GIGA スクール構想 年度更新タスクリストに関する考察

GIGA スクール構想 年度更新タスクリスト (PDF)

はじめに

GIGA スクール構想では、1人1台端末を利用して学習することとなるため、年度末に大きなタスクが発生します。
上記ページでは、4 つのタスクについて内容が記載されているものになっており、役割分担をして計画的に実施する必要があります。

それぞれについて、具体的な内容を考察していきます。

①アカウント (ID) の更新

アカウントの種類を正確に認識し、入学・進級・卒業する児童(生徒)を更新する必要があります。
入学の場合は新規登録、進級の場合は学年やクラス編成の変更、卒業の場合は特定期間保持したのちに削除する等の対応を行うことが想定されます。
(転校による転入と転出については、突発で実施するものであるため、対象外になるかと思います。)

具体的には、以下を実施することが考えられます。

・新 1 年生(新規登録)
 1. 新入生名簿を作成して確定させます。
 2. 新入生名簿を元に、各学習アプリにて ID を作成します。

・新 2-6 年生(更新)
 1. 更新前データのバックアップを作成します。
 2. 新学年のクラス編成データを元に旧学年のデータを更新して、新学年のデータにします。
 3. 更新前に取得したバックアップを削除します。

・卒業生(削除)
 1. 卒業生用のデータ領域を作成します。
 2. 卒業生のデータを作成した 1 の領域に移動します。
 3. 2 のデータを、卒業生の個人アカウントに移行(コピー)します。
 4. 2 のデータを、一定期間経過後に削除します。

・教員も新任、離任により入れ替わるため、児童(生徒)と同じような対応を行うことになります。

GUI (グラフィカルユーザインターフェイス:買い物サイトのユーザ登録画面での入力みたいな形)で 1 つずつ登録できるようにする方法と、CUI (キャラクタユーザインターフェイス:コマンドで一括実行する形)で 1 クラス分を
纏めて処理する方法の 2 つがあります。

GUI は、時間を要するというデメリット、手順書さえ作ってしまえば確実に作業ができるというメリットがあります。
CUI は、処理時に問題が発生すると開発した企業への問い合わせが必要になるデメリット、複数名分を一気に処理できるというメリットがあります。

児童(生徒)の新規登録・更新・削除は、新入生のリストや新学年のリストがあれば自動化できるかと思います。
例えば、Oracle Database の場合だと SQL*Loader を使用すると新入生名簿 (CSV) をデータベースに挿入することができます。
新学年のデータにする場合には、SQL 文を使用すれば変更できるのではないかと考えています。
(他のデータベースソフトでも類似の機能があるのではないでしょうか。)

GUI と CUI のどちらを採用するかについては、手順書作成(手順書内容を変更する必要がある場合には更新)、CUI による処理の開発の費用・時間を鑑みて決定することになるかと思います。

②端末の更新

具体的には、卒業生の端末を回収してすぐに整理・初期化し、新 1 年生用にするというものです。
ただ、年度の後半で人数が変動する可能性はありますので、不足分は最終調整(新規購入等)することになります。

③データの取り扱い

データとは、アカウントや各種学習成果物のことを指します。
・転入出、進学:転出、進学先の運用方針に従って対応することになります。
 転出の場合、特定期間経過後は削除されます。
・卒業:卒業生が管理する個人アカウントに移行したり、USB メモリなどの外部媒体に出力する等して提供することになります。(特定期間経過後は削除されます。)

データ削除は、それ自体難しい話ではないと考えています。

しかし、転入出時データ授受時はもう片方の学校の担当者と、データを卒業生に提供する時は保護者と、やり取りが必要になるかと思います。

(例:データを卒業生の個人アカウントに提供する場合)
・卒業生保護者への提供先アカウント作成とアカウント情報提出の依頼
・データ提供後の確認依頼 (対象データがすべて提供されているか、データが破損していないか)

④組織体制の整備

内部で実施するのであれば、アカウントの更新、端末の更新、データの提供の 3 つについて複数名担当を割り振って対応していくことになるかと思います。
教員の方は次年度の新体制作りで多忙である可能性が高いため、学校事務の方が担当されることが想定されます。

学校の規模が小さい場合は学校事務の方のみで対応できそうですが、学校の規模が大きい場合は外部業者へ委託することがあるかと思います。
外部委託の場合、特定の方が取り纏めの窓口になり、以下を行う必要があります。(例であり、すべてを網羅したものではありません。)
・タスクとスケジュールの把握
・タスクの進捗の把握
・成果物または作業結果のチェック
・保護者への配布物がある場合は各クラス担任教員との連携
等など。

まとめ

学校というより、自治体で一括して対応するというのもありかなと思える内容でした。
学校事務の方の負担がどのくらい増加するのか、きちんと見積もった方が良いかもしれません。

なお、冒頭に記載した PDF は、リンク切れとなっている場合がありますので、その時は以下のようにページを遷移してご覧ください。
GIGAスクール構想の実現について
⇒(令和3年12月21日)1人1台端末の年度更新について
 ⇒GIGAスクール構想 年度更新タスクリスト (PDF:569KB)

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