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ふ 「フードコート」


ショッピングモールのフードコートが苦手だ。いや、嫌いじゃないのだ。人さえ多くなければ。フードコートのラインナップで打順組むとしたら? みたいな思考実験はAMラジオ的で楽しい。「やっぱ丸亀製麺は入れるでしょ」「サーティーワンアイスクリームは欲しいよね」「バーガーキング、強ぇ!」「俺びっくりドンキー入ってるの見たことあるよ」みたいなのは楽しい。あと、注文してリモコンみたいなやつをもらって、それが「ブーッブーッ」ってなるまでの間は楽しい。

しかし、である。

実際に行くと、「人の多さ」に胃もたれして、萎える。人が多い場所が苦手だとフードコートは苦手になる。あまり良い思い出がない。あと、多分回転率を上げるためと思われるんだけど、あまり座り心地の良くない椅子と、あまり落ち着かないテーブルにもあまり慣れない。

さらに、フードコートの雰囲気って、映画とか海外ドラマで見るアメリカの高校の学食やアメリカの刑務所の食堂に似ている。トレイをもって人が並んでいて、椅子とテーブルが固定されていて。だいたいそういったシーンでは痩せてギークな男の主人公がアメフト部の金髪に殴られるか、メガネと歯列矯正の女の主人公がチアリーダーの金髪とその取り巻き女生徒グループに虐められるかのどちらかをしているので、嫌なスクールカーストを思い出して食事がちょっと不味くなる。

……とまぁ、フードコートの悪口ばかり言っているのだが、家族連れでショッピングモール行く身になると、フードコートは「神」だ。子どもの気分というのは本当に分からないから、その日によって何が食べたいかが異なる。フードコートには「うどん」や「カレー」や「たこ焼き」といった子どもをなだめるには救世主的ラインナップがそろっていて、侍ジャパンの投手のラインナップのように頼もしい。「サーティーワンアイス」というクローザーまでいる。中日の岩瀬、横浜の佐々木、または阪神の藤川球児だ。9回裏を3人で押さえてくれる。ポッピングシャワーでゲームセットだ。

そんなわけで僕はフードコートが好きなのか嫌いなのかよく分からない。一人で行動しているときはまず選ばないが、家族連れの場合は「あり」だ。そういえばフードコートには家族連ればかりいる。まぁ、そういうことだ。


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