ビアバーのオーナーになった経緯②

昨日、1週間に一度の更新を目指しますと言っておいてなんだが、書きたいことが溜まってるし、
出張中新幹線の車内で暇だし、連日の更新をしちゃう。

さて、前回は、元バイトの子からビアバーの事業譲渡の話が舞い込み、前向きな返事をしたところまで書いた。
今回は、そこから前オーナーのL氏とShake handsする前の皮算用について書こうと思う。

そもそも、バーを買うと言っても、譲渡価格、家賃、過去の売上、ビールの原価、等々、判断材料を集めなければ何も決められない。

それらを集める為、俺は、まずは店長のG氏と会う事にした。オーナーとは譲渡価格交渉する立場でもあるしね。

G氏はブルースウィルス似で俺より10個年上のベルギー人、雇われ店長という立場だった。
体もデカいしスキンヘッドで、お客さんがいない時はカウンターで一人ビールを飲んでいる。
店の外から店内を窺う一見さんは、彼を見て引き返す事も多いのだが(よく自虐的に「俺はFuckin` ガイジンだから」と言っている)、俺も含め彼を慕う常連も多いし、かなりの女好きではあるが、良い奴だ。

駅前のドトールで、初めて店長と客という関係を飛び越えて色々と話した。
そこで感じたのは、G氏のバーへの熱い思い。
本当はこうすればもっと良いと思っているのだが前オーナーが許してくれなかった、とにかくバーを続けたい、今回の俺の申し出は本当に嬉しい、と。

1時間程話し、カフェを出る頃には、俺は「この人とは一緒にビジネスができる」との確信を持った。

知りたかった情報については、譲渡金額は270万円、家賃14万円、月当たり売上げは季節変動も大きいが50万円程度、ビールの原価は約3割。
店長一人で回して月給20万円とすれば、人件費20万円+家賃14万円+水道、光熱費2万円が固定費で、
50万円の売上げの場合は原価15万円として、固定費36万円+原価15万円=51万円でだいたいトントン、ちょっと赤字となる、といった計算だ。

ここで俺が何を考えたか、備忘録の為に書いておく。
まず、思考の出発点として、

俺にはビアバー経営のノウハウもセンスも無いので、メニューを変えるだとかマーケティングを頑張るとかで売上を伸ばせる、といった前提は持ってはいけない、という事は肝に銘じる事にした。

勿論やれることはやるが、今まで石油化学プラントやらバイオマス発電所やらに向き合ってきた人間に、明日からベルギービールバーの売上を倍増させられるとは到底思えない。

次に、自分にとってのゴールとは何か?を突き詰めて考えた。
そもそも、この規模のビアバーの経営をいくら成功させたとしても、本業に比べればお小遣い程度の収入しか入らない。であれば、利益を突き詰めるのではなく、
俺の好きなこのバーがサステナブルな状態で継続し、かつ俺にとってはバー経営を通じて今までしたことのない経験や新しい友達が手に入れば良い。
この考えに行き着いたところで、人件費については根本的に考え方を変える事にした。G氏には、資本は入れなくても良いので俺と同様実質オーナーになってもらう。

つまり、考え方はこうだ。

①G氏の収入は、原則月20万円とするが、原資は売上-経費で残ったキャッシュのみとする。
②キャッシュが10万円しか残らなければ10万円しか貰えないが、仮にキャッシュが20万円以上残れば、20万円を得た上で、残りを俺と50%づつ分ける。

この場合、仮に、月に40万円しか売上げられなかった際には、売上40万円 – 家賃14万円 – 光熱費 2万円 – 原価13万円 = 11万円しか残らないので、
G氏の取り分は11万円。勿論俺の取り分はゼロだ。
逆に、月80万円売り上げた場合は、売上80万円 – 家賃14万円 – 光熱費2万円 – 原価26万円 = 38万円残るので、まずG氏が20万円取り、
残りの18万円を山分けするので、G氏の収入は29万円となる。

俺の立場から見れば、売上げが増えた際のアップサイドをG氏に譲る代わりに、全然売れなかった場合でも最悪家賃と光熱費、原価さえ賄えれば(そしてそれすら賄えない月は過去も無かった)、
追加の支出は必要ない。また、インセンティブを増やす事により、G氏も実質共同オーナーとしてオペレーションの改善やお客さんを呼び込むモチベーションの源泉となる。
G氏はこの案を快諾した。

次に、売上を増やす案だ。俺には案があった。勿論自分のバー経営の才能が無いと仮定して、それでも売上は増やせる方法。
それはずばり、サラリーマンという立場を利用し、会食に使うというもの。
本当は、そんなことせずとも自然に人が集まり常連が増えるのが理想だし、それだけのポテンシャルを持っているバーだと思っているが、
もし上手くいかなければその手を使えば良いのだ。モラル的にどうかと思うところもあるが、別にぼったくっている訳ではなく
自分自身が常連であったように自信を持ってお勧めできる場所なのだから、別に構わないだろう。。。
(ただ、今のところは自分の会食には使っておらず、それでも友達が使ってくれたりして大手町から呼び込めている状況ではある)

8人くらいの会食でワインも何本か飲めば10万弱くらいにはなる訳で、月2回もやればもう人件費を除いた部分はほぼ賄える。
これに、既に書いたG氏とのキャッシュ分配スキームを組み合わせれば、少なくとも俺の懐は痛まずに続ける事ができる。
勿論、G氏の収入が少なすぎた場合はいずれ辞めてしまうだろうから、ある程度の売上げはいずれにせよ必要になるのだが、、、

ここに書いたような皮算用をして、俺はオーナーのL氏とShake Handsする事にした。バイトの子からのメールが6月末、Shake handsしたのは8月初めくらいだったかな。

次回は、仲間集めについて書こうと思う。


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