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さいさんの地方創生 note【能登半島地震が表出させた現在地③・明日は我が身の分岐点】

前回はこちらです。第一回の公助の機能不全とリスクマネジメントからのお話と有事化に対価を支払わない慣習について触れてきました。
 
今回の第三回の話を進めていくうえで、改めて読んで頂きたいと感じたのが以下の有名な詩。

“ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は共産主義者ではなかったから 社会⺠主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった 私は社会⺠主主義者ではなかったから 彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は労働組合員ではなかったから そして、彼らが私を攻撃したとき、私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった” (マルティン・ニーメラー)

コミュニケーションのかけ違いのような部分はさておきとしても、事実上の能登半島切り捨て論のような発言が国家官僚から出ているという異常事態についても前回触れました。
 
とどのつまり、この詩に置き換えて考えるならば、この国では「高齢化が進み、過疎化が進行した地域やエリアを攻撃し、切り捨てる」という意志、考え方が示されたともいえます。遠い能登半島のことだと考えていれば、日本は遠からず五大都市以外は切り捨てていいということにもなりかねないということです。

能登と東北

そしてこのタイミングでリリースされたのがこちらのニュース。ここで指摘された744の自治体。特に約7割が該当すると公表された東北エリアを筆頭に、黄色く塗られた自治体では、今、能登半島で直面していることが、遠からず「我が身、我が事」になると意識した方が良い筈です。

☆改めて考察するならば

そのうえで、歴史的背景を太平洋戦争戦後の混乱期から振り返ってみると、高度経済成長における選択がまず見えてきます。

この国は、稀有な人材たちにより経済と外交において他にないような成果を達成しました。特に経済においては「人口爆発」を時間、空間の両面から戦略的に駆使し、日本中の労働人口(一次産業の実家を継ぐ長男以外の働き先が当時の国内課題であり、それを一挙両得で解消させにいった)を太平洋ベルト地帯に集約させ、所得倍増を達成し、世界トップクラスの経済国へと成長させています(そして、今はその貯金をつかいきって、人口減少時代へと転じているともいえるでしょう)。

この1950年代からの政策における結果として、交通インフラは都市圏から放射状に構成され、高速鉄道は太平洋・瀬戸内海側に集中しました。都市圏から地理的に遠くなる日本海側や海を隔てた北海道、四国ではこれらインフラ整備において相当な格差がうまれたわけです。

当然、こうした格差の中にあって、令和現在の日本海側や中山間エリアにおける多くの自治体では、少子化、高齢化によるリアルが、東京の20年先、30年先という状態で直面しています。まさに地方創生最前線。

僕自身もここ数年は、地方創生系のお仕事や個人的なつながりから同じ日本海エリアでもある山陰地方であったり、同じく消滅自治体に挙げられるような全国の中山間地エリアに足を運ぶ機会も多くありました。

そして、そこには例外なくといってよいほどの多様な自然や人と人の日本らしい関係性が残されていました。その風土や「祭り」に象徴される人の関係によって守られてきた地域の姿。それはまさに、この国の土台や原点が守られてきたとも感じています。

これは、人を集約し、人口的に作られた都市とは縁遠かったからこそでもあります。日本のDNAともいえる様々な何かが脈々と継承されてきた。そんな側面もあるのです。

そして令和の今の時代にあって、これら日本オリジナルと呼べるものこそが、海外からの来訪者達が求めているものでもあり、若い世代が本能的に求めたり、惹きつけられている何かでもまたあるのです。
 
そんな背景と状況。その中から、現段階の「財政」というピンポイントの都合だけで地域そのものを「切り捨てる」という判断や行為は、ひるがえって国全体の未来にとってプラスである・・と本当に言えるのでしょうか?
 
その行為は憲法で定められた原則に反していないと言えるのでしょうか?

☆2050年からの視点

実は、この議論に関しては既に一通りの解析が行われています。上記リンクにある京都大学と日立研究ラボのメンバーによるAIを使った検証がまさにそれであったわけです。

詳細はぜひ購読して頂き、読み解いて頂ければと思いますが、2018年から2052年までの35年という期間における約2万通りの未来シナリオ予測を行い、最終的に6つの代表的なシナリオにまで分類。
 
そして、その結論的としては東京一極集中に代表される都市集中型を選択すれば「破綻」の未来に近づきやすく、多極集中ともいえる地方分散型政策の方が、日本をより持続可能にしていくというものでした。
 
もちろん、これらの分析は政策にも反映され、現在の地方創生や国のヴィジョンにも反映されています。

そして、この一極集中と地方分散の鍵になっている重要なファクターに「財政」があるのです。

*続きます!


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