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夫業のコツ

1.愚痴は最後まで辛抱強く聴く

「それでね、……だからね、……そうしたらね、……なのよ、ひどいと思わない?」
「……」
「ちょっと、聴いてた? ひどい話でしょ?」
「……(表情の変化を見てとり、耳スイッチ再ON)ああ、そうだね、ひどいよね」
「ちゃんと聴いてた?」
「聴いてたよ」
「ずっと聴いてた?」
「も、もちろんです!」
「じゃ、何話してた?」
「えーと、……ひどい話だった」
(話の途中でうっかり欠伸をしたり、トイレに行ったり、スマホに視線を移したりしてはいけません)

耳栓を外すタイミングが重要!


2.WH型の疑問文に対して、断定的に答えない。
(質問形式を取ってはいるが、多くは形式的なアンケートに過ぎず、求められているのは答えではなく『合いの手』)。

[注)WH型:5W1Hを問う疑問文]
・Yes/No型疑問文にももちろん、断定的に答えない。

「ねえ、今晩、何食べたい?」
「そうだねえ……魚もいいけど、肉もいいねえ」
「ふーん。魚だったらどんなの?」
「えーと……例えばメバルの煮付けなんかもいいなあ……なんて思うけど……」
「そう? 焼肉はどう?」
「焼肉もいいよね」
「じゃ、焼き肉にしようか?」
「うん、食べたいなって思ってた!」
(政府に任命された委員が政策を議論する『審議会』や『諮問委員会』の類もこれと同じで、政府案に反論しても時間を浪費するばかりで結論は変わらないんだとか)

忖度フリスビー!


3.口ごたえをしない

「ちょっと! また散らかしっぱなしじゃない!」
「ホントだ、散らかしっぱなしだ!」
「あんたでしょ、これ?」
「そう……かもしれない」
「── かもしれない? どういうことよ?」
「いや、状況証拠から見て、その可能性は低くない、と思われる」
「ていうか、それ以外、考えられないじゃないの!」
「ただ、目撃証言を集めないと、確定的なことは言えない」
「目撃って、自分でやったなら、自分の目で見ているはずでしょ?」
「いや、一般的に裁判所は、被告人と利害関係がある人の証言を信用しない。本人ってのは究極の利害関係者だからね、第三者の証言を探さなくちゃいけない」
「ああ……疲れてきた。もう、どうでもいいわ。さっさと片づけてよ」
(『すぐそこにある』シリーズのユウタくんみたいになってきた…)

「検証、検証……」


4.とにかく『共感』し、『結論』を導こうとしない。

「……それでね、こんなこと言ってくるから、話が違うじゃない、って思ったのよ」
「ああ、そう、そうだよねえ」
「それ、おかしいでしょ、って言いたかったけど、その場で喧嘩してもね、と我慢した」
「ああ、そう、それでいいと思うよ」
「でもさ、ナガノさんも同じ意見なわけ、だから二人で事務局に行ったのよ」
「ああ、そう、それでいいんじゃないかな」
「……ちょっとアンタ、ただ共感すればそれでいいって思ってるんじゃないの? アタシの話、聴いてないんじゃないの? どうすれば良かったと思う?」
「ああ、そう、それでいいんじゃないかな」
「……(プッツン)」

オウムを見習おう!


コツを「知っている」ことと「実行している」かどうかは、まったく別です、当然ながら。

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当初、上から3箇条で投稿しましたが、紫陽花さんからコメントで重要な(いや、最重要な)コツについてご指摘をいただきました。
そうでした、そうでした、いつもそれで叱られております……と第4条を加えさせていただきました。
ここに、お礼を申し上げます:

#仕事のコツ

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