GIGA スクール構想における学習者用端末の標準仕様の考察(CPU、メモリ)

GIGA スクール構想の関連資料に、学習者用端末の標準仕様が記載されていたので、今回はその中でもノート PC の CPU とメモリについて触れたいと思います。

GIGAスクール構想の実現パッケージ (PDF)
⇒p3:学習者用端末の標準仕様

「5万円程度の価格帯」であること、実際の価格や性能を考慮しながら、なぜ CPU が Celeron 同等以上、メモリが 4GB なのかを考えていきたいと思います。

「5万円程度の価格帯」について

標準仕様のページの中で、「米国の300ドルパソコンを念頭に、大量調達実現を含めて、5万円程度の価格帯」と記載しています。
アメリカの PC が日本円にして 34,500 円ほどであることを参考にして設定しており、イギリスでも同じような価格帯の教育向け PC が出されています。

教育向けコンピュータの英Kano、Windows 10搭載「Kano PC」を300ドルで発売

大量に必要で、調達が簡易で、多くの児童にいきわたらせることができるという点から、この価格帯になったと考えられます。
仮に Core 系 CPU を調達しようとすると、ビジネス用 PC を必要とする人たちと取り合いになる可能性があります。

CPU の性能と価格、OSやソフトウェアのメモリ使用量の関係

人が机で作業することに例えると、CPU は作業する人の頭脳、メモリは作業する机の広さに相当します。

CPU は、インテル社の Core系(i3/i5/i7) や Celeron、AMD 社の Athlon や Ryzen が有名どころです。
さらに Core 系と Celeron について見てみると、Celeron は Core 系の廉価版であり、Core 系より性能が低いものとなります。

以下サイトに、Celeron と Core i5 のノート PC の参考価格が記載されており、Celeron 搭載のものは 4万円・5万円台であるのに対して、Core i5 搭載のものは 7万円・8万円台となっています。
このように、調達に必要な費用として 2万円~4万円差がつくことになります。

参考:Core i5とCeleronで仕事に差は出るのか? ブラウザやOfficeアプリの動作速度の違いを動画で徹底検証

メモリは、Samsung(サムスン) や SK Hynix(ハイニックス) が挙げられます。
メモリ容量が大きいほど机が広くなるため、複数のソフトウェアを動かすことができます。

ここで、メモリ使用量をイメージしやすくするため、Windows OS や他のソフトウェアのシステム要件を見ていきます。

【Windows 10 (OS:オペレーティングシステム)】

Windows 10 コンピュータの仕様とシステム要件を見つける方法
⇒「Windows 10 インストールのシステム要件」
RAM がメモリのことで、通常は 64 ビット版であるため、2GB が最低でも必要となります。

【ソフトウェア (セキュリティソフト)】
ウイルスバスター クラウドの動作環境 (トレンドマイクロ社)
Windows 10 の場合、2GB 以上必要になります。

【ソフトウェア (学習教材)】
推奨動作環境 (すらら社)
メモリは 4GB 以上と記載されています。

ソフトウェアは必要に応じてインストールされ、加えてノート PC に抱き合わせのソフトウェアが入っており、常駐している(常時起動している)ものもあります。
メニューバーにマウスを合わせて右クリックして「タスク マネージャー」を選択し、「詳細」タブをクリックすると、どのソフトウェアがどのくらいのメモリを使っているか確認できます。

Windows 10 を通常起動すると、Google Meet とかと学習用アプリを 1 つ起動すれば、メモリはそこそこの使用率になる可能性があります。

まとめ

大量・容易に調達するために、CPU は廉価でそれほど性能は高くなく、メモリはアプリを 2 つくらい起動できればいいような性能となっているように思います。
たくさんのソフトウェアやアプリを一度の学習で使用する状況は多くないため、ちょうどいいのではと考えています。

もし学校での教材を超える学習をしたい場合には、それをより使いやすい性能の機器を個人で購入すればよいので、大きな問題はなさそうに思います。
学校側で、教員が使用できる少数の高性能機器を所有するでもよいかもしれません。

ちなみに、Windows 10 は最長でも 2025年10月までのサポートとなっており、後継の Windows 11 の CPU やメモリの要件は変わらないものの、ディスク容量が 64GB 以上のものが必要となります。
が、ディスクは大容量でも安価なものがあるので、問題はなさそうです。
Windows 11 の仕様、機能、コンピューターの要件を確認する

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