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《当たり前》は造られる

成人の日は、毎年恒例のように北九州の『ド派手』成人式の様子が放映されますが、その取材トーンがここ数年、肯定的に変化してきたところが面白い。『奇抜』『異端』視だったのが、『個性的OK』『多様性重視』の方に、価値観のコペルニクス転換が起こっているのが興味深い。

ただ、本当に多種多様な人がいるところを、取材意図に合致した『背景』を持つ成人サンプルだけをピックアップしているのだろうな、とは想像しています。

成人式のニュースを観ていて気になるのはやはり、女性参加者の振袖着用比率がきわめて高いことです。
ざっくり、9割は超えているのではないでしょうか。

Wikipediaによれば、『成人式には振袖』とは着物業界によって造られた《当たり前》のようです:

振袖は現在、女性にとって「成人式の制服」のような伝統となっているが、これは「作られた幻想」であり、着物プロデューサーの石崎功によると、第二次世界大戦中に贅沢品が禁じられ、壊滅状態になった着物業界が、昭和30年代(1950年代後半~1960年代前半)に復興策として成人式に着目し、上述の「元服」をヒントに、未婚女性の礼装である振袖を成人式に着てもらおうと、当時の百貨店が中心に動いたことがきっかけだという。現在では約2800億円とみられる和装市場のうち、成人式の振袖関連が700億円程度と重きをなしている。

成人式 - Wikipedia

まあ、これも『ビジネス戦略』であり、大きな『経済効果』を産んでいると言えるでしょう。
ただおそらく、かなり無理して着物をレンタルしたり、それが無理だから出席自体をやめる人がいないとあの比率にはならないはず。
でも、業界から見れば、この《当たり前》意識定着こそが作戦成功!ということなのでしょう。

2年前の成人の日に下記の短編を上げ、今年再掲したのはもちろん、そんな『空気』を批判するためではありません。
『当たり前』にただ従うのでもなく、ただ反発するのでもなく、造られたものだと理解した上で『自分のアタマ』で考えたい、と思うのです。

この『造られた《当たり前》』ってたくさんありますよね。既に予約受付が始まった『恵方巻』の全国展開もしかり。

いつの間にか全国で《当たり前》化しましたね

他にも ── こちらは実話エピソードでお届けします:
もうかなり前の話ですが……

「おーい、今日会社でチョコもらったよ」
「お、いただき!」
「ところでさ、我が家ではお前も娘たちも、オレにチョコくれたことないね」
「何言ってんのよ! バレンタインデーでチョコ渡すのは菓子屋の陰謀に乗ることだって、アンタずっと言ってたじゃない! むしろ、自分の教育が成果を出してるって、喜ぶべきじゃないの?」
「あ? ……ああ、そうだね……」
「だいたい、アンタ、甘いモノ、嫌いでしょ?」
「う、……まあ、そうなんだけど……」

そうなんだけどね……

あ、桑田サンも歌っていましたね:

では、私自身の成人の日はどうだったかというと、インパクトの強いエピソードがあり、今も鮮明に憶えています:

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