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1年たっちまった/京都芸術大学 通信教育部 アートライティングコース

卒業できる気がしねぇ

入学前の準備段階から、noteで備忘録代わりにいろいろ投稿していこうと思っていたのに。なんなら、これから同校への入学を志す“50代働く主婦”の誰かの参考になればいいなとか。思ってたのに。ぜんぜん書かないままに1年生最後の課題提出が先日終了した。
始まった当初は、最短4年で卒業するための履修プランを立てたけど、いやいやいや、無理っす。ぜんぜん無理。夢まぼろし過ぎる。
まー、大学というところに入ったのも初めて、履修やら単位やらシラバスやら「大学用語」もわからないままに、プランもヘッタクレもないのだけどもね。
で、一年間の振り返りも込めて、思いついたことをザクザクって書いてみる。

1年次取得単位:13単位(※卒業資格124単位)

この一年で取得したのは13単位。(正確には内5単位は取得見込みなので、現時点で確定してるのは8単位)
卒業までに取得せねばならない単位は124単位なので、このペースでいくと10年かかる計算になる。ところがどっこい、学校はMAX9年までしか置いてくれない。なのでこのペースでは完全にアウトなのだ。
というか、そもそも「1年分の学費×4年=よし!貯蓄で学費払える」と思ったのが入学に踏み切った動機のひとつでもあったのに、9年なんて完全に予算オーバーじゃないか。
考えが甘かった..というか、何も考えてなかったし、入ったらなんとかなると思っていたのだけどね。

大学は、何から手をつけたら良いかサッパリわからない私のような子羊のために、「最短4年で卒業する人用/おすすめ履修プラン」というのを親切にも示してくれていた。しかしながら、学習をスタートしてすぐに、そのとおりのペースで進めるのは無理だとわかり、最短はあきらめて、では6年で卒業しよう、と計画を変更。そうすると、124÷6=20.666…というわけで、年間21単位は取らなきゃならなかったのだ。
そして今、結果として13単位なので…ま、そんな現状なのである。
いったいぜんたい、同級生はどんな感じなんだろうか?
私はクラスでどれほどの劣等生なんだろうか。
そういうのがわからない、というか、気にならない。だから焦りもない、というのが通信教育の良いところではある。


通信教育学部はその名の通り、すべての単位取得をオンラインで完遂できる地方住みの昭和生まれの大人には神のようなシステム。昨年の春、大学の入学式に参加して、何人かの同コースの人たちとも顔を合わせた。その場には20歳から60代ぐらいまでのクラスメイトがいらした。その時の様子では、生徒の8〜9割は社会人かと思われるが、中には高校新卒の子もいたりするみたい。
みなさん入学理由も家庭環境、勉強環境も様々で、なので1年次入学で最短4年で卒業できる人は少ないはず(だと思いたい)。家族構成、未婚・既婚、お子さんの有無、介護人の有無などなど、他人と比較してもしょーがないくらい共通性は低い気がする。
そうそう、入学式で唯一SNSで繋がったのは24歳の女子だった。なんだか一緒にいたら、入学式に同伴した母の気分だったけど、何かとてもクリエイティブなことが好きっぽい子だったな。あの子はどれほど単位を取得しただろうか。


最近、やり方がわかってきたよ、やっとw

履修の進め方がわかったようなわからないような状態で、すでに一年が経とうとしてる今になってやっと全容?を飲み込めた(ような気がする)。
学生専用サイトには、これでもかというほど丁寧に書いてあるし、もっと精力的に情報を取りに行くとか、問い合わせるとか、コミュニティーに参加するとかすれば良いのに、そういうのをあまりしなかったせいで分かっていなかったのもあるのだろう。(取説読まずに勢いで進めるかんじね)
一年の終わりが見え始めたころになり、「この科目は入学したら最初に履修したほうがいいよ」って書いてある「はじめての共通科目」をやっと受けたせいで、「あ、そういうことだったんだ」と、今になっていろいろ知ったという。
(とはいえ、ある程度ほかを履修して身を持って理解してたから、この科目が割と簡単に進んだ、というのもあるので、一概に何ともいえないのだが。)

授業スケジュールは、春期、夏期、秋期、冬期と、一年を4つの期間に区切って締切りがあり、各期ごとに課題(主にレポート提出、試験がある科目もあるが私はまだ履修したことがないので試験未経験)を提出して合格して1科目につき2単位(または1単位)取得する。
年に4回提出するチャンスがあるので、各期でもしも3科目履修&合格すれば年間12科目=MAX 24単位取得できるわけである。

さて、じゃあ3ヶ月につき3科目履修すればいいんじゃん?って思うだろうけど、そう簡単じゃない。
では1科目履修するためには、どれほどの時間が必要なのか、ということなのだが。
学習アドバイスには「1科目の学習に必要なのは45時間」とある。
仮に、1日5時間勉強時間を確保できたとしても9日間。×3科目。3ヶ月で27日間、ほぼひと月。
うん、余裕でできそう!、私が仕事してなくて家族も不在ならね。

これまでの経験から、実際のところ、1科目につき45時間もできていない。
たぶん、10時間もやってるだろうか。
授業は、

  • オンライン動画視聴

  • テキスト読み(オンライン書籍、紙書籍、その他)

  • オンライン批評(同級生同士で作品を批評し合う)

などを行い、その後、科目ごとに1200〜1600文字(以上の場合もあり)のレポートを執筆するのだ。
このレポート執筆がめっちゃ時間かかる。
そもそも、私は「アートライティングコース」で文字を書くことを学んでいるのでそれ自体は勉強になるし、なんなら楽しくもあるのだが…。だが、だが。真剣に取り組めば取り組むほど、推敲に推敲を重ねて頭がグルグルになるので、まー時間がかかる。仕事の納期も並行してたりするともう地獄。更年期も重なり家族も地獄。

…というような、「自分はその科目を履修するとどれほど時間が必要で、どのような行動(図書館に専門書を探しに行くとか書籍をネットで買うとか)が発生するのか。私が勉強に没頭することによる家庭への影響はあるのか。」っていうのは、やってみなければわからなかったのだ。
ちなみに、この時間や行動内容は、人によって違うと思う。レポートを書く、読書する、テキストを打つ、レポートの設計をするなど、得意・不得意や、その人の思考癖で随分と時間が違いそう。
だから、やってみないとわからないのだ。


しかし、楽しい

つまり、時間の確保は大変ではあるし、課題前には家族の食事の支度も手抜きになるので迷惑かけて大変気が引けるのだけれど、それ以上にこの学びの時間は、私にとって想像以上に幸せなのである。
何が楽しいって、もちろんアートライティングならではのコース専門教育科目も興味深いのだが、私が夢中になっているのは学部共通専門教育科目の西洋美術史である。
もともと美術は好きだったし、なので少しは知ってたつもりだったけど、深く知ることがこんなにすべてを巻き込んで面白くするなんて。
この一年で、ほぼ初めましてだったことリスト。

  • ヤン・ファン・エイクすげー!北方ルネサンスがすごいんじゃん!

  • ボッティチェッリの受胎告知のマリアの挙動って!

  • ヒエロニムス・ボス、好きすぎる

  • ボロディンのボロヴェッツ人の踊り(韃靼人の踊り)と中世ロシア音楽

  • ゴシック大聖堂とそうじゃない大聖堂の見分けがつくようになったよ

  • 中世キリスト教美術がどうして古代ローマや古代ギリシャより劣ったふうになって見えてたのか

  • ランスの微笑み

とかとか、反芻すればキリがない。どれも浅くは知ってたつもりだったけど、いや、ぜんぜん知りませんでしたすみません!
それは例えば、蟹の足だけ食べて「蟹おいしいよね〜」って言ってたぐらいに表面的なことしか知らなかったようなもので、甲羅開けてミソ食べないで、誰が蟹の美味しさを語るんだ?!、ってな感じなのだよ。(比喩が違うし、私、蟹味噌食べないけどね)

毎回頭を悩ませるレポート執筆ではあるが、初稿はいつも提出文字数以上になってしまい、何を削るか、書くのを諦めるかに苦心している。
レポートに書ききれなかったけど本当は盛り込みたかった考察などは、また機会があればここに書こうと思う。

とにもかくにも、この一年は私の頭の中は文字で溢れそうだったけど、世界が開けて行く感じをこの歳で初めて知ったのである。これは、本来の学生時代に感じるべきことなのだろうけど、残念ながら当時は勉強なんてテストのための惰性でしかなかった。
そして、純粋に知りたいことを学ぶというそれは、現在の私にとって、しんどいながらも、なかなかの快感なのだ。


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