見出し画像

Day28,「Floated through」Inktober2020

 自分で言うのはなんだかなぁ、と思うし、かっこつける気もなく、むしろ自虐に近いが、僕は随分、世間から浮いてしまっている所がある。気に入っている節も、気に入らなくて本当に嫌な事もある。浮いているせいで、心底楽しめない事が多いし、属した場所に上手く馴染めなかったりする。人との関わり方も下手くそで、多分人との縁では損をしている機会も多いのだろう。
人は多かれ少なかれ誰しも同じではないから、こんな悩みなんてもう、誰もが持っているのだろうが、特にそれを感じるきっかけも多くなり、傷付いたり反省したり、反骨したり、あくせくしっぱなしだ。浮いていると、吹かれる機会が少なくなるのかと思えばそうではなく、むしろ根無草な心は、あっちの風、こっちの風に押されたり戻されたりで、少なくとも飄々とした孤高には程遠い。

 それでも、変わり者でよかった、と思える事もちょびっとはある。認識してもらいやすくなり、覚えてもらいやすかったり、相手の中で勝手に、僕のイメージが増長して、あまり支障のない範囲で人間性を育ててもらえたりする。"出来そうな事"を勝手に考えてくれるのはありがたい。期待にも近いそれを、やれる様になってあげるだけで、株を上げるきっかけになったりする。
実は浅い底を見せない様にするだけで、頑張り次第で相手の中で、超人の様な人間を作ってくれる。諸刃の剣だが、現状は預かる恩恵も少なくないから、程よく付き合っている。一度も着たことのない豹柄を、着ている人、と言われた時は、流石に全否定したが…

 でも最近は、自分の想像通りの振り幅に、悩む事もある。変わったことをやっていても、相手の想像の振り幅から抜け出せず、想像通りのつまらない奴、と思われたらどうしようと怖くなる。浮いた自分の浮き具合まで見透かされている様な気がして、焦るのだ。
そんなのもうどうしようもないが、僕は本当は、浮いていたのではなく、ただただ普通の、当たり前のどこにでもいる人間の一人だったのでは、と思う。それならそれで良いはずなのに、諦めが付かずに悩むのは、結局まだ、自分自身で自信が持てていないからだろう。

 これからも多分、こんな悩みが取り留めもなく溢れて、その度に頭を抱えたり、悔しがったり、比べたりするんだろう。あっちに行ったりこっちに行ったり、とよたよたして、いつまで経っても根無草なんだろう。それでも少しは、浮いた自分を好きになれているし、そのままでもなんとか、やっていけると感じている。それだけで、これからも毎日、風任せに生きていける勇気が持てる。

FLOAT


1 〈物が〉(水面に)浮く
2 〈風船などが〉(空中に)浮かぶ
3 〈人が〉(浮くように)軽やかに動く
4 〈考え・表情が〉浮かんで現れる
5 〈言葉・うわさなどが〉浮いて広がる
◆物が「水面に浮く」から「空中に浮かぶ」へ,さらに動きを伴うと「ふわふわと漂う」へと意味が広がる.

#Inktober2020 #inktober #day28 #float #illustration #イラスト #万年筆

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?