見出し画像

『政治刷新本部メンバー表』に『新元素発見!』Big Newsを想い出した

私がイリノイ大学の大学院生だった頃のある日、材料研究所の全ポストに1枚の印刷物が配られた。原文は日本に持ち帰ったはずなので、そのうち発掘したら再掲するつもりですが、憶えている範囲でざっくりと:

印刷物の表題は、

『ビッグ・ニュース! 新元素発見!』

その下には大きな丸(原子核)の中に小さな丸(=粒子)がたくさん描かれたスケッチ。これがどうやら、新たに発見された元素らしい。

そして、こんなニュース記事が添えられていた:

このたび、原子量300という、最も重い元素が新たに発見された。この元素の原子核は以下のような粒子構成になっている:
主席中性子 1個
主席中性子代理 5個
副主席中性子 4個
副主席中性子代理 20個
次席中性子 30個
次席中性子代理 60個
主幹中性子 30個
主幹中性子代理 30個
副主幹中性子 60個
副主幹中性子代理 60個

この元素は、驚くことに原子核の中に陽子を持っておらず、しかも、原子核の周りを旋回する電子も持たない。このため、原子番号はゼロできわめて不活性(inert)であり、ほとんど化学反応しない
米国物理学会はこの元素を Bureaucratium と名付けた。

英語でほぼこんなようなことが書かれていた
なお、Bureaucratiumは 〈bureaucratism = 官僚主義〉のもじり
(陽子はプラスの電荷、電子はマイナスの電荷を持つ)

つまり、実はビッグ・ニュースならぬビッグ・ジョークだった。大学事務の官僚主義に手を焼いた研究者が考え、印刷して配ったものだろう。

このネタはいつかマガジン『新・再勉生活!』の中で使おうと考えていたが、本日夕刻の日経電子版の記事『自民党、政治刷新本部の設置決定 木原誠二氏ら参加』を読んで、ありありと想い出してしまった。

政治資金問題を検討するために岸田首相が組織したということで、早くもその中にこの人が入っているなど、批判を浴びているようです。
でも、私の視点はそこではありません。

日経電子版2024年1月10日 19:18
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1070X0Q4A110C2000000/

もちろん、自民党の国会議員ばかりで構成されているのは問題で、本気度を問われることでしょう。外部の人間、しかも、耳に痛いことをはっきり言い、具体的な提案をしてくれる人間を入れなければ改革なんてできるはずがない。

でも、このメンバー表、よく見ると面白いですよ:

上記日経電子版の記事の、職名を赤枠で囲んでみました!

最高顧問 2人
本部長 1人(首相)
本部長代行 1人
本部長代理 5人
副本部長 7人
幹事長 1人
幹事長代理 1人
幹事 13人
事務局長 1人
事務局長代理 2人
事務局次長 4人

これ、かつて材料研究所で配られた、American Joke『新元素発見!』ニュースで報じられた『Bureaucratium』の原子核構成粒子表にそっくりじゃないですか!

あの記事にはたしか、

この元素は、きわめて不活性(inert)である

と書かれていたっけ……

大丈夫かな?

**********

この問題の『本質』については、次の記事に書きました:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?