学習用端末準備におけるBYOD(自己持込)端末の影響

はじめに

高等学校における学習者用コンピュータの整備状況について (PDF)

令和4年(2022年) 2月4日に、都道府県別の公立高校における学習者用コンピュータの整備状況について上記資料が公開されていました。
この資料の中で、BYOD(自己持込)端末がある府県がありましたので、BYOD端末の影響について考察しました。

内容

令和3年(2021年)12月27日、令和4年1月11日に、高等学校における学習端末整備を促進するよう、文部科学省初等中等教育局長や文部科学大臣、デジタル大臣より通知やメッセージが発信されました。

これに伴い、以下が予定されています。
・令和4年中に、全都道府県において、令和4年度1年生に対して1人1台環境整備が完了予定。
・令和6年度(2024年度)までに、全学年の児童に対して1人1台環境整備が完了予定。

今は2月下旬ですので、残り1ヵ月ちょっとで来年度1年生分を用意し、さらに 2 年で全学年の生徒全員分を準備するというものとなっています。

3-5 ページで各都道府県および政令指定都市の公立高校における端末の準備状況が示されていました。
学校数、生徒数、公費整備台数、PC教室分台数、BYOD端末台数、割当率(台数/生徒数)といったデータです。

割当率には 26.1% から 100% とばらつきがあり、場所によっては BYOD 端末利用があるところもあります。
都道府県ごとに準備計画にばらつきがある状況です。

考察

BYOD 端末を学校で利用する場合、生徒や教員にどのような影響があるか考えました。
現状、以下のような問題が出ることが想定されます。

①学習で使用するツールをインストール等できない可能性

公費で整備した端末は、学習ツールの利用要件を満たしているため、利用できないことはあり得ないと考えられます。(ソフトウェアバグなどは除外)

しかし、BYOD 端末は必ずしも要件を満たしているとは言い切れず、たとえ使用できたとしても何らかの原因で突然使えなくなる可能性もあります。
使用できなくなった場合、原因調査に長期間を要することが考えられ、問題解消までに他の端末が必要となります。

使用中に問題が発生しないようにするため、BYOD 端末が要件を満たしているかを事前に確認する必要があるが、すべての過程で確認できるとは言い切れません。
確認にそれなりの時間を要することが想定されます。

②端末 OS のソフトウェア更新やセキュリティソフトの最新化が行われていない可能性

公費で整備した端末は、遠隔で OS のソフトウェア更新やセキュリティソフトの最新化が可能な場合があります。
管理者が行いますので、生徒や保護者が手動で更新する必要がないと思われます。

一方で、BYOD 端末は生徒や保護者が手動で更新する必要があるため、最新化されておらず、特定の脆弱性を突かれて個人情報を盗られる可能性が否定できません。

③端末を外に持ち出した際、盗み見られるなどして端末所持者以外の個人情報が流出する可能性

個人的な利用で外に持ち出した際に、例えばちょっと離席したタイミングで個人情報が盗み見られることが想定されます。
しかも、学校でグループ学習などをした時の情報があって、その情報からグループメンバーの個人情報が盗み見られる可能性もあります。

公費で整備した端末でも同様の可能性はありますが、BYOD 端末より格段に「公的な設備」という認識を持てるため、外への持ち出しの機会は多くないのではと思われます。

※Wifi 設定ができず、授業できない場合がある
 ⇒高校生はスマホに慣れ親しんでいると思われるので、学校での Wifi 設定ができないというのは考えにくいと思われます。

まとめ

上述の内容から、BYOD 端末が学習ツール利用要件を満たしているかを事前に確認したり、何らかの問題で BYOD 端末が利用できない時の予備をいくつか準備しておくなどする必要があります。
つまり、確認の時間が保護者に発生し、予備端末準備の工数が学校側に発生します。

また、個人的な利用で外に持ち出した際の注意点を説明する等、ルールや注意点を生徒と保護者に認識してもらう必要があります。
つまり、ルール説明や認識に、生徒と保護者の理解が必要で、定期的な注意点周知が教員側に発生します。

費用面では公費負担は減少するものの、現場において生徒・保護者・教員に別の形で負担がかかる可能性があります。
★費用負担が設置者か保護者かについては、計画途中で変更されないと言い切れません。

私見では、公費での端末準備の方が現場での負担は少ないと思われますが、費用面の問題はどうしようもないかもれません。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?