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卓上遊技再演演義 GFSセッション記録1998-2002 ②

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20年以上前に著者がサークルで遊んでいたTRPGのセッションのリプレイ小説シリーズです。 第6期「ヤン編」がこのほど同人誌として改定再版することになりましたので、記念にその前史に… もっと読む
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#異世界ファンタジー

シザリオン編第2部「呪縛の終焉」目次

序章 「な … まさか … あんなものが … 」 SECTION 1  魔道皇帝の帰還  1.「皇帝イサリオスは帰ってきた」  2.「時代が、代わった」  3.「知っていることを話してくれ」  4.「殺し合いは始まっていないのか?」  5.「来たか」  6.「そんなことだと思ったわ」  7.「 … 昆虫 … 」  8.「あの女官はカウンタースパイ?」  9.「お待ちしておりました。陛下」 SECTION 2  烈の犠牲  10.「皆様方を天空城にご案内するように」  11.「

35.「その手で、未来をひらけ … 」

 スカール … つまりジーク達とともにドクター・コーネリアスを追って階段を駆け登るクレイは、どういう訳か激しい動悸を覚えていた。タルト達が危ない … クレイですらこの大魔道士スカールがいっしょでなければ … あの奇妙な、そして恐るべき老人を相手にするのは難しいのである。  いや … それだけではなかった。クレイの … さっきの魔神との戦いで本当の意味で目覚めた野獣の直感が、もっと恐ろしい何かを告げていた。だから、今クレイはまるでたてがみが逆立つような、そんな異常な感覚をずっと

54.「俺さまか?俺さまの名前は」

「おい?大丈夫か?死んじまってるのか?」  タルトは頭痛がしていた。割れ鐘のように誰かの声が頭に響く。だれかが大声で彼のことを読んでいるのは判るのだが、それが今は頭痛になっているのである。  タルトはその声に聞き覚えがあった。そう … 聞き覚えはあるのだが、それが誰だか思い出せない。懐かしい … 何年も前に聞いた声である。若さと野生の不思議な力にあふれた … その声を聞いただけで元気が出てくるような、そんな魔力のこもった声だった。  困ったことに今のタルトはそういう元気な声

72.「お兄さん達ね … 私の敵というのは」

 タルトの意識の中に真っ白い光が広がった。激情が光となってタルトの意識を貫いたのであろう。もし傍らにリキュアがいなければタルトは立ちあがって彼女のところへかけていったに違いない。 (タルトっ!落ち着いてっ!)  リキュアの強力なテレパシーがタルトの脳に強烈なショックを与えたおかげで、タルトは何とか自制心を保つことができた。 「大丈夫だ、リキュア。飛び出したりはしないよ。」 「お願いよ。今あんたに飛び出されたら、うまく行くものも失敗しちゃうわ。」  リキュアはそう言って