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F1 2022 レビュー 第6戦スペインGP~ヨーロッパラウンド開幕!チーム力が勝ったレッドブル

2022/5/20〜22に開催された、F1スペインGP。
相変わらず予選では一発の速さが目立つフェラーリ。
序盤は苦しんだものの、レッドブルもレースでは強い。

舞台はいよいよヨーロッパへ。
予選から波乱の連続だったスペインGPを振り返ります。

ヨーロッパラウンド開幕

中東から始まり、オセアニア、アメリカと回って、グランプリはいよいよヨーロッパへ。

元々ヨーロッパを中心に始まったF1。
これから夏、秋に向けてヨーロッパの国々を中心に回ることになるため、「ヨーロッパラウンド開幕」と言われたりします。
正に「第2の開幕戦」。
このタイミングで、多くのチームが大幅にアップデートを投入してきました。
空力を中心に、パフォーマンスアップのための新たなパーツを投入してきたのです。

このタイミングでアップデートしてくるのは、スペインGPの舞台が春のプレシーズンテストで走っているカタルーニャサーキットであることが大きいと思います。
フライアウェイ戦で得たデータを元に開発したパーツを、春のテストと同じサーキットで試し、データと比べることができることが大きいのです。

どうやらアップデートが成功したのはメルセデス。
あんなにストレートでポンポン跳ねていたのが嘘のように、オンボードカメラで見ても大きなバウンシングは見受けられません。
プラクティスのタイムも上々。ゼロサイドポットの形状はそのままなのに、マシンが跳ねない。
どのような改善を施したのかが気になりますが、さすが最強を誇るチーム。
まだ優勝を狙える位置ではないようですが、着実にトップ争いに返り咲く準備は整っているようです。

フェルスタッペンが抱える問題

予選は今までと同じく、フェラーリvsレッドブルの構図は変わらず。
Q3最初のアタックでミスをしたルクレールだったが、2回目のアタックで見事なタイムを記録。
地元の大歓声をバックに奮闘するサインツを寄せ付けず、トップに躍り出た。
気になるのは、その後にアタックラップに入ったフェルスタッペン。しかし…。

無線で「ノーパワー!」と訴え、アタックをやめてしまう。
これでポールポジションはルクレール。
フェルスタッペンは1回目のアタックで好タイムを出していたため、辛くもフロントロウでのスタートとなった。

どうやら、フェルスタッペンのマシンはDRSがうまく機能しなかった模様。
予選でもDRSゾーン内であればDRSが使えるので、1000分の1秒を争う予選でDRSが使えないという事は、タイム更新は不可能。致命的なトラブル。
予選終了後から決勝までの限られた時間の中、どれだけマシンを修復できるか?

波乱のスタート

日付変わって決勝の日。
コンディションは青天のドライ。しかし気温が高く、路面温度も50度ほど。
タイヤはほとんどがミディアムだろうと予想したが、なんと大半がソフト。
ここから一体どんな戦略をとってくるのか?

スタートはルクレールがうまくスタートを決めてトップ。続いてフェルスタッペン。
サインツはスタートを大失敗して後方に沈む。

オープニングラップから波乱。
ハミルトンとマグヌッセンが接触し、2台とも最後尾に。
ピットインしてタイヤ交換。マシンに大きなダメージはないようだが、かなり後方から追い上げることになってしまった。
ハミルトンも「僕ならエンジンを温存するね」とリタイヤを示唆するやや諦めモード。
しかし、ここでリタイヤしていたらきっと後悔していたに違いない。

波乱は続く。
7週目、サインツが単独スピンしてコースアウト。
深いグラベルにつかまり万事休すか?と思いきや何とか脱出。
しかしかなり遅れを取る格好に。
その2周後、ルクレールを追っていたフェルスタッペンも同じところでコースオフ。
どうやら、2台とも風の影響を受けてしまったようだ。

フェルスタッペンを悩ませるDRSのトラブル

フェルスタッペンは前を走るペレスを抜き、2位のラッセルに照準を合わせる。
しかし、ピットから「DRSがうまく作動していない」との無線が。

レースペースはラッセルよりもフェルスタッペンの方が上。
最終ターンで追いつき、DRSを作動させようとするが一向に開く様子がない。
やはり前日から続くトラブルは解決していないようだ。
おかげでラッセルを抜きあぐねてしまい、フラストレーションが溜まる状況に。

24周目。ようやく作動したDRSのおかげでホームストレートでようやくラッセルを捉えるも、すぐに切り返される。
DRSは開いたり、開かなかったり。レースが終わるまでこの展開が続くのか?と思ってしまったが、さすがにそこは作戦を切り替える。

28周目。ルクレールの一人旅と思いきや、突然のトラブルが襲い掛かる。
急にマシンがスローダウンし、そのままピットに入ってリタイヤ。
最近のF1ではなかなか見られない光景だが、チャンピオンシップ争いの中、痛いノーポイントとなってしまった。

チーム戦略で勝利をたぐり寄せたレッドブル

29周目にフェルスタッペンが2度目のピットイン。
ミディアムからソフトへ。
ここから周りのマシンよりもグリップに勝る状態でプッシュし続け、ペレス、ラッセルに対しアドバンテージを取りにいく。

周りよりも速いペースでボッタスを抜き3位へ。
トップ争いは、DRSを使えるペレスがラッセルを料理したところ。
そこへソフトタイヤのアドバンテージを使い、ラッセルに襲い掛かるフェルスタッペン。
たまらずラッセルはピットに入り、タイヤを交換。
これでレッドブルの1-2体制を築くことができた。

38周目。ペレスの方が先にタイヤを交換。
その後44周目にミディアムに交換したフェルスタッペン。
フレッシュタイヤでペースに勝る。
ピットからもペレスに「マックスの方がペースが速かったら、譲るように」との指示。しぶしぶトップを譲るペレス。
チャンピオンシップを争うルクレールがリタイヤしてノーポイントになっているのだから、ここはペレスに勝たせるか、レースができる環境を作ってやってもいいような気もするが、フェルスタッペンのドライバーズポイント逆転がかかっている。

終盤、ハミルトンがミディアムに替え、ペースがいい。ファステストラップを連発。
ボッタス、サインツを次々抜いて4位へ。
チームから励まされ、最後まで走った結果ここまで順位を上げた。

ラッセル、ペレスもファステストラップを狙ってソフトへ。
フェルスタッペンの至上命題はあくまで勝利。ここはポジションキープ。

3台でのファステストラップ争いになったが、結局軍配はペレス。
フェルスタッぺンはトップを快走。盤石のレッドブル。

しかし、メルセデス2台にトラブル発生の兆候。無線で「リフト&コーストでしのげ」との指示。

リフト&コーストとは、コーナー進入時などでクラッチを切り、惰性走行をすること。エンジンを温存できると同時に、燃料をセーブできる。
どうやら、メルセデスの2台には水漏れの問題が発生した模様。このままプッシュし続けると、エンジンがオーバーヒートして壊れてしまう可能性がある。
最終盤でせっかく抜いたサインツに抜き返されるハミルトン。

レースはこのままフェルスタッペンが勝利。
ドライバーズタイトル争いも見事逆転。
2位はペレス。レッドブルの1-2フィニッシュとなった。

3位はラッセル。メルセデス勢が久々のポディウム。
ハミルトンは一歩及ばず4位。
ようやくここまで追いついてきたメルセデスだが、今後怖い存在となる可能性は高い。

対してフェラーリは苦しい展開となった。
トラブルさえなければ確実にルクレールのレースだった。
サインツも序盤に単独スピンをしてしまったが、その後もトップ争いに絡むことはなかった。
予選での一発の速さはあるものの、レースで苦戦するフェラーリ。
開発の手を止めずプッシュしないと、レッドブルの一人相撲になってしまう。

レッドブルvsメルセデスの争いを久しぶりに見ることができたレースだったが、その中でボッタスが着実な走りで上位フィニッシュしていたのが印象的。
主にハミルトンやサインツとの争いだったと思うが、無理にプッシュせず、地味だが着実な走りで6位フィニッシュ。周はリタイヤしてしまったが、アルファロメオやハースのフェラーリPU勢が好調をキープしている。

角田も10位フィニッシュし、着実にポイント獲得。
アルファタウリはレースペースが上がらず、だいぶ苦しんでいる。
前戦のマイアミと比べて角田は堅実な走りができたが、ガスリーはずっと下位を走る羽目になってしまった。
大きなアップデートも投入しなかったようなので、今後の改善に期待したいところだ。

グランプリは2週連続開催。
次は伝統のモナコGP。モンテカルロの市街地を舞台に、新たなマシンがどのようなレースを見せてくれるのか?

タイトル画像はF1公式サイトの記事より使用させていただきました。
「フェルスタッペン、ラッセルとの "クールな戦い "を楽しんだと語り、DRS問題にも言及」というタイトル。記事はまだ詳しく読んでいませんが、フェルスタッペンのインタビュー記事のようです。
メルセデスの復調と、フェルスタッぺンに巻き起こった問題と熱いバトルを象徴する1枚として選びました。

モナコといえばこんな話題も。
ルクレールの母国モナコ。伝統のモンテカルロ市街地コースで、ヒストリックカーのデモランが行われた際の出来事。
1974年のフェラーリのマシン「312B3」をデモラン中、ラスカスコーナーでクラッシュ。リアウィングを破損してしまいました。
保存車両なのに、壊しちゃダメでしょ…と思いきや、急にブレーキが効かなくなったとのこと。
ルクレールはモナコとの相性が悪く、デモラン中でも災いが起きてしまう運のなさ…。
今週末のグランプリでは、そんなジンクスを打ち破ってほしいですね。

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