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ダブルファンタジーと石岡瑛子展

2月11日の建国の日、そろそろ展示が終わることを聞きつけて、ダブルで2つの展示会に久しぶりに行ってきました。ひとつは、ジョン・レノン&オノ・ヨウコ によるダブルファンタジー展、もうひとつは、こないだお亡くなりになった、デザイナーの石岡瑛子の大回顧展でした。どちらも素晴らしかった!

ダブルファンタジー展

有名なベッドインを中心に、二人がどうやって出合い、引き合い、影響をしあったかが、一望できる展示内容でした。アーティスト同士が科学反応を起こすと、こうやって、新しい表現がうまれるんだってことがわかります。それは、最終的に有名な曲、イマジンへ繋がっていきます。

子供の頃、本気で第三次世界大戦が起こって、みんな死ぬんだと思っていたボクは、平和活動には敏感で、こないだの米国のイラク進行のときも、息子をつれてビートルでアメリカ大使館までいって、WORLD PEACE NOW 3.8のプラカードもって行進したボクにとって、この活動の原点をつくってくれたのは、ジョンでありヨーコだと思うので、すごく感激しました。

ミャンマーにみる貧困の再生産

折しもミャンマーでクーデーターが起こり、現地に駐在している友達から、日本で報道されているより状況が悪いこと、市民の側に国際社会が起つことの重要性と同様に、根にある貧困問題、特に教育が受けられないことによる貧困の再生産の問題をなんとかしないと、この国はだめになるという連絡をもらいました。この問題は、日本ですら、7人に1人の子供は貧困状態にあり、高校への進学はもとより、大学へはいけなく、貧困の再生産をする傾向があると指摘されているので、なにも発展途上国の問題じゃないかもしれません。

現在も続く戦争

世界では、2020年の段階で、次のような紛争が継続していると言われています。

- アフガニスタン紛争
- シリア内戦
- クルド人対トルコ政府
- リビア内戦
- イエメン内戦

多分、ジョンが生きてたら、平和のことはもちろん、貧困のこと、多様性のこと、環境のこととか、多分おおいに語ってたと思う。2030年までになんとか解決しないと、その後の人類の未来はない。人はパンのみにあらずなので、こういった問題に積極的にコミットしていきたいと思いました。

GIVE PEACE A CHANCE(平和を我らに)

最後に、GIVE PEACE A CHANCEのピンバッジを買って、次ぎの会場に向かいました。

ちなみに、イマジンの歌詞では、次のフレーズが好きです。

想像してごらん 国なんて無いんだと
そんなに難しくないでしょう?
殺す理由も死ぬ理由も無く
そして宗教も無い
さあ想像してごらん みんなが
ただ平和に生きているって...

石岡瑛子展

展示会のサブコピーは、「血が、汗が、涙がデザインできるか」

会場は、木場の東京都現代美術館、そんなに一般的に有名な人では無いはずなのに、会場は外まで入場者の列が並び、入場制限がかかるほど、東京中のデザイナーが来たのかと思ったぐらい。ボクはちょっとした特権で、ならばず、無料で会場にはいる。

デザインの3要素

会場にはいって、最初のリードコピーが書いてあった。全文ではなく抜き出し

- タイムレス
- オリジナリティ
- レボリューショナリー

デザインにはこの3要素が重要だということだ。
オリジナリティは常に意識してるけど、時代を超える、革新的である 必要があるのだ。

会場でくばられていたパンフレットには次の3つのキーワードで、会場は構成されているみたい

- TIMELESS(時代をデザインする)
- FEARLESS(出会いをデザインする)
- BORDERLESS(未知をデザインする)

最初のコピーと重複する言葉もあるけど、出会いや未知のデザインというところも重要だ。

ジャンルを乗り越える

もともと、資生堂のデザイナーとしてキャリアをスタートさせた彼女は、一般的にはグラフィックデザイナーとして知られている。パルコの一連の作品も有名だ。しかし、NYに全てをなげうって移住してからは、映画、衣装、舞台、MVといった、異なるジャンルのデザインも手がけるようになる。

一般企業がクライアント出合った時代から、アーティストがクライアントになる時代になっても、彼女はデザイナーであることは捨てなかった。けっしてアーティストにはならなかった。そこに彼女のこだわりがあったのだと思う。ただ、アーキテクト(建築家)には、特別な視点をもっているような言動だった。

そう、何チャラデザイナーっていうのは、そもそもおかしいのだ。石岡さんも毎回肩書きに悩んでいた時期があると言っていた。でも本来なら、デザイナーである。これだけで良いのだ。

ボクも建築や舞台などは興味があるし、商品開発や、デザイン思考やデザイン経営の知見を生かした企業経営への参画、NPO/NGOの立ち上げなどもすぐにでもやってみたい。これらすべてがジャストデザインだ。

もともとデザイナーは設計図しか作らなかった

展示を見て、懐かしかったのは、ラフデザインと、色校に対する指定稿。そもそも昔はデザイナーは、ラフデザインを作って、版下屋さんやフィニッシャーに渡し、製版を経てあがってきた色校に指示を書いて完成させていた。

これはグラフィックデザインではない、舞台や映像、衣装、建築といった世界では当然いまでもおこなわれているわけで、グラフィックデザインやウェブデザインにおいて、デジタルデザインの登場で、デザイナーがフィニッシュワークまで行うようになってしまい、結果、品質が極端に低下してしまった様に感じる。そろそろフィニッシュワークはAIがやる時代が来るので、AIにダメだしすることが人間の仕事になる。

設計図からできたデザインを、客観的に修正指示するのは品質をあげるためにとても重要だ。彼女の指定稿や色校への赤字は、自分がやってきた指示とくらべ、まっかかで、ここまで指示するのか!という彼女のこだわりが見て取れて、とても勉強になった。

若いデザイナーも、いったんMacの電源を落として、TooのPMパッドを買って、手書きでデザインをし、Macを使う部分は別のひとに任せてみて、客観的にデザインをすることを試してみたらいいと思う。

デザインとは問題解決なのか

問題解決としてのデザイン

ちょっと話ははずれるけど、デザインとは問題解決であるという話が大きくとりあげられたことがある。

一般的にはデザイン=外見的な美しさという認識が多いとおもうが、美しくするというのは一つの手法でしかなく、本質は、クライアントや社会の問題解決をするのがデザインということだ。

グラフィックデザインからキャリアをスタートさせた、石岡さんも、パルコや角川文庫などの抱える問題をグラフィックによって解決したのだと思う。なので、企業や団体に対してはデザインとは本質的に経営コンサルティングの要素を含むことになる。なのでデザイン思考やデザイン経営という言葉が取り出され、大手企業の役員にデザイナーが就任するようになっているわけだ。

価値創造としてのデザイン

問題解決のデザインは、クライアントワークのような受託デザインの世界では納得がいくものの、プロダクトデザインやファッションデザインといった、自らが商品企画をおこないデザインするものなので、問題があるとすれば、自己のなかにあり、むしろ価値創造としての側面が強調される。

石岡さんは、映画や舞台、ミュージシャンの衣装の依頼をうけてデザインしていたわけだけど、クライアントがいるわけだから、そのクライアントの問題解決という側面はあるのだど、クライアントがクリエイターやアーティストである場合、単に与えられた課題を解決するためだけではなく、クライアントとの科学反応で、新しい表現物が生まれることを望まれている訳で、そういう意味は価値創造の面のほうが強いわけだ。

この事は、別に特殊なケースではなく、企業とのコラボレーションでも起こりうる。たとえば、商業デザイナーの多くは、マーケティング活動にかかわっているわけだが、どんなクリエイティブをしたところで、商品そのものの品質がダメならば売れるわけがない。そのため、デザイナーは究極的にはマーケティングから商品開発に携わることになる。お客様の商品開発に深くかかわるか、自らが商品を開発し、ブランドを構築して販売していく。これはデザイナーのキャリアパスとしては、真っ当ただしい方向だと思う。

デザインやアートの誤解を解きたい

これまでの話を読んでもらうと、デザインやアートにおいて、美しさというのは結果でしかなく、目的ではないことがわかると思う。

アートは、むしろその性質上、政治的でもあり歴史批評的だ。だから常に社会に対してアンテナを張っている。

デザインは、問題解決であり、価値創造であるんだけど、結果としてアートになることがある。だから政治的にもなる。なので、社会問題を解決する商品を開発したり、NPOを始めたりする。

どこにも美しさと言う言葉はでてこない。美しさより分かりやすさのほうが大切だとおもう。とはいえ、専門的な言葉になるが、美的ユーザビリティ効果(美しいものは使いやすく、わかりやすい)という側面は確かにある。

だから、デザイナーやアーティストが、好きなことを勝手にやっている社会不適合者だというような誤解はくれぐれもしないで欲しい。

彼らは、モチベーションをガソリンとして活動している。褒めれば育つ子だ。その辺も理解してほしい。

本家
https://www.kigoulab.co.jp/
ぜっさんリニューアル予定(サービスごっそり変えます)

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