先日、アサヒ炭酸ラボが発表したアンケート結果が気になったので記事を書きます。

僕の結論も、eスポーツは、スポーツではありません。
eスポーツは、eスポーツです。

eスポーツを大学や高校のプログラムに取り入れる海外では、「eスポーツはスポーツか？」あまり議論にならないでしょう。
議論になるのは、オリンピックに採用されるか否かの時ぐらいで、それは利権がチラつく大人の事情によるものでしょう。
僕は、オリンピックでeスポーツを行う意義を全く感じません。

海外ではeスポーツは、キャリア開発のツール

海外で、教育現場にeスポーツを取り入れる目的は、「学生のキャリア開発のツール」としてみています。
笹川スポーツ財団の記事で、大学教育にeスポーツ取り入れているロバートモリス大学の関係者は、その意義を下記のように答えています。

また、イギリスのスタッフォードシャー大学では、eスポーツに関するプログラムが組まれ、業界就職にむけたマーケティングや経営スキルなどを学ぶといいます。

日本は、ファミコンなどのテレビゲームやゲームセンターが盛り上がったゲーム業界で、ゲーム会社が子ども向けに開発してきたため「子どもの遊び」というイメージが強いまま今に至ります。
この辺りを、色々と考察したことを書きたいのですが、色々と大人の事情が出てきそうなので、やめておきます。
一言言わせて貰えれば、日本のゲーム会社は、ゲーム会社であって、eスポーツ会社ではないと思っております。

eスポーツは、コンピュータサイエンスの副産物

元々ゲームやeスポーツは、研究者の趣味と実益を兼ねたコンピュータサイエンスの副産物として誕生し、コンピュータサイエンス、現在話題の人工知能（AI）研究を影で支えてきたものだと言えます。

eスポーツは、マサチューセッツ工科大学の人工知能の研究室の学生が開発した「スペースウォー！」というゲームの大会が、1972年にスタンフォード大学で開催されたのがはじまりと言われています。

大学の研究室の研究者や学生が、その余暇、気晴らしで生まれたものが、気晴らしを語源にもつ「スポーツ」と「Electronic（電子の）」と融合して、「eSports」として名付けられるのは、必然とも思えます。

スペースウォー！をはじめ、大学の研究室のコンピュータによって、開発されたゲームの多くは、パブリックドメインソフトウェアとして公開されて、多くのコンピュータサイエンスの大学生が、さらに改造改良を重ねる文化も生まれました。

こうした土壌から、海外でのeスポーツは、コンピュータサイエンスの学生が、仕事や学業の間に、自分たちでプログラムを書いたり、改変したり開発し、それを元にスタートアップ（起業）したタイトルが多く、プレイヤーも大学生が中心となっているのが、日本と大きな違いです。

Overwatchで有名なのブリザードエンターテイメントや、『リーグ・オブ・レジェンド』のRiotは、カリフォルニアの大学生がスタートアップした、シリコンバレーのイノベーション企業です。

その後、ゲーム大会やイベントを新しいエンターテイメント系ビジネスとして、大会運営や動画配信する会社が次々とスタートアップし、現在のeスポーツへと繋がります。

デジタル教育、キャリア開発にeスポーツ

今後、メタバース（ヴァーチャル）や人工知能（AI）などコンピュータサイエンスは、さらに研究・開発が進んでいくことでしょう。
フォートナイトのようなゲームの世界で、社長が女の子、部長がペンギン、部下はアニメのキャラクター、それぞれのアバターを持ち、世界会議が行われるような未来がくることでしょう。

eスポーツはスポーツではなく、eスポーツはeスポーツとして、ハイスペックPCを学生に与え、パソコンやネットワークのスキルや、eスポーツのエコシステムを学ぶことは、デジタル人材育成、デジタル産業のキャリア開発に繋がり、立ち後れた日本のデジタル化に求められている素晴らしいツールだと思います。