舞浜ユーラシア

もはや散歩でもないので、自分で決めた日記のテーマもグダグダになっている。コロナのせいで1年ぐらいこういう温浴施設に行くことも憚られていたので当初の目的を見失ってしまった。習慣がなくなると歩くことも途端に面倒くさくなってしまう。
こういう世の中になる前は1週間に1、2度は健康ランドに行きマッサージやアカスリのような施術を受けることを趣味としていた。もうその儀式なしでは次の1週間1日9時間労働で働けない体になっていたのだ。ある種の精神的依存だと思う。そんな病気があるのかどうかしらないが、私はリラクゼーション依存症だったんだ。
しばらく我慢していたけれど長い冬で体もこわばりいかんともし難くなってきたので、この日はとうとう浦安のガスト前から出ている無料送迎バスに乗り込み舞浜ユーラシアを目指した。
ここはホテルが運営しているスパで、南国ラグジュアリーテイストが売り。荒涼とした倉庫街を抜けると唐突にリゾーチーな雰囲気で優雅な建物が現れる。
元々浦安万華郷ファンの私からすると、日常遣いとしては大衆味に欠け、料金もお高い印象があったのであまり以前は利用していなかった。客層的に若者や外国人や浮かれたカップルの多い浦安万華郷はコロナ期間は割り切りよくがっつり休館しているのだが、舞浜ユーラシアはホテルという名目も有るためかずっと静かに営業をしていた。
高いと思っていた入館料もクーポンを使えば館内着付きで1900円。たまに得られる非日常としては安いものだ。
ここの温泉はつい最近わかったことのように書かれていたけれど、21000年前もの太古の雨水が地殻変動によって地中に閉じ込められていた化石温泉と呼ばれるものらしい。
私がこのスパで一番お気に入りの場所はずばり露天にあるヒノキ風呂。こちらのお風呂の縁を枕にして半分寝そべり見上げるとクリーム色の上階の壁とテラスの曲線で切り抜かれた空間の視覚効果でまるで巨大客船のデッキにある豪華プールでのんびりと空を見上げているような優雅な気分になれるのだ。南国植物たちが風に揺れるたびに心地よいアミューズを与えて1週間ぐらいバカンスを取ってクルーズしているような錯覚に陥ることができる。お湯加減もちょうど40度ぐらい。熱くもぬるくもなくて外気を浴びる露天風呂としてはちょうどいい。もうひとつ奥にはモンゴルのゲルのような不思議な形の室内風呂。天井には星空のような穴が点々と空いていてそこから小さな光が入ってくるというナイスな設計で、こちらはちょうど体温と同じ36.5度ぐらいの温度。体への負担もなくずっと入っていられるのでそちらも合わせておすすめ。
ここのサウナはケロサウナといって一部サウナファンの間では有名な本格的な作りのサウナらしい。
大量生産的な作りからは遠く、なんか山奥に住むおじさんが自分で作ったみたいな無骨で粗野な作りをしているのだけれども、それだけに余計なものをすべて削いだような神聖なオーラが漂っている感じがする。
お風呂内にエステサロンがある。40分でフェイシャルとデコルテマッサージ5,000円という看板が出ていたので迷わず予約した。バスタオルを渡されるので着替えずにそのままいけるのがいい。思ったより奥行きがある広いサロン。
ちょうどいい。高級すぎて気後れするわけでもないし、しょぼすぎて夢が壊れることもない、クリーンで実に居心地良いスペースとなっていた。
3時間ほどゆっくり滞在してすっかりリフレッシュして帰ったけど、やっぱりリラクゼーションっていいよねという実感をしみじみと得た日となった。

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