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悪は「自己」が見ている

 法然上人は、「誰にも聞かれないように、盗っ人するように念仏申せ」と元泥棒の弟子に話された。善い事でも、人に見せびらかしてはいけないということである。「宗教とは人知れず心の中に本物を持つということである」(澤木興道)「あなたが祈る時は、奥まった自分の部屋に入って戸を閉め、隠れたところにおられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父が報いてくださる。」(聖書)「潜行密用(せんこうみつよう)は愚のごとく魯(ろ)のごとし。ただよく相続するを主中の主と名く」(洞山大師 宝鏡三昧)昔、禅僧は人に見られないように夜にトイレの掃除をしたとも伝え聞く。
 悪は隠せるものではない、もし誰も見ていなくても、「自己」が見ている。「我々は、真実の世界からすっかり覗かれておるのだ」(澤木興道)「造悪の者は堕ち、修善の者は陞(のぼ)る、毫りもたがわざるなり」(道元禅師)
 諸行無常と因果歴然を両方考えることが大切である。諸行無常面だけを見てしまうと、いつ死ぬか分からないから、人の迷惑も考えず、とにかく楽しんだ方が得、という考えに陥ってしまう。未来への、利他への方向、計画がなくなってしまう。
 日本での犯罪、迷惑行為の多さにはとても心が痛む。真実の人生観を持って生きることで犯罪を減らしたい。
 一人一人の生き方が、事実として人類の歴史を創っていく。自己の責任の重さを思う。

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