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ぼくは、松本人志さんの問題が気になって仕方ない奴です。

こんにちは、フリー編集の元塚Bです。
昨年(2023年)末、松本人志さんの「性加害疑惑」が週刊文春で報じられ、今なお大きな話題となっております。
私も一報に触れて以来、ことの進展が気になって仕方なく、雑誌・テレビ・ネットと各種媒体で情報を仕入れては考察する、という生産性のないことを繰り返しています。
何しろ松本さんは、テレビはもちろんのこと、出版業界においても重要な存在なのです。

「週刊文春」完売

そもそも、今回の報道のきっかけは、「週刊文春」。
まさに、出版界から放たれたニュースでした。
「週刊文春」の当該号は、何と45万部が完売。
電子版の有料会員も2万3000人を突破とのこと。
その売上は、数億と言われています。
出版不況に歯止めがかからないなかでの、破竹の進撃。
個人のスキャンダルによって売り上げをあげることには賛否がありますし、私自身も賛同しかねるところがあります。
しかし、いち編集者として、憧憬を禁じ得ないのも正直なところです。

200万部のベストセラー『遺書』

また今回の報道は、個人的にも大きな関心事です。
何しろ、私はダウンタウンの「ごっつええ感じ」をリアルタイムで見ていた世代。
そもそも私はお笑いが大好きで、今でも松本さんは笑いの天才、カリスマであると崇拝しております。
それは、単に「テレビのなかのこと」にとどまりません。
松本さんの著書『遺書』も、私の大好きな一冊。
発売当時10代だった頃に読みましたし、その後も複数回読み返したほど。
長じて出版界の末席を汚すようになり、いつか、何らかの形で松本人志さんと仕事でお会いできないものか……
そんな夢も抱きました。
しかし、その夢と憧れはいま、ガラガラと崩れつつあります。

ランボーの「裏切られた心臓」

松本さんの問題は文春の記事内容を超え、芸人の在り方、笑いの在り方への批判にも発展しつつあります。
そうした一連を追ううち、私はある一節を思い出しました。

男根崇拝的でまた、兵隊気質まる出しの
奴らの下卑たひやかしが、僕の心臓を荒ませた!

ランボー詩集 (新潮文庫) 堀口大學訳

これは、アルチュール・ランボーの「裏切られた心臓」という詩の一節です。
松本さんにまつわる問題の根には、ランボーがいうところの「男根崇拝的」で、「下卑たひやかし」があるのではないか。
そして私自身も、「男根崇拝的」で、「下卑たひやかし」を笑っていたのではないか。
かつてランボーの「心臓を荒ませた」その態度は、今は私の心臓を裏切ろうとしている……。

時代の象徴

現段階では、文春の報道内容を吉本・松本さん側は否定しており、真偽のほどは明らかになっていません。
いち松本ファンとしては、何らかの間違いであって欲しいとも願ってしまいます。
しかし、その内容が事実であった場合……
倫理的にはもちろん、法的にも許されることではありません。
松本さんは断罪されたうえで、きちんと謝罪と償いをしてほしい、と思います。
松本さんの問題は、古き悪しき価値観とどう決別するか、という時代を象徴する出来事でもあると感じるのです。

(イラスト・文◎元塚B)

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