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フリーランスイラストレーターの健康保険料についてあらためて書く

健康保険」について、同業の方にたまに聞かれるので書きます。「そんなの知ってるよ〜」という方はスルーしてくださいませ。

健康保険はフリーランスに限らず、誰もが関係のあることなのですが、もしかすると会社勤めをされている方はあまり意識された事がないかもしれません。

ぼくも会社員時代はほとんど考える事はありませんでした。なぜならそれは毎月お給料から自動的に天引きされているものであり、会社が代わりに払ってくれているんだなという程度の認識で、まるっきり人まかせ。実際に”納めている”という感覚を持ちにくかったからだと思います。

しかし退社して独立後は否が応にも自分でどうにかしなければいけない事になり、役所に相談しにいったり、本を読んだりとあれこれ調べまわったわけです。


国民健康保険に加入、その前に

会社にいた頃は、健康保険料の半分を会社が負担してくれる、なおかつ手厚い補償付という、今思えばなんともありがたい制度の「社会保険」に加入していました。退社後はその保険の資格を喪失してしまいますので、新たに自分で”国民健康保険”に加入する事になります。

これまで会社に負担してもらっていた分がなくなるという事は単純に考えても2倍。ちなみに保険料の額というのは所得に応じて変わりますので、倍では収まらない事もあるでしょう。退社後すぐの状態ではほとんどの人の場合負担額が増える事になるのではないでしょうか。

ぼくもかつて役所で保険料を計算してもらってビックリした事を覚えています。退社して独立したばっかりのろくに仕事もない状態で、とてもじゃないけど毎月こんなに払えないよ!と。

これはアカン。なんとかならんものかと調べたところ、国民健康保険に加入する以外の方法が2つある事を知りました。

(1)任意継続
(2)国保組合

(1)任意継続というのは、それまで社会保険に加入していた人だけの選択肢になりますが、退職後も2年間だけ継続して同じ社会保険に加入できるという制度です。ただ、これまで会社が負担してくれていた分を自分で納めなくてはいけないというのは国民健康保険と一緒。それでも国民健康保険に乗り換えるよりはまだいくらかは安くなる、という場合が多いので検討の余地ありです。

(2)国保組合というのは、自営業者で組織・運営されている国民健康保険のひとつで、業種や地方ごとに様々な国民健康保険組合が存在しています。保険料が一定である場合が多く、収入の増減によって保険料が変わる心配がないのが特徴。


文芸美術国民健康保険組合

国保組合の収入に関係なく保険料が一定というメリットに惹かれ、さらに詳しく調べてみたところによると業種によって加入できる組合が違う、またそれぞれに加入資格というものもあるという事がわかりました。

僕のようにイラストの仕事をしている者が加入できそうなのは…

文芸美術国民健康保険組合
加入資格:
日本国内に住所を有し、文芸、美術及び著作活動に従事し、かつ、組合加盟の各団体の会員である者とその家族。
http://www.bunbi.com/

これでした。気になる保険料は

保険料
組合員:1人月額 19,600円
家 族:1人月額 10,300円(※平成30年度)

です。僕の加入した平成24年当時は、組合員 月額 14,500円、家族 月額 6,700円でしたのでずいぶん高くなってはしまったのですが、自治体の国民健康保険に比べまだ安くなる場合もあります、一度計算してみてはいかがでしょうか。


加入資格について

文美国保の加入資格にある “組合加盟の各団体の会員である者” という記述。国保組合に加入する前に何らかの団体に所属していなければならない、という事です。ちなみにこの文美国保加盟の団体はこのページをご覧ください。

いろいろありますが、イラストレーターの場合なら

・東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)
・日本イラストレーション協会(JILLA)

あたりでしょうか。ちなみに僕は日本イラストレーション協会(JILLA)に登録しています。他の団体のように推薦は不要で、自分だけで申請できます。

それぞれの団体によって加入方法や条件は異なります。また、団体に加入する事によって発生する会員費も違ってきますのでいろいろ比較・検討された上で、国保組合にするのが得なのかどうかを見極める必要がありそうですね。

つまりはこんなイメージです


文美国保以外の組合

居住地によっては下記の国保組合への加入も考えられるかもしれません。

・東京技芸国民健康保険組合
・京都芸術家国民健康保険組合
・大阪文化芸能国民健康保険組合

などなど。自分の状況にあった組合を選ぶのがよさそうですね。ちなみにぼくの場合は 退社 → 任意継続(約1年) → 文美国保 という流れでした。

文美国保に加入できるまでの手続きにかかる数ヶ月間分を任意継続でしのぐというせこい?やりかたです。(任意継続は通常2年の加入が原則ですが、保険料を納めるのをやめると自動的に失効となる事を利用。)


たとえわずかな差でもばかにならない

いろいろ調べたり手続きが多かったり、面倒くさい事ではありますが、これからフリーになる方はもちろん、毎月の保険料が高くてお悩みの方は検討する価値ありではないでしょうか。たとえわずかな差でもずっと払い続けるものですから、ばかになりませんよね。

保険料が高い = それだけ収入がある、という事なので考え方によっては喜ばしい事なのかもしれませんが、自分のため、家族のためのたいせつなお金の問題ですから、ちゃんと考えていかねばなりませんね。

家族の人数が増えるとその差はどんどん微妙になってくるのですが、独身の時は年間十万円単位で変わりました。

ちなみにぼくの住む神戸市は健康保険料がバカ高いことで知られています。先月から家族が5人に増え、とんでもない額になってきて膝の震えが止まりません。



ところで。文芸美術に従事している者こそが、そろそろちょっと整えたほうがよさそうな、文芸美術国民健康保険組合ウェブサイト。

http://www.bunbi.com/

このノスタルジックな感じ、個人的には好きなんですけどね。



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