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『気配り』が何よりも重要な国政システムゆえの『肩書乱発』

自民党の『政治刷新本部』がメンバーにやたら肩書を乱発しているのが面白い、と記事にしました:

日経電子版2024年1月10日 19:18 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1070X0Q4A110C2000000/

最高顧問 2人
本部長 1人(首相)
本部長代行 1人
本部長代理 5人
副本部長 7人
幹事長 1人
幹事長代理 1人
幹事 13人
事務局長 1人
事務局長代理 2人
事務局次長 4人

『政治刷新本部メンバー表』に『新元素発見!』Big Newsを想い出した|谷 俊彦 (note.com)

『幹事』が13人と最多ですが、例えば職場の忘年会を企画し、仕切る重要な役目ならせいぜいひとりかふたり。
Wikipediaにも:

幹事(かんじ)とは、あるグループを取りまとめる代表となる個人や法人などをいう。

幹事 - Wikipedia

でも、ここでは『ヒラ』にあたるらしいのが『幹事』

特に素晴らしい『肩書発明』は、
本部長 1人
本部長代行 1人
本部長代理 5人
副本部長 7人
の部分と、
事務局長 1人
事務局長代理 2人
事務局次長 4人
あたりでしょうか。

ただ、誤解していただきたくないのは、この『肩書乱発』を滑稽きわまりない、と笑い飛ばすのが主眼ではありません。

むしろ、ここにこそ、この国の政治システムの本質があります。
『肩書乱発』は、
「みーんな、エライ人! すごい!」
と持ち上げるのが真の狙い
だと思います。
任命者の『気配り』に間違いありません。

各派閥から推薦のあった『待機組』国会議員を順番に大臣に任命する ── 適材適所も考慮しつつ ── これも『気配り』
副大臣や政務官の役職任命は、ほぼ『気配り』のみ。
そもそも、2001年に副大臣ポストを設けた『本質』が、『肩書乱発』だったのではないでしょうか?
『気配り』により行政職に就いた、時に不適材の面倒を見てやらねばならない ── 徹夜して国会答弁の書類を作ったり ── 官僚の人たちの苦労はたいへんなものだと思います。
この『本質』に切り込むことなく、『霞が関働き方改革』だとか旗振られても、
「てめえら、今さら何言ってんだよ!」
と優秀な官僚の皆さん、腹をたてているのではないでしょうか?

岸田首相は、首相に就任するために、そしてその任を続けるために最も重要な資質は、『リーダーシップ』などではなく、『気配り』だということを我々に教えてくれています。
どんなに優れたリーダーでも、単なる人気タレントでも、元議員のバカ息子でも、議院内閣制のもとでひとりの国会議員の持つ首相選出のための力は1票のみです。優秀で大きな実績を持つ前・都道府県知事でも、国会議員になった途端、無名の1兵卒になってしまうのは、実際、1票しか持っていないからです。これを増やすには、『気配り能力』を発揮して派閥の実力者になるしかない。

『政治刷新本部』の最高顧問・菅前首相や幹事・小泉進次郎さんが、
「自民党派閥の解消必要」
と訴えておられるそうですが、そのためには、『気配り』によって首相が決まる、現在の形での議院内閣制にメスを入れないと難しいかもしれません。

もうひとつ、『肩書乱発』には、各議員の選挙区における支持者への『気配り』もあるでしょう。
「あなたが当選させた**議員はこんな要職を務めていますよ。力を持っていますよ。あなたが彼/彼女を支持したことは間違っていませんでしたよ」
と示す『気配り』です。
当然それはイコール、次の選挙でコトを優位に運ぶための、議員に対する『気配り』というわけですが。

『政治刷新本部』の『肩書乱発』は、誰にも益がない分、誰にも迷惑をかけないでしょうが、『気配り』によって大臣・副大臣・政務官ポストを順番に配るのはやめていただきたいものです ── でも、無理かもしれない、どんなに無能な国会議員でも首相選出の票を持っていますから。

もう一度:
現在の形での議院内閣制をカイゼンする時期に来ているのでは?

── 具体的に言えって?

まずは『行政職の肩書』を国会議員から分離することだと思います。
大したことではありません。
大臣、副大臣、政務官などに就いた国会議員の国会議員としての職を停止するのです。当然、国会議員としての歳費や悪名高い文書通信費の支給も停止されます。
その代わり、行政職としての給与や賞与が支給されます。
(政策秘書の給与などは給付し続けた方がいいかもですが)
それでも代えがたい能力の持ち主のみが行政職に就いていただく、ってのはどうでしょうか?
論理的な理由ですか?

大臣など行政職は激務です。国会議員との兼務は無理ではないでしょうか?

そして何よりも、『選挙区』のためではなく、『国全体』のために働く、という意識をはっきり持っていただくために。

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タイトル画は『世直し源さん』からお借りしたものです。
その理由はここに:

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