤の突破からシュート出来たものの、不発。しかし、米澤の位置取りによっては、3番松本まで引き出し、中央で待ち構えていた薗田まで届けるなど、効果的だった場面も多々ありました。

このチームの攻撃は、やはりSHが引っ張る部分は大きいはずなので、こういったSHが質で蹂躙出来る場面を創っていくことは続けて行きたいですね。

また、予防的ポジションについてはもう一つ。
後半のさらに終盤にはオープンな展開からカウンターを許す場面も増えていました。

オリンピックの男子サッカーでも、リードして迎える試合終盤の締め方が取り沙汰されましたが、同様のことがこの試合にも言えると思います。

リードしても追加点を狙いに行くサッカーは魅力的かもしれませんが、それこそ2年前のFマリノスのようにタレントが揃わないと難しいのが現実です。

やはりスコアや時間経過によって、締めるべきポジション・取るべきアクションの判断は求めていきたいところです。

4.あとがき

なんとか勝つことは出来ましたが、監督コメントにもあったように苦しい試合でした。

得点も再現性がある2点とは言えず、今後の成り行きにも不安が無いと言えば嘘になります。

しかし、そういう苦しい試合で勝利を挙げられたことは1つ喜んで良いのではないかと思います。

今節の結果で、昇格圏までの勝ち点差は5。
お、頑張れば行けそう。

これで波に乗り、昇格まで突っ走りたいところですが、山積する課題もあり、期待出来そうな秋山・島津も来年いませんよと言われたら文句は言えません。

やっぱりチームの底上げしか無さそうなので、じっくり見守ることにします。

それでは次節は1週間飛んでホームのいわて戦。
次回もよろしくお願いします。

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