GIGA スクール構想について

子ども向けのアプリを少し作ったことがある身として、教育について興味があり、GIGA スクール構想について調べてみました。

文部科学省:GIGA スクール構想

「GIGA スクール構想」とは、これまでの教育と ICT を融合させて児童の学ぶ能力と先生の教える力を引き上げ、大小さまざまな社会の課題を解決する能力が得られるようにすることを目的としています。

現状

▼学校における教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数が多くない
 平成31年は全国平均が 5.4人/台。
 地域差が大きく、最高 1.9人/台に対して、最低 7.5人/台となっています。

▼学校における ICT 利活用は世界と比較すると遅れている
 OECD 加盟国で最下位です。
 (例)1週間のうちに授業でデジタル機器を利用する時間
  - 国語:日本が 14.0% に対して OECD は 44.5%
  - 数学:日本が 7.8% に対して OECD は 37.8%
  - 理科:日本が 19.0% に対して OECD は 46.6%

▼学習において毎日 ICT を利用する機会が少ない
- コンピュータを使って宿題をする:日本は 3.0%、OECD は 22.2%
- 学校の勉強のためにインターネットのサイトを見る:
  日本は 6.0%、OECD は 23.0%

一方で、学習以外での毎日の利用は状況が逆転しています。
- ネット上でチャットをする:日本は 87.4%、OECD 67.3%
- 1人用ゲームで遊ぶ:日本 47.7%、OECD 26.7%

問題点

学習において ICT をうまく活用できておらず、将来における社会の課題解決がうまく行えない可能性が懸念されます。

問題点解決のために

これまでの教育の蓄積と ICT(1人1台端末) を組み合わせることによって、学習が以下のように変化していきます。
- 教師が一方的に説明していたものが、児童の様子を踏まえた授業を行う
 ことができる。
- 全員が同時に同じ内容を学習していたのが、個人のニーズや進度に適した
 学習ができる。
- 特定の人に偏りがちだった発表が、各人の意見を相互に交換することが
 可能になる。

また、ICT の活用により、以下例のように学習の質が向上することが期待されます。

(例)
・学習時の調査
 課題や目的によってはインターネット等で調べることがあり、
 情報を収集、整理、分析して学習に役立てることができる。
・表現
 発表で使用する資料を作成する際に、文章をきちんと考えて推敲したり、
 絵や写真、グラフなどで分かりやすく表現できるようになる。
・遠隔での教育
 場所、時間、国を超えての連携が可能になり、様々な人の考えに
 触れることができる。
・情報モラル
 情報を発信する機会が増えるため、他者への影響や自他の権利、
 行動に責任を持つといったことを意識できるようになる。

そして、最終的には様々なツールを利用して、社会の課題解決ができるようになることを目的としているように見えます。
例えば、Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics (STEAM) での学習を、課題解決に生かしていきます。プログラミングもそのツールの一つです。
学びを探求に昇華させ、課題の設定->情報収集->整理・分析->纏め・発信 のサイクルを回して課題解決を行い、社会をより良くして発展させていこうとしています。
そのための道具として、ICT 利活用が活発になっています。

GIGA スクール構想実現へ(PDF)

なお、この構想を実現するために、学校の ICT 利用のノウハウ集を公表したり、関係省庁の施策との連携、民間企業からの支援協力を募集したりと、世界との差を認識して危機感を持って進めていこうとしているように見えました。

GIGAスクール構想の実現パッケージ(PDF)

おわりに

子どもの通う小学校でタブレットを使った授業や宿題があったり、土曜授業で Google Meet を使った遠隔授業をしたりと、この構想が徐々に進められている実感があります。

文部科学省の動向は、今後も注視していきたいと思います。

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