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日本の行政とNPOの関係と政策起業家(2)

日本で「政策起業家」について研究・発信されているPEPがnoteを開設しました^^
ぜひご興味ある方はこちらもチェックしてみてください^^

前回の続きを書きたいと思います。
前回は、NPOが行政に関わる4つの理由、そしてNPOと行政の3つの関係性の整理しました。

今回は日本の歴史的変遷の中でどのように関係性、パートナーシップが変わってきているのかについて書きたいと思います。

日本においては、
「戦後のNPOを時系列でみるならば公害問題、消費者運動での『市民の利害代表としての行政との対立者』から現在の『共に政策実施を担うパートナーとしての協働者』への変遷と要約できるとされています。
むろん完全に前者から後者に明確に移行したわけではなく、両者がNPOセクターで共存しているという表現が正しいです。そしてそれらに加え『政策形成過程での協働者としてのNPO』が展望されるようになっているのが現在の動向」とされています。
また、「NPOの資源(実行力、代表性、情報、専門知識)は構造の穴を埋め,社会と政策形成過程を繋げる役割を果たすことで公益性を有し,政策過程で魅力的な資源」であるとされており、これが,「NPOが政策形成過程で影響力を持つことができる源泉であること」が明らかとなっています。またこのようなNPOの資源を活用することで,「より公益性の高い政策策定が可能となる。」とされています。

今までの政策形成においては業界団体からの意見を聞くことが多かったが、業界団体への加入率の低下の問題や、業界団体に所属できない、またはその利害に含まれない団体や個人の増加によって機能しなくなってきました。それらの団体に変わる組織として「NPO」が期待されている可能性があります。

 一方で、「日本では、地方自治体と非営利セクターとのパートナーシップが発展してきているにもかかわらず、ほとんどの関係は共同統治(非営利セクターがサービス提供の計画に参加する政策の策定を指す)を伴わない共同経営(サービス提供の実施を指す)と考えざるを得ない。」とされており、「ほとんどの自治体は、短期的な視点からのサービス提供者としての非営利団体を好む傾向がある。結果、ほとんどのパートナーシップは実施プロセスに集中しており、共同統治の構成要素としての信頼や社会資本を構築する上での非営利団体の役割にあまり注目していない」とあります。
つまり、NPOは本来的にサービス提供としての機能と政策提言などを通した社会変革を推進する機能とを有するはずですが、日本の行政からはNPOのサービス提供の機能(ある意味では下請け機能)が重視されがちだとされています。

では日本のNPOがより社会に貢献していくためには、個々のNPOは、そしてセクターとして今後どうあるべきなのかについては次回書きたいと思います。

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参考

浅野昌彦(2007)「政策形成過程におけるNPO参加の意義の考察―政策実施過程から政策形成過程ヘ」『ノンプロフィット・レビュー』vol.7, no.1, pp.25-34.

Tsukamoto, Ichiro and Nishimura, Mariko (2006) “The emergence of local non-profit - government partnerships and the role of intermediary organizations in Japan.” Public Management Review, vol8, no.4, pp.567-581.

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これまでの政策起業家に関する記事一覧はこちらになります。

また、政策起業家の行動原理など、海外の30年間の研究蓄積がまとまっている書籍の翻訳本の出版を行います。30年分の差を、この1冊で埋められるとは思っていませんが、少しでも日本で早く「政策起業」が拡がればという思いでいます。


最後までお読みいただきありがとうございます。
日本では「政策起業家」に関する研究が非常に遅れています。
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