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男女間に行為は必須の要素か~札幌のホテルでの回想

札幌で、長期滞在中のホテルで、婚活中の女性のツイートを目にする。相手の男性から性欲処理の対象と見られていたと書かれている。「どうして普通の恋愛にならないんだろう」というフレーズがずっと頭に残る。
自分はこの種の男ではないと思ってはいるが、きれいごとを言うなと反論されそうな気もする。
今、ホテルに滞在している札幌は自分の会社人生の中で初任配属の場所として思い出に残る街。その当時のことも思い出されたり・・・

取引先F社の女性と交際したときに彼女も似た趣旨のことを話していた。
最初のデートは平日の夜に小樽へのドライブ、その後札幌へ戻っての飲み会。平日の夜にドライブしているということは、彼女にかなり気を使っている気がする。ほかにも最初のデートがドライブだったことはあるけれど、平日夜にドライブしたのは彼女だけだったはず。この最初のデートの記憶はほとんどない。
ただ、最初少しもめて「これから行って待っているけれど、時間に遅れたらもう2度と会うことはないから」と彼女のオフィスで言った記憶がある。小さな声で彼女には言っていたが、対面に座る(彼女の先輩の)中堅女性社員にはニュアンスがわかったらしく、顔を真っ赤にしながらこちらを見ていた。彼女は、先輩女性社員には絶対に交際を秘密にしてと頼まれていたが、女の勘で気づかれていたと思う。自分は彼女と知り合って3か月目に交際したのだが、その先輩女性社員とは1年以上前から知り合っている(しかし、関係は何もない)「会った順に交際していくわけじゃないんだから」と言っても「理屈ではそうだけれど、先輩の感情では愉快なはずがないから」と強調する。彼女は今の部署に来る前、イベントで花束贈呈の役をしていて、最初に見たときはモデルかと思ったほど、際立った美貌だった。先輩女性社員は親切な(若い)おばさんという感じで楽しく話す関係ではあったが、恋愛感情はまったくなく、彼女が気にするのは不思議だった。

自分の経験で女性との交際が続くのは、ほぼ最初のデートが盛り上がったとき。でも、彼女の場合は最初のデートの記憶がない。ただ、居酒屋に入る前に「最初のデートで、あなたとホテルに行くつもりはないから」と言われたことは明確に覚えている。圧倒されて「いや、そこまでは考えていないけど」と答えたことも。彼女は「本当かなー」と言って自分をじっと見た。こう書いていると最初に少しもめたことも含め、緊迫感ありありで盛り上がるようにも思えないが、2度目のデートにつながったので、彼女もそこそこは楽しかったのではないかと思う。

2度目のデートの記憶は鮮明。待ち合わせ場所に彼女が息を弾ませて来る。「約束の時間に遅れそうで、終業時間の前から気が気じゃなかった」と言う。前回は、遅れるなら事前に連絡がほしいと少しきつく話しただけで、絶対に時間に遅れるなとは言っていない。最初のデートに遅れるのは印象が悪いので、続かなかった気もするが。
話の中心は、彼女がいかに社内のデートの誘いを断るのが大変だということ。わが社からのお誘いもあると。一般には嫌われやすいモテ話の一種だが、自分は嫌いではないのである。単純にすごいなと思ってしまう。

彼女が憤りを表しながら語ったのが前の彼とのエピソード。一泊の旅行をすることになった。観光地ではお祭りの時期でもありベストシーズンを選び、何週間も前からお互いに、楽しみだねなどと盛り上がっていたと。数日前に電話で彼女が、「旅行の当日、私あの日だから・・・だから行為もできないけれど」と言ったとたん、彼の態度が一変。ベストシーズンに決めたたと言った日程を延期しようとする。彼女がその必要はないと言っても取り合わず、「今日がキャンセル無料の最後の日なので」と言って勝手にホテルをキャンセル。「来週以降で都合のいい日を教えて」と言ってきたけど、「しばらく都合のいい日はありません」と答え続けて関係は終了したらしい。「『君の体調を心配してのことだから』と言っていたけれど、自分の欲求が抑えられないからでしょ。本当に幻滅」と。

別の日。彼女は業務で関係のある男性アナウンサーに誘われ、最初のデートに赴く。彼はコーヒー好きらしく、おいしいコーヒーを入れるのに、いかに手間がかかるかを力説。20分以上ほぼその話題。退屈に感じていたが、渋くて素晴らしい趣味とも思ったので、相槌をうちながら聴いていたらしい。話が途切れ、やっと話が終わるかと思って彼を見るとこちらを凝視している。「おいしいコーヒーを君のために入れたいんだ。朝のコーヒーを一緒に飲まないか」と誘ってくる。「近くのホテルを取ってあるから」と。「退屈なコーヒーの話もホテルへ誘うためのフリだったの? 30分近い私の時間を返せ」と(心の中で)思ったらしい。「『ホテルを取ってある』って何? 私、返事をしてないんですけど」と怒りがこみ上げ、その場で「帰ります」とすぐ帰ったらしい。こう記述していると面白いシーンのようにも思え、思わず笑ったりもしたのだが、彼女は傷ついていた時期もあるのではないかと感じ、今は申し訳ない気もする。

ここまで話して彼女はこちらを向き、「どうして私と飲む男は、みんな私とホテルへ行きたがるの?」「・・・え、さあ・・・」と圧倒されながら。深刻なエピソードが含まれている面はあるが、わが社の先輩社員の上から言う失礼な誘い方など、楽しい部分もあり、(初回デートの記憶はないのだが)2回目としては、かなり盛り上がったデートと思う。

すぐに時間が過ぎ、終電の時間。「もう一軒行かないか。後でタクシーで家まで送って行くから」と言うと彼女は「私、今日あの日なんだけど・・・あなたはどうする?」しばらく続く沈黙。彼女は自分の提案を明らかにスルーしている。返事を誤ると関係は終わってしまうと直感で思う。何と答えればいいのか。「・・・続きの話はホテルでしようか」「私、行為はできないけど」「それは関係ない」彼女は笑って「あなたは、そう言ってくれると最初から思っていた」
彼女は男は行為目的の人ばかりと言っていたが、そうではないとも思うのである。実は自分は強い方ではなく、お酒を飲んでいるときは。その種のことをしないのである。それが幸いしたともいえるかもしれない。行為はしていないけれど、シティホテルでは親密に盛り上がり、次につながっていくことになる。

(自分では、普通に近くのシティホテルを予約したのだが、彼女は「シティホテルで過ごせることはうれしいんだけれど、いつもここでは、あなたの給料が持たないと思う。まだ2年目なんだし」「気にしなくていいよ」「私、とてもオシャレなラブホテル知っているから次はそこで」自分は驚いて「ラブホテル!?」「ラブホテルって、2時間ドラマのように古い畳敷きで、くたびれたゆかたを着なければならないって思ってない?」「・・・そうだね」「今、そんなんじゃないから。教えてあげる」実際、次の機会ではそこを使ったのだが、とてもスタイリッシュなホテルで、以降使うようになったのである・・・)

この数年後、地方のクラブで偶然会った同じ中学の3年後輩と交際。半年後、彼女が札幌へ仕事のため出てくることになり、ススキノで半年ぶりに会うことに。待ち合わせでは、会ったのが暗い場であり、彼女の顔がはっきりとはわからなかったので、時間前に行って待つ。杏里に似た背の高い女性がこちらへ来て「お久しぶりです。私のことお忘れですか?」と話してくる。年下の女性との交際は初めてだったのだが、アダルトな雰囲気だったので自然に付き合うことができた。
最初のデートがあまり盛り上がらずに交際が続いたのは、たぶん彼女だけ。デートでは常にクール。好きな映画の話などをしたのだが、あまり笑顔にはならないし、盛り上がっていないのではと感じていた。ただ、午後11時過ぎに別れるときに「今日は楽しかったので、また会おうかな」と話してきて、少し上から言われている気もするが安堵したものだった。2回目からのデートでは一転して少女のようにはしゃいでいる。「私の得意曲は『踊るポンポリん』」とか。先日のクールすぎる態度は何だったのかと思うほど。最初は意識しての態度ではなく、緊張していたとのことだったが。彼女とホテルで関係を持つことになった。そのときに彼女は、このようなシチュエーションは好きではないのだなと直感。我慢している気がするのである。自分は失望するのではなく、逆に申し訳なくなった。断ると自分が悲しむと思って合わせてくれたと感じた。それはそれでいい。彼女に魅力を感じて交際しているのであって、行為が目的ではないのだから。彼女は気が強いので何度も喧嘩はしたが、これ以降も楽しく付き合っていくことになる。

婚活中の女性のツイートが頭に残り、久しぶりに回想してみた。交際している男女間で 行為はもちろん大切だが、それがすべてではない。充実した時間が過ごすことの方が大切と思う。きれいごとだろうか。

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