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ファシリテーションについて

久々に小布施でオフラインのワークショップを見学。率直に面白かった。ワークショップデザインってこういうことだよな~とかファシリテーターとしてレベルが上がっていくのってこういう感じだよな~とまだまだ勉強中である自分もヒヤヒヤ、わくわくする感じが面白かった。

自分よりも10歳くらい若い人(が多い)中で行われるワークショップデザイン、ファシリテーションプログラムを見ながら感じたことを雑に書いていこうと思う。

ファシリテーターとしての最初の壁

ファシリテーションって、イメージ的には司会進行をするものに見えるので、なんとなくスムーズに話せることが大事とか頭の回転が速いことが大事って思われそうだけれど、それ以上にその場にいる人の共通認識を少しずつすり合わせていくみたいな作業が一番大事かつ最初に立ちはだかる壁なのかも?と思った。
そのために必要な事柄が大きく2つあるように思う。

1.共通認識のズレに気づく

初めてやると、自分の思い描いていたイメージに合わせてワークショップを進行してしまう。(これ自体は悪いことではない)
一方で、人間でコンピュータではないので特定の情報をインプットしてもその時の体調や感情、他の情報と組み合わさることで、どうしてもアウトプットされるものにはばらつきが生じる。
つまり、1つの言葉を伝えたとしても各々の頭の中にあるものはかなり違う可能性があるということをあらかじめ認識しておかなくてはいけない。
これが設計者としては難しいポイントで、設計者自身はそこについて十分に考える時間を持っているため、言葉や問いの持つ情報量が本来参加者よりも圧倒的に多いはず。でも「自分がこの言葉/問いを聞いてこういうイメージを想起したから、きっとみんなこう思うに違いない」という感覚を最初は抱いてしまう。そのため、本来考えてほしい問いへたどり着くのに時間がかかたり、誤解したまま進んでいって終盤にアレ?となるケースもしばしばある。
また発言している人は思考している最中でもあるため、他の人との意見の差異みたいなものになかなか気づけない。特に参加者にとって重要なテーマだったりすると感情が入ることで余計に周囲の情報との差異に気づくことが難しくなる。
「あれ?みんなおんなじようなこと言ってるようで、違うものイメージしているかも?」にいかに早く気づけるかでその後の議論がスムーズにいくのでここは初期の学習でポイントになる点な気がした。
ちなみに最近これが上手だなと思ったのはAbemaTVで司会をしている平石さんで、みんなめっちゃ感情的、主観的に意見を出すあの場でそれぞれの認識が違う部分を結構的確に指摘して、そこについてどう思うのかそれぞれの意見を引っ張り出しているので、非常に勉強になる。

2.介入の仕方

気づけるということはとても重要で、それも大事なんだけど一方でその次のステップもまた難しさを伴うところではある。
ここは、自分も昔死ぬほどダメだしされたので、よくわかるがファシリテーターとしての歴が短いと「ここで介入することがベストなのか」という問いが常に頭の中によぎる。
自分の考えてほしい方向性などに違和感があったとしても、ワークショップの理念を理解していれば理解しているほど、「参加者の主体性に任せた方がよい」ということを考えすぎてしまう。
自分も昔考えすぎて発言できなくなったり、逆にしゃべりすぎたりしてうるさいと怒られたのでよくわかる。(笑)
今の自分の考えの中では、「主体性は発揮しやすい環境が整わないと発揮しづらい」ということである。
話しづらい環境の中では、意見を主体的に言うことはできないし、みんな見ている方向が違う中で意見を言うのはだれしも怖い。その中でそれってこういうことですか?ということを参加者が言うのは、よほどの熟練者ではないとかなり難しいものになると思う。
だからこそファシリテーターが一番最初に「意見や発言の意図をしっかりと深める問い」を発さなくてはいけないと思う。

・Aさんの言いたいことってどういうこと/こういうことですか?
・BさんとCさんの意見って似ているって感じたんですが、お二人はどう感じますか?
・DさんとEさんの意見の違いは何だと思いますか?

状況によるので、どういった問いが適切かはいろいろあるものの、こういった問いかけが必要な場面は多くあり、そこに介入していくのがファシリテーターの仕事だとも思う。
もちろんワークショップなので、事細かに常に言葉に対して厳密である必要はない。一方で、核になる部分はすりあっていないとなかなか話が進まなくなってしまうのでそこをすり合わせるための一歩踏み込む勇気をどこまで持てるかはとても重要だと思う。
またここで介入するためにも必要なスキルはめちゃめちゃある。
こういったことは事前に想定しづらいので「即興力」必要になってくるし、その場でのみんなの意見をそれぞれどういう認識に立っているのか、またどういう違いがあるのか即座に考える「情報編集力」もいるし、意見や情報の意味を多義的にとらえながら、新しく編みなおす「リフレーミング力」もいるし、その場で意見を言ってみんなと話ができる「場のホールド力」もいる。
1つの状況に対応するためにかなり複数のスキルをパラレルで動かさなくてはいけないのがファシリテーションにおける難しさだと思う。
加えてここで「嫌われたらどうしよう」「変な奴だと思われたらどうしよう」と思ってしまうとより言葉が出てこなくなる。(平岡はマジで一時期吃音みたいになって焦った(笑))
こういった介入をどのようにしていくかを経験しながら洗練していくためには、こういったことに常に自覚的である必要があるんだと思う。

とりあえずまとめ

実は前述の2つはもっと大きく言うと「観察」と「調整」と言われたりします。また文章の中でやや無理くり意図的につめこんだ各種スキルについてはMIMIGURIの安斎さんが書いている『問いのデザイン』という本の中で書かれています。もし興味のある方がいたら読んでみてください。自分のファシリテーションについての解像度が一気に上がるかもしれません。

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