ビジネスモデルキャンバスで描く、ヘルスケア業界の変遷(総論)
Healthcare BMI 001: 1 Jul, 2014
有効期限切れの医療産業ビジネスモデルをリ・デザインせよ
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皆さん、医療業界というと、とっつきにくいなぁ、私には関係ない、難しい市場だよね、と尻込みしてしまうかもしれません。
一方、盛り上がる健康グッズやウエアラブル機器、ランニングを記録するスマホアプリなど、病気でなくとも、健康医療系のニュースを良く耳にしたり、あるいはサービスや機器を購入したという方も多いのではないでしょうか?
これから暫くの間、ヘルスケア業界におけるビジネスモデルにイノベーションを引き起こすために、様々なビジネスモデルを可視化、分析することを日課にしてみます。
ちなみに・・・可視化にはもちろん「ビジネスモデルキャンバス (BMC)」を使います。グローバルで65万部以上売れた大ベストセラーで各国のMBA必読のバイブル、そしてスタートアップには必須のチェックリストでもあります。Alex Osterwalder & Yves Pigneur(双方、我らのパートナーであります)らの著作「ビジネスモデルジェネレーション(邦訳:翔泳社)」に詳細はお譲りしますが。。。
取り急ぎ「それ、何?」という臨床開発/薬事マネージャーのあなたは、今直ぐYoutubeやGoogleで「ビジネスモデルキャンバス」を検索したり、例えばこちら↓でBMCをかいつまんで知ってから、以下をお読みくださいね。
http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1308/20/news017_2.html
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<国民皆保険はいつまで続く?>
20世紀のビジネスモデルは「メディカル」型。病気にどう立ち向かうか?
つまり、診断・治療に応じて医療・検査機器、医薬品が売れる時代でした。
しかしながら、高齢社会と医療費増大により、社会保障制度が揺らぎ、機器や薬の価格に対する圧力は高まるばかりです。
ブロックバスターの特許切れ、新薬枯渇とジェネリック薬による市場収縮で、医療産業のビジネスモデルはもはや終焉を迎えたといっても、過言ではありません。
<早期発見のために、健診ブームの到来>
21世紀に入り、治療法や疾患の理解が進んだ現在、メディカル型が「ヘルスケア」型へ変化。病気かどうか早く知りたい、というニーズが顕著になりました。定期検診で全身をくまなく検査し、早期発見できれば、治療する。
これは、増え続ける医療費に困惑する国のみならず、企業の健康保険組合にとっても医療費削減のための重要な戦略です。
検診により、安心感を与える”予防”ビジネスが潮流となっています。
<ヘルスケアビジネスは異業種と共創の時代へ>
2001年のヒトゲノム解読宣言後、医療産業のビジネスモデル・イノベーションは、遺伝子診断から始まりました。
デジタル化されたゲノム情報により、投薬前の検査による個別化医療、さらには、遺伝子診断により治療や手術、出産の意思表示が出来る時代が到来したのです。
さらには、ICT技術とバイオテクノロジーの急速な進歩により、一個人の全ての遺伝子情報が、間もなく(2015年には)たった10万円で解読できるようになります。
これに目を付けたGoogle、DeNAやYahoo!などのIT企業、或いは大学発ベンチャーなどいわゆる「異業種組」が続々と「個人向けの遺伝子検査」市場に参入しています。
テクノロジーと医療が融合し、新しい価値を生み出すモデルが生まれつつあるその裏では、究極の個人情報を巡って、覇権争いが加熱気味です。
<人間の根源的な欲求は「いかに健康で長生きできるか」>
幾つかの感染症を制圧し、また、疾患の治療法を確立した現代人の飽くなき欲求は「病気」から「健康」にシフトしました。
つまり、顧客のニーズが変化しているのですから、それに合わせて、医療業界、そして病院やクリニックが提供する価値を”再”定義しなければならないのです。
これからの本当の健康イノベーションはメディカル型から「ウェルネス」型への変革です。
ウエアラブルデバイスやスマホで自身の体調を管理する。ライフログはクラウド経由でビッグデータに繋がり、これをマネタイズするというビジネスモデルが生まれるでしょう。
一方、究極の個人情報とも言われる「遺伝子」の取り扱いにおいて、倫理観に基づく知財管理が非常に重要なリソースと認識されます。ICTの物理的な費用に加えて、セキュリティ対策や知財管理にいったい、どれだけのコストを捻出すれば妥当なのか?
ウェルネス型ビジネスモデルは、また生まれたばかりの「プロトタイプ」。まずはお客様の声を聞き、検証を進めていくことで、2025年の日本が真の健康長寿を維持、実現し世界に向けて発信できるような、モデルに昇華するのではないでしょうか。
ドラッカー流に言えば「真の顧客は誰か?」
改めて、あなた自身に、そしてチームのメンバーに問うてみませんか?(完)
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