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君は『自転車界のテスラ』を知っているかい?VanMoofレビュー

自転車界のテスラと言われるオランダ生まれのVanMoof(バンムーフ)を購入して乗ったら革命的に最高であった。今までは普通の自転車に乗っていて、初めて電動アシスト自転車、e-bikeと言われるものに乗ったが、すごいなんて物ではない。ペダルを漕ぐ時の軽さはもちろん、自動でのギア変速(車のオートマティックのよう)、スマホアプリとの連携、ライトの自動点灯、車体へのGPS埋め込み等、今までの自転車では考えられないような機能が搭載されている、かつ、カッコいい。そんなVanMoofについて今日はnoteを書いていこうと思う。ちなみにVanMoofにはサイズ違いでS3とX3がある。

🚲VanMoofとは

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VanMoofオランダのスポーツタイプの電動アシスト自転車を販売する会社である。インダストリアル・デザイナーの兄とエンジニアの弟の2人の兄弟によって、2009年に設立された。VanMoofはタイヤを除くすべてのパーツをオリジナルでデザイン・製造しているのが特徴の会社。通常自転車を販売する会社は街のサイクルショップを経由して顧客に自転車を販売するが、VanMoofは8割をインターネットによる通販、残りは世界9カ国の直営ブランドショップ(販売店)を通してライダーへ直接販売している。サプライチェーンのすべてを自社で掌握しているのがポイントであり、多くのファンを持っている。世界19ヵ国に12万人以上もVanMoofファンがいる。


VanMoofが他の電動アシスト自転車と何が違うかといえば、それは搭載されているテクノロジーとデザインであると思う。テクノロジーの面では、専用アプリとのシームレスな連携・GPS搭載の盗難防止システム・自動変速・ハンズフリーでの鍵掛けと鍵開け・自転車のフレームに内蔵されたディスプレイ等である。デザイン面は電動アシスト自転車に見えないようなフレームが特徴的である。また色の展開も現在ダーク(マットブラック)とライト(ライトブルー)の2種類であるが、どちらも美しい。ほぼ全てのパーツを自社でデザインしているからこそできるデザインなのではないかと思う。

最初にVanMoofが注目されたのは、盗難防止技術であったようだ。キーレスロックや盗難アラームの採用。またたとえ盗まれてもGPSが搭載されているため位置が分かるのだ。高級外車並の盗難防止システムにより「盗まれないスマートバイク」という認識をされている。これはオランダならでは事情が反映されていると思う。オランダは自転車大国で誰もが自転車に乗って移動する。アムステルダムではそこら中に自転車が走っていて、そこら中に自転車が止められている。オランダは人より自転車の方が多いのだ。ただし自転車の盗難が深刻で盗まれる台数は年間75万台だそうだ。これは日本の倍とのこと。
(参照:https://www.jbpi.or.jp/report_pdf/00000185_20071130112959.pdf

VanMoofの専用アプリでは、走行距離や速度を確認できたり、自動変速のタイミングの調整や自転車のベルの音の変更、ライトのONとOFFの設定等が行える。自動変速のタイミングを何Kmと自由に設定できるのは世界初の技術であるようだ。またアプリ経由で自転車本体のファームウエアのアップデートができる。まるでテスラのようである。乗っているだけでどんどん自転車が進化していくのだ。

VanMoofが最も売れているのはドイツなんだとか。日本国内では第3世代発表の2020年4月から8カ月の間で900台売れているそうだ。


自転車というアナログの製品にここまでデジタルテクノロジーを搭載して活用するのが本当に素晴らしい。まさに革命である。本当の意味でのDXを体験した。

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最新のモデルについて(S3とX3)
VanMoofには形が異なる2つ自転車がある。形が異なるだけで性能や価格は同じ。S3とX3というものだ。X3は日本向けに開発されてその後グローバルでも発売されたとのこと。S3は身長170cm以上でないと足がつかないので、X3の発売により、より多くの人がVanMoofに乗れるようになったということだ。ちなみに私は170cmを少し超えるぐらいの身長であるが、S3に乗って足が付くので、快適に乗れている。

購入方法
VanMoofは日本ではオンラインでの販売のみ行っている。販売店(ブランドストア)としては原宿にあるが、試乗・自転車のメンテナンスと修理のためのストアとなっている。在庫状況にもよるが、注文後2〜3ヶ月ぐらいで配送される。VanMoof 東京

価格
VanMoofのS3とX3は共に税込25万円である。決して安くはないが、これだけの機能が搭載されていて、カッコも良い。そうなるとむしろ安く感じてしまう。

VanMoof サブスクリプションについて(2021年3月現在終了している)
VanMoofはサブスクリプションでの自転車の提供を2018年に日本でも行っていたが、2019年の10月ぐらいに終了しているようである。アップデートがある可能性はあるので、最新情報は公式サイトをチェックしてください。

💡なぜVanMoofを買ったか

最初はVanMoofを買おうとは思っていなかった。ではなぜ私はVanMoofを買ったのか。普段の買い物やジムへ行くための移動手段として当初は、クロスバイクを欲しいと思って探していた。ただ緊急事態宣言や人々が密を避けるようになってきて以来、クロスバイクが世界中で飛ぶように売れているらしく、どこのお店(オンライン含め)にも在庫がなく、半年待ちは当たり前、長いと8ヶ月や1年待ちという状況であった。BianchiやFELTのクロスバイクを買う予定でいくつかのショップを回ったがどこも在庫がなく、メーカーからもいつ入荷するかわからないというような状態であった。そんな中、自転車を調べているうちにe-bikeをいうものを見つけ、VanMoofにたどり着いたのである。VanMoof以外のe-bikeとしてはCOWBOYというものも検討した。ただしこれが日本では未発売であった。ベルギーに本社を構えるCOWBOYのサポートセンターにも問い合わせたが、日本では現状発売していないということであった。COWBOYはかなりスポーティな仕上がりになっていてこれもまたかっこ良い。今後日本で発売されたら注目の一台である。
↓COWBOY↓


VanMoofは購入前に試乗をしなかったので、サイズが心配であった。S3を購入したが本当に私が乗った時に足が付くのかというのを心配していたが、公式ページ記載の通り、身長が170cm以上あればS3に乗れる。

🛠組み立て

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VanMoofは大きな箱に入ってやってくる。箱は本当に大きい。『Ride the future』という文字がカッコいい!とりあえず家の中に入れて、組み立てを開始した。説明書や組み立てのための工具は全て箱の中に入っている。最初は1時間ぐらいで組み立てが終わるかなと思っていたらとんでもない。3時間以上かかった。

なぜ3時間以上もかかったのかと言うと1つだけ”難所”があるのだ。本当に難所であった。ただしわかってしまえばそんなに難しいことはないので、みなさんには事前にこんな工程があるということを知っておいていただければと思う。その難所は前輪の右にあるモーターに電気を繋ぐための線で、それをフレームの中にいれ、カバーを付ける所である。説明書にもこの作業の後には、「一番大変な箇所が終わりました!」と書かれている。しかも笛まで入っていて、それを吹いてお祝いしろということが書かれている。この難所は世界中で多くの人が苦労している部分であることが、色々と調べてみると分かる。

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難所の乗り越え方

1. 車体の右側に座る
2. コードを上ではなく奥に押すイメージでフレームの中に入れていく
3. 奥まで入ったら少し上に入れる
4. カバーを被せ、ネジを締める

上記の1と2が非常に重要である。簡単そうに思えるが、これが非常に骨が折れる。私は奥に入れる(横方向に押し込む)というコツが分からず、上方向に押そうとしていたので、うまくいかなかったのである。ここのプロセスは世界中の人達が苦労している部分であるということが、色々と調査してわかった。私もこのプロセスでつまずいた時に様々なサイトを調べたので、記載しておく。

☆ 困った時の検索ワード:vanmoof モーターケーブルカバー
VanMoofの公式難所乗り越えサポートページ
VanMoofの公式の難所乗り越え方ビデオ
VanMoof S3 & X3への前方ホイールの取り付け方法
Youtubeでユーザさんが解説している動画

🚴‍♂️実際に乗ってみて

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実際に乗ってみるとそれはもう革命。自転車乗るのってこんなに楽しいのか!と思うぐらい楽しい。一漕ぎ目から「これは只者ではない」分かるぐらいの衝撃である。軽くペダルを漕いだだけでスイッ!と持っていかれるような感覚だ。手動でギアを変える必要はなく全て自動で変速をしてくれる。軽く漕いでもどんどんスピードが上がっていくし、坂道も全く苦にならない。信号で止まっても自動変速なのでギアを入れ替える必要もなく非常に快適である。前輪にモーターが付いていることで、引っ張られる感覚でどこまででも行けそうな感覚である。

タイヤは通常の自転車よりも太い。スポーティに走りたいので細いタイヤが良いなと思っていたが、この太いタイヤがすごく良い乗り心地を引き出している。

VanMoofの見た目はスポーティであるが、実用的なこともしっかりと考慮している。前輪と後輪にフェンダーが付いていて、タイヤの泥はねを防いでくれる。またはチェーンにもカバーが付いていることで油が飛ぶこともない。

VanMoofアプリも非常に良い。走行距離、走行時間、時速等が詳細に記録されている。これを見ているだけでも非常に楽しい。また自転車の位置をアプリから確認できるので盗難対策としても非常に安心である。スマートフォンを持ってVanMoofに近づくと自動的にVanMoofが起動してヘッドライトと後方のライトをつけて待っていてくれる。これも非常に嬉しい機能。

VanMoofには余計なものも一切ついていなくシンプルなデザインが非常に良い。ハンドルの左右に小さなボタンが付いているのみである。ロック解除やベル、ブースト機能等の役割をするためのこれらのボタンしか付いていないのだ。それ以外は何もないのだ。ライトの点灯も周囲の明るさにより自動で点灯してくれるように設定したりできる。またモーターでのアシストレベルもアプリから自由に変更できる。

自転車を置いておく時にチェーンを掛ける必要がないのも非常に便利である。鍵が後輪内部に内蔵されていてキーレスでロックが可能である。ロック解除の時もスマホをポケットに入れている状態でハンドル左のボタンを押して自転車を動かせば解錠できる優れものである。Bluetoothで所有者が近くにいることを判定している。

今回のS3、X3モデルからディスクブレーキを採用しているもの最高である。坂の多い東京ではスピードが出ることが多いが、そんな時でもディスクブレーキであれば制御力が非常に強く安心である。

気になる点としては、2つある。「自動変速の時にたまに”バッキ”という音がすること」と「バッテリーが一体型なので、コンセントが外にないと充電が大変」ということだ。これは私の漕ぎ方が悪いのもあるみたいであるが、ゆっくり漕いでいても”バッキ”となるときはある。VanMoofの公式では押し込むようにペダルを漕ぐのではなく、軽い力で回すようにというように書いてある。壊さないように気をつけながら乗ろうと思う。

バッテリーについては車体から取り外しができない形になっている。そのため駐輪場にコンセントがないと充電ができないということになる。一軒家の場合は玄関まで持っていき充電すれば良いと思うが、マンションだと困る場合が多いのではないかと思う。幸い私のマンションでは駐輪するところにコンセントがあるので、そこで充電ができるが、多くの場合はコンセントがないのではないかと思う。

VanMoofはデザイン的には非常にスポーティに見えるが、実用面が考慮されており、実際には街乗り用に最高な自転車であると思う。

📈電動アシスト自転車市場の分析

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電動アシスト自転車はヤマハ発動機が1993年に世界で初めて発売したもので、そこから市場が作られていった。今も着実に市場が大きくなっている。日本でも当初は男性高齢者が購入していたが、最近は若年女性が子供を乗せて運転するのに非常に便利であるため多くの2人〜3人乗り自転車が電動アシスト自転車になっている。
(参照:https://global.yamaha-motor.com/jp/ir/event/individual-presentation/2020/pdf/IR-document_2020-11-23.pdf](https://global.yamaha-motor.com/jp/ir/event/individual-presentation/2020/pdf/IR-document_2020-11-23.pdf

世界的な市場規模を見ても非常に大きく成長している。2019年に154億2000万米ドル(約1兆6500億円)に達し、2020年から2025年の予測期間中に年平均成長率(CAGR)6.21%で成長すると予測されている。地域別ではアジア太平洋地域での需要が非常に大きくなるという見方が有力である。中国やインドなどがより需要が増える見込みであるとのこと。ヨーロッパでも電動アシスト自転車は非常に人気がある。その理由は環境への配慮、健康に良いこと、渋滞の回避等があるようだ。電動アシスト自転車はクリーンでかつ静かであるということもあり、人気があるようだ。


電動アシスト自転車市場の成長はパンデミックによって一層加速されたが、技術的な進歩もあり、パンデミック以前から成長に入っていたのだ。リチウムイオン電池の技術進歩により長い時間乗れるようになったり、価格面の改善もある。多くの人が日常使いできる現実的な移動手段として電動アシスト自転車を選択肢の1つとして考えられるようになってきている。

ヨーロッパでは電動アシスト自転車が車の販売台数を超えるとの予想が出されている。2019年に370万台の電動アシスト自転車が販売されており、これが2030年には1700万台になると予想とのこと。


ヨーロッパでは電動アシスト自転車スタートアップが軒並み資金調達を行っているようである。この記事でも紹介しているVanMoofはもちろん、ベルギーのCowboyやフランスのAngellである。ちなみにVanMoofは累計77億円の調達を実施済みなのである。

この市場は今後も目が離せない😳

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