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創作の時間

30
他の小説シリーズに収まらない創作です。一部、関連エッセイを含みます。
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記事一覧

海獺(ラッコ)の季節

出稼ぎ中の娘が連休に帰省した。 寄生 ── あ、いや、帰省するのはいいけれど、海獺が2匹目…

谷 俊彦
5日前
53

夫業のコツ

1.愚痴は最後まで辛抱強く聴く 「それでね、……だからね、……そうしたらね、……なのよ、…

谷 俊彦
2週間前
56

誰もがハチ公(短編小説;2,500文字)

「キミ、今日から?」 「はい、先週採用されたばかりで……」 「そうかあ……なるほど、……向…

谷 俊彦
3週間前
36

『夢を実現』するのではなく(短編小説;5000文字)

「……御社を志望したのは、ネットに出ていた人材募集のコピーに感銘を受けたからです」  採…

谷 俊彦
1か月前
58

硬い? いや、柔らかい? え、また硬くなった?

自分の書きモノにクセがあるのはわかっています。 たまに同居人に創作を読んでもらうと(めん…

谷 俊彦
1か月前
58

鬼は内に…(短編小説;1,900文字)

「そろそろ帰った方がいいんじゃないか? ── 今日は節分だろ?」  職場の懇親会が終わり、…

谷 俊彦
3か月前
46

『原作者』のひとり言

改めて経緯をたどることはしませんが、『原作者』と『原作改変』をめぐって悲しいできごとがありました。 いろいろな人がいろいろな事を書いたり言ったりしている。 下記は『原作者』を経験したことのある私の記憶を整理した忘備録のようなものです。 一般論的な記述になっているところもありますが、おそらく『原作者』と『原著』との関係に大きく依存しますので、一般論など存在せず、『ひとり言』ととらえてください。 『原作者』を経験したのは4回、すべて30代の頃、『原著』は小説で、2次媒体は映画

今年のnote創作をふり返る

1年を振り返るのは、── 特に自分が為したことを振り返るのは ── あまり好きではありませ…

谷 俊彦
4か月前
50

最後のページで読者を唸らせる傑作絵本『おさる日記』;和田誠はすごかった!

「これはすごい!」 と思う小説やTVドラマといえば、全体の流れの中で『ひねり』があるのは当…

谷 俊彦
4か月前
65

進化Ⅱ(短編小説;2,700文字)

 ギーギーッ。  二段ベッドの梯子だろう、木がきしむ音が聞こえた。それに続いて、緩慢だが…

谷 俊彦
6か月前
71

甲羅が邪魔で(短編小説;4,600文字)

「睡眠障害ですか?」  部屋のソファにかけるなり、彼女は、手にしたファイルから顔を上げ、…

谷 俊彦
7か月前
55

進化(短編小説;2700文字)

 仕事を終えて帰宅すると、ソファの上に海獺がいた。  濃密な茶系統の体毛に包まれたそれは…

谷 俊彦
8か月前
90

時代は「カウチポテト族」から「ラッコ族」へと《進化》を促した

15年ほど前にアメリカで買った3人掛けソファがかなり擦り切れてきたので、買う買わないはとも…

谷 俊彦
8か月前
69

泳ぐ女(短編小説;5,500文字)

 湯船に身を沈め、目を閉じた。 (こうやって、誰にも気兼ねなくゆっくりできるのって、やっぱりいいな)  ── 妻の言う通りだった。  入籍後も同棲時代と同じアパートでいいじゃないか、というぼくに、 「銭湯通いはもう絶対に嫌! 風呂付のアパートに引っ越すんじゃなきゃ」  その代償として、かなり郊外に引っ越さなければならなかったが。  息を止め、頭をゆっくり湯に沈める。  鼻まで沈めたところで目を開いた。  ── おや?  《水平線》上で、何かが動いている。  白い ──

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