【オタクのガクリ Vol.0】連載を始めるにあたって

はじめに<この連載の目的>

ごあいさつ

こんにちは、蜷川です。

普段はシャニマスに関する音楽やコミュ(ストーリー)の記事を書いている社会人です。

音楽はこれまでの人生でいろいろな形・立場で関わってきました(演奏からコンサート運営、教育関連まで)。特に、演奏のときには偶然楽理科出身の先生に師事していていたり、大学からは科学の方面にも足を延ばしていたこともあって、音楽に対して「どうしてこうなるの?」ということをよく考えています。

で、さっきも出てきてタイトルにもある「楽理」ってなんなんすかって話かと思いますが、簡単に言えば音楽の理論です。ざ~っくり言っちゃえば、

  1. こういう理屈で、

  2. こう聴こえて、

  3. こんな印象を与える。

という音楽の仕組みを考える分野です。

……という感じなのですが、この連載では音大で学ぶようなめっちゃ専門的な知識をつらつらと書くわけではありません。なんせ私自身音大に進んでいるわけでもないので。(そういった意味での無責任さはあるので、最後は読んでいる方も自分で調べてくださいね……!)

「解像度」のためのヒントのために

この連載で大切にしたいこととしては、

普段聴いている曲を良いなと思うのって、
こういう背景があったからなんだ!

という経験をするためのヒントの種まきをしたいと願っています。

少し話と時間を移して、10年前のオタクたちにどれぐらい競馬について知っているか、というアンケートを取ったとしましょう。

と書くだけでわかる方も多いと思いますが、大事なのは具体的な結果の数値ではなく、「ウマ娘」によって競馬を楽しめる人が確実に増えた、ということです。

10年前なら、なんか日曜とかの昼間にテレビでやっていて、馬が走っている、ぐらいの認識のオタクが多数を占めていたと思います。しかし今はどうでしょうか。

血統にも詳しければパドックもちゃんと見るし、「ウオッカとダイワスカーレットが~~~」と歴史や「物語」について語りだすオタクもいるでしょう。

「テレビでやってて自分たちとは違うおっさんたちが好きなもの」だった競馬が今現在の盛り上がりとなったのは、ウマ娘プロジェクトの間違いない貢献があり、それはオタクたちがウマ娘を通して競馬に関する知識を身に着けたためです。

オタクの言葉でいえば、「解像度が上がった」ことによって楽しめる人が増えた、というスキームになります。

さて、それでは対して音楽はどうでしょうか。

音楽は当時の競馬と比べても当たり前のように存在します。オタクをやっていれば、例えばアニメでは主題歌劇伴(最近キャラソン文化が衰退してきてちょっと寂しいですね)、ゲームでもBGMやアイドルコンテンツだったら歌唱曲など、膨大な量の音楽にそこかしこで出会えます。

出会う機会はある一方で、音楽に対する「解像度」はどれぐらいになっていますか?

幸い、日本では音楽が義務教育課程に盛り込まれていることもあり、クラシックから現代邦楽、学齢が上がれば世界の民族音楽のさわりまで様々な音楽に触れる機会のベースラインが定められています。

……が、正直音楽の授業、どれぐらい覚えているでしょうか?

学校教育での音楽が無意味だ!ということを言いたいのではありません。あたりまえのように存在する音楽をあたりまえのように触れる機会を作る。それはすごく貴重なことです。

学校教育での音楽は小難しい知識は置いておいて、とにかく音楽を楽しむための最低限の体験を積み重ねるに重点を置いているように思います。バッハやモーツァルトとか、まあ名前ぐらいは知っておくかぐらいの教養程度で知識面を抑えて、いろいろな曲を聴いたり合唱や鍵盤ハーモニカ、リコーダーの演奏をしたりして、とにかく体験する。

体験を積み重ねることは音楽を楽しむ上でもっとも重要な経験値です。この連載でも体験を重視していこうと考えています。ただしかし、いたずらに同じような体験をするのではなく、

あのとき体験していたってこういうことだったんだ

という気づきの元で、知識により上がった解像度による「追体験」がいろいろな側面からお届けできたら、と考えいますよ~~という宣言でちょっと長めの序文をしめます。(長くてすみません)

「音楽の三要素」でのリズムの立場

さて、この記事から 3 回を使って、リズムについての解像度を上げていこうと思います。

音楽の三要素は

  • メロディー

  • リズム

  • ハーモニー

です。メロディーとリズムは思い描いているものそのままで、ハーモニーについては和声、つまり異なる音の高さの組み合わせのことです。ドミソみたいなやつですね。

この三要素の関係について、もちろんそれぞれの要素が互いに関連しあっているのですが、雑~なイメージ観として次のような図を思い描いてもらうとそれぞれの大まかな守備範囲がわかるかと思います。

ざっくりのイメージです。

音の長さ音の高さのグラデーションの中で、よりその要素の濃さが左からリズム・メロディー・ハーモニーの順で並んでいると考えることができるかも、という図です。

手を叩くだけでもできるリズムは音の長さ側の話で、ハーモニーを考える場合には音を延ばしっぱなしで音の高さだけに注目しても大丈夫。メロディーは音の長さと高さで複合的に作られている、というのも何か適当な曲のフレーズを思い浮かべるだけで実感してもらえるでしょう。

もちろんこの見方は一つの解釈であることと、さらに、三要素それぞれがこの軸で完全に分解できるわけではなく、例えばリズムとメロディーが双方的に絡む境界領域についてもしっかり考えなければいけないことにも注意が必要です(実際、今回最後の方でリズムとメロディーの絡み合いの話をします)。

が、いきなり複数のことを考えなければいけないところの深堀は置いておいて、これからの数回はリズム、その次にハーモニー、最後にメロディーについてオトクな知識と再発見をしていけたら、と内容を練っています。

次回予告

ちょっと前置きが長くなってしまったので、いったんこの記事をノーカンとしてリズムについて 3 回、毎月末の日曜目安で投稿を予定しています。

2024 年 1 月分のリズムシリーズ初回は、学校でも習った音の長さの復習よくあるリズムが与える印象を見てみようと思います。

たくさんの曲に触れながらお話を進める予定ですが、現在確定で登場予定の 2 曲を先出ししておきます。

シャイノグラフィ/シャイニーカラーズ

いぬのおまわりさん

失踪していそうだったら引きずり出してください。

それでは~。

🐚

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