Wantedlyは、求人媒体なのか? SNSなのか?

少し前にIPO申請したWantedly、サービス開始直後から注目してきたので、「おー遂にIPO」かと興味深く感じて、Ⅰの部やら目論見書など久々にちゃんと読んでしまいました。

インターネット界隈だと、多くの企業が利用しており注目度が高いサービスなのか、調達額が極小のスモールIPOながら注目を集めており、いろんな方がブログなどに本件コメントされています。

Wantedly(ウォンテッドリー)のIPOがいろいろ凄いので考察
WantedlyのIPOを現役CFOが勝手に斬る!

特にINSTの石野氏のブログは大きくバズり、Google検索でもかなり上位表示されました。内容は、ダウンラウンドのIPOであること、調達額が過少でオフィス内装費ということ、従業員へのSOがほぼないことなど、結構スパイシーでした。

賛否両論、いろんな見方があります。私はダウンラウンドだろうと、投資家に対する責任としてIPOして流動性を持たせることは、ある一定の価値があると考えています。オフィス内装費は銀行から借りますが。

今回のwantedlyについては、そもそも求人サービスではマネタイズ、集客共に問題があり、限界ギリギリストレッチな状態でIPO、今後は時価総額経営に徹して、M&Aのわらしべ長者で二発目を狙うという理解をしていました。

その後、批判記事や関連するツイートが写真の無断引用によるDMCA申請で消去されているようで、特に本日は燃えに燃えて、マネーフォワードのIPOが全くニュースにならないという、何とも香ばしい状況に至っています。

WantedlyのIPO批判記事、Google検索から消える 「写真を無断利用された」とWantedlyが削除申し立て
Wantedlyによる「写真を無断利用」の論理について:インターネットにおける画像引用

DMCAはヘビーなネットユーザーのハートを鷲掴みにしており、今後どのような着地となるのか興味深いです。

さて、私の今回の課題意識は「Wantedlyは求人媒体なのか?SNSなのか?」という点です。

会社の公式見解はⅠの部などに明記されているようにビジネスSNSです。求人媒体ではないのだから、募集要項には給与や福利厚生は記載しない、という立て付けとなります。マネタイズ方法も広告に徹しており、成果報酬はオプションではどうか別として取っていません。(Newspicksのコメントはちょっと誤解があって間違っているかもです)

しかしながらサービスを利用している掲載企業(法人)、個人(求職者)共にSNSという認識はなく、転職サイトの1つではないでしょうか? 少なくとも私は求人媒体として認識しています。

仮にビジネスSNSではなく、求人媒体であるとした場合、少々問題になるのは、「労働条件の明示義務」を果たしているのか?、果たすべきか?という点です。

厚労省の「民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介との区分に関する基準について」にまとまっていますが、この区分やユーザーの認識を踏まえると、求人媒体とみて然るべきだと私は考えます。

なお、職業紹介は労働基準法、職安法などで規定されている「労働条件の明示」を義務付けられています。基本的には求人票に必要事項記載して説明するというオペレーションでこの義務を果たしています。
職業紹介事業の運営

求人媒体はその対象から外れるため明示義務はありませんが、求職者に対して適正な求人情報を提供し、入社後の契約条件の相違や、不利益を回避すべく、歴史的に全求連中心にガイドラインを整備してきました。(求人情報提供ガイドライン

私の立場は、労基法42条の趣旨はHR産業は広義に解釈し、求人媒体であったとしても、主要な労働条件(特に賃金、労働時間、雇用形態・期間、業務内容)は明示して、求職者を誘引すべきというものです。

なお、Wantedlyの場合は、ビジネスSNSではなく、求人媒体として看板仕立て直した方が、実は商売上もよろしいかと考えています。
現在は求人媒体ではなく、ビジネスSNSですので、紹介手数料を取ることができません。

ジョブセンスにしても、Greenにしても商売としてある程度上手くいっているのは成功報酬部分が存在しているからです。現在広告掲載している企業の大半が、人材紹介を併用しており、媒体経由であっても成功報酬を支払うことには抵抗はないと思います。

また、既に相当数の掲載企業を獲得しているために、新規顧客獲得のための営業よりも、既存顧客のUPセル、クロスセルの方が小規模会社にとっては効率が良い事業活動が可能になります。

Wantedlyは売上高の成長が鈍化しており、次のロケット不可欠が実情と思いますが、案外そのロケットはIPOして時価総額経営でM&Aではなく、求人媒体であることを認めて、掲載企業から成功報酬を取ることではないか?と感じています。

少なくとも私の周辺ではWantedlyで結構採用できている会社があり、そこから広告+成功報酬をしっかりとっても顧客が離れることはないと思います。ただ、求人媒体かつ紹介モデルで課金する以上は、労働条件はしっかり明示し、健全な労働市場の構築に貢献すべきと考えています。

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Shunsuke Mikami

コメント1件

いつもNPのコメント読ませて頂いております。今回のnoteもそうですが、初めて知る情報や意見が多いので、非常に勉強になります。
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