AI時代のツインシグナル

ツインシグナル とは

『TWIN SIGNAL』(ツインシグナル)というマンガをご存じだろうか。
https://ja.wikipedia.org/wiki/TWIN_SIGNAL
『月刊少年ガンガン』、『月刊Gファンタジー』で1992年~2001年に連載された少年マンガである。
ざっくり紹介すると、人型ロボットの話である。

ロボットの話は数々あれど

ざっくり紹介しすぎたので、もう少し補足する。
『シグナル』は、様々な状態に変化できる特殊金属MIRA で作った、最新型人型ロボット。ロボット工学者の家の少年、音井信彦が、『シグナル』の稼働開始に立ち会うが、その時の事故などなどで、シグナルは信彦のくしゃみで小さくなる特性を備えてしまう。
先輩ロボットや音井家をはじめとする科学者たちとのドタバタな生活を、可愛い絵柄でギャグタッチに描く。

…とまあ、ここまでは、普通にある話である。
ロボット物は、少年マンガなどに数々ある。
何故、今回、どうしてもご紹介したいと思ったか。(もちろん、連載当時からすごく好きだった作品であるのは言うまでもないが)
それは、作中にたびたび出てくる、ある言葉の為である。
その言葉は、『ロボット心理学』。

リュケイオン編

私が一番好きなのは、『リュケイオン編』と呼ばれる、割と初めの頃の話である。しかし、おそらく『ツインシグナル』の根幹であるように思う。
海上都市リュケイオンと、市長に任命されたシグナルの先輩ロボット、カルマ。
そこで起きるある事件が、今回この記事でご紹介したい理由だ。
ネタばれになるので詳しくは書かないが、そこで起きる事件は、『ロボットが悩みを持つ』とは。
ということである。
人間のような思いを持つ、シグナルたちロボット。
製作者の一人である、優しいおばあちゃん、カシオペア博士は、『ロボット心理学』の権威である。
カシオペア博士たち人間や仲間のロボットたちによって、ロボットたちは癒されたり自分の道を見つけて行ったりする。

AI時代

よくある話と言えなくもないが、考えてほしい。
『ロボット心理学』なんて言葉を、他に聞くだろうか。
1992年~2001年といえば、Windows95が発表される(1995年)前の話である。パソコンといえば、一部の人がやっていた「パソコン通信」の時代なのだ。
AIは、現在、第3次AIブームと言われ、今まで出ては消え、出ては消えする存在だった。今のAIブームもいつまで続くか分からない。
一般に言われるように人間と同じように『思考するロボット』を作れるところまでは、実はまだ行っていない。
(注:ロボットは機体のことであり、AI,人工頭脳とは脳の部分で、ロボットと人工知能はイコールではない)
しかし、人間はアトムを作ることを諦めていないし、これからも諦めないだろう。
今までに比べて、ディープラーニングなどの技術が開発され、より人間に近い(まあ今までよりは)感じにはなってきた。

ロボット心理学

その時に、考えてほしい。
ひとことめに「ググれカス」(最近はもう言わないか)などという言葉を普通に使う人たちが、心を作るという事が、どういうことなのか。
人の気持ちを考えることが出来ない人が、人工の心を作るという事がどういうことなのか。(今人工知能に関わってる人がそうであるとは言ってません)
人間の子供であれば、自らの思考や経験や魂などで、自分で考え修正していく力があるが、人工物にそこまでの力があるとは私は現時点では思わない。
そして、人間にはわからない、人工物ならではの視点でものを考えることを、今そこにいる人の気持ちも推し量れない人に出来るだろうか。

まあそうはいっても

マンガとは娯楽である。
合う合わないは人それぞれで、しかも『ツインシグナル』はそれなりに長い。20年近く前のマンガなので、今と合わないところも多々あるだろう。
しかし、可愛らしい絵柄と軽いギャグテイストで、合うならば軽くそしてほっこりとなごんで読めるだろう。
そして、時折、考えてほしい。
これからシグナルたちのような人工知能(あえてそう書く)が作られたならば、どうなるんだろう、と。
これが描かれた時には現実味がなかったが、今なら現実的に考えられるだろう。

そんなことを知らなかった昔、楽しんで読んでいた自分から、
「面白いよ。読んでみて」

追記

先日、続編が始まったらしい。
まだ読んでいないが、どうなったのか、楽しみだ。
https://medibang.com/comics/official/0cbs340000005644100000000000a/


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