sig.miyauchi

汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。或夜半、何か訳の分らぬことを叫びつつ、闇の中へ駈…

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汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。或夜半、何か訳の分らぬことを叫びつつ、闇の中へ駈出した。彼は二度と戻って来なかった。

マガジン

  • ことばにできない「エッセイ集」

    ことばにできない。 出せない手紙の束のようなものです。

  • いんきのにじみ「画帳」

    インキの滲み。 拙い絵です。

  • みちをあるく「旅行記」

    みちをあるく。 旅をしたい方へ、自分の足で歩きたい方へ。

  • こんやあなたと「対話」

    今夜貴方と話そう。 読み返してまた笑い、怒り、泣ける様に。

  • からっぽけっと「雑記」

    ポケットの中は空っぽ。 読み飛ばして頂くための雑記。

最近の記事

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私について私が語る時、私ができること

 noteに書き始めて、およそ一週間が経ちました。PV数が、全部集めて600程度になりました。多分自分で50回ずつくらい見てるので、本来のPV数は100くらいかもしれません。それでも、10人ずつくらいの人が読んでくれていると思うと、有り難くって飛び上がりそうです。 毎日、ぼんやりと今日は何を書こうか、、と考えている自分がいます。出来ればたくさんの人に読んでもらいたい。心を傾けてくれる人に届けたい。私の話は大抵、書き上げて読んでみると、やめたくなるほど重たいものが多く、皆さんは

    • 塵芥記

      転職が決まり、社内での引き留めの呑みも終わってしばらくすると、送別会とも言わない純然たるただの呑みが、続くようになった。 上司が毎晩、顔は知っているが話したことはない社員を引き合わせてくれる。疲れていたり嫌だったりという理由では、極力人の誘いを断らないように決めているが、こうも連夜続くとさすがに、素面の体臭すら酒精を感じる気がし始める。それでも、毎夜赤坂見附の改札で上司の背中を見送り、それからゆっくり永田町まで歩く時間は、新卒からじっくりと育てた営業職の自分を見つめる「儀式」

      • 「私にしか見られない夢の話」 夏の始めの新年報

         29から30になる誕生日の晩、ステーキを焼いた。 少し前に、1200円のステーキ肉が半額で600円になっていたのを、咄嗟に買ってしまったものだ。まさかステーキとかけて、素敵な一年になるように買い込んだわけではなかったが、そんな事を考えるくらい私は「おじさん」になりつつある。笑えないと知りながら、口に出すのを止められないのは、老化による脳のストッパーの欠如のためらしい。駄洒落くらいなら可愛げがあるが、品だけは失いたくない。 加齢に関わる事で言えば、早かった時間の流れが更に早

        • 「生死の彼岸 : 祖母はまだ、私を見ているようだった」

          2021年夏祖母の危篤の報を受けた。入退院する様子を、そしてゆっくりと意識の無くなっていく様子を代わる代わる見舞いに行く兄弟から聞きながら、それでも生前の挨拶を諦める事に決めたのは、私が祖母のことを、あまりよく知らなかったからだろう。 生死の彼岸:祖母はまだ、私を見ているようだった みちこさん。伊予ばあちゃん。卒寿をとうに越え、白寿も見える祖母は、2022年眠ったまま年を取る。2021年の夏、父からの着電は確か、仕事帰りの夜道だった。ついに意識がなくなった彼女を病院に

        • 固定された記事

        私について私が語る時、私ができること

        マガジン

        • ことばにできない「エッセイ集」
          19本
        • いんきのにじみ「画帳」
          33本
        • みちをあるく「旅行記」
          20本
        • こんやあなたと「対話」
          4本
        • からっぽけっと「雑記」
          37本
        • すさびくちずさみ「詩集」
          2本

        記事

          Inktober2021 day11-20

          急に寒くなった。吐く息にまだ白さはないが、ここ数日雨が続いたこともあり、帰りの夜道では指先にかじかむ痛みを感じる。また一つ年が終わるのだ、いつのまにか。 一昨年から #インクトーバー に参加して、3年続けて十月の間毎日絵を描いている。ほんとを言えばもちろん、毎日絵を描くのは難しいから、出来るだけ書き溜めを作って十月を迎えるが、それも中盤に差し掛かると無くなって、日々明日のための絵を描くことになる。 帰宅して、鞄を下ろし、スーツを脱いでお気に入りの音楽を流しながら画帳に向かう

          Inktober2021 day11-20

          Inktober2021 day1-10

          今年もインクトーバーをやっている。ただし、去年は文章も毎日書いていたから、ちょっと今年の方が手抜きだ。 思えば去年は、すさまじいバイタリティだった。noteを始めて、すぐだったということも関係しているのだろうか、2020年の10月は、毎日一時くらいまで起きて、明日の投稿のために絵を描き、仕事の行きと帰りの電車の中では、スマホの画面を見つめて文章を書いた。 認められたかったんだよな、私は。認められたかった、褒められたかった、見直されたかった。価値を認めて欲しいと、ずーっと思い

          Inktober2021 day1-10

          伊豆大島「文月は雨雲の中」

          昨年の盆、瀬戸内海の小島、小豆島を訪れた。極めて無計画で発作的な旅だったが、未だにあの夏、足の裏を焼いたアスファルトや、じっとりとした静かな夜の海の匂いが心に染み付いて、旅に出ろ、今すぐ出ろ、と囁く。あの旅を終えて以降、声に耳を貸すといつのまにか、手の中に船や鉄道の切符が握りしめられていることが増えた。 私にとって旅の悪魔は、小さな島の砂浜を、独り歩く姿で現れる。彼はしばらく歩いて立ち止まり、サンダルの鼻緒に挟まった砂を、白く泡立つ波で洗いながらゆっくり振り向く。あれは、日に

          伊豆大島「文月は雨雲の中」

          「今夜貴方と話そう」Vol.4

          文章なんて、書けば書くほど嘘をはらむし、揉めばもむほど時が過ぎる。新鮮な時だけを、切り取りたかった。見返せば余りにも陳腐で不潔でも、今夜、貴方と話そう。 2021年6月8日 ●エアコン屋:青山一丁目勤務。4月に異動した。デキ婚で家も買った。 ●広告屋:銀座七丁目勤務。年初に転職した。去年別れて引っ越した。 広告屋:よ~、どこおんの? エアコン屋:新宿で迷ってる笑 広告屋:え?東口おんのやろ? エアコン屋:うんそう。どこかな…あ、吉本の… 広告屋:吉本。全然わからん エア

          「今夜貴方と話そう」Vol.4

          「今夜貴方と話そう」Vol.3

          文章なんて、書けば書くほど嘘をはらむし、揉めばもむほど時が過ぎる。新鮮な時だけを、切り取りたかった。見返せば余りにも陳腐で不潔でも、今夜、貴方と話そう。 2021年5月3日 ●スワニー:32の年。レントン、Sボーイの中学一年生の時の親の様な存在。生計は不安定だが夢を追っている。レモンハイが好き。 ●レントン:27の年。在学時、後輩との接触を避けていた。Sボーイ曰く一番やな先輩。生計は安定志向。レモンハイも好き。 ●シック・ボーイ:27の年。スワニーと同じように、高三時親

          「今夜貴方と話そう」Vol.3

          秩父「春を追う 夏は迫っている」

           2021年のゴールデンウィーク、始まりから呑んでばかりいた。切れ目なく古い友人と会う機会があり、人熱に浮かされた夜が続いた。人と酒を交わすのは嫌いではないが、ふっと終バスを待つ街灯に、堪え切れない寂しさを感じることがある。 後半はぶらりと外に出ると決めていた。冬の終わりと春の陽気と夏の匂いが入り混じった土の匂いはどんなだろうか。 私の住む西武池袋線は、良い路線だ。海は遠いが、毎日揺られる路線の終点に広がる森を想像すると、満員電車の中でもゆっくりとした呼吸が戻る。秩父はもう何

          秩父「春を追う 夏は迫っている」

          「今夜貴方と話そう」Vol.2

          文章なんて、書けば書くほど嘘をはらむし、揉めばもむほど時が過ぎる。新鮮な時だけを、切り取りたかった。見返せば余りにも陳腐で不潔でも、今夜、貴方と話そう。 2021年5月1日-2日 ●鳩: コンサル会社勤務。キンコン西野に顔が似ているが、言われると"やめろ!"と叫ぶ。最近引っ越して、弟を含めた友人達とルームシェアをしている。 ▲烏賊: 地方勤務だったが、最近東京に帰って来た。鳩と同級生。会社から徒歩10分の借家に住んでいる。家賃9万の家だが、家賃補助が出て2万くらい。 ◆狐:

          「今夜貴方と話そう」Vol.2

          不意に来て急にいなくなった

           昨夜は蒸す様に暑かった。今日ももう街は、コートを着ている人の方が珍しい。冬物のダブルジャケットは、歩き出すとじき鬱陶しい暖気が溜まり、前ボタンを外さなくてはならなくなった。長めのすそが、風になびく。季節の変わり目はいつも、不意に来て急にいなくなる。 先日、表に通じる軒の窓を開け、ぼんやりと外を眺めていると、一羽のモンシロチョウが家に入った。見ていると、そのまま部屋をふわふわと飛び回り、そしていつのまにかいなくなっていた。不意に来て、急にいなくなるのだ。そういうものは考えてみ

          不意に来て急にいなくなった

          「今夜貴方と話そう」Vol.1

          文章なんて、書けば書くほど嘘をはらむし、揉めばもむほど時が過ぎる。新鮮な時だけを、切り取りたかった。見返せば余りにも陳腐で不潔でも、今夜、貴方と話そう。 2021年4月3日-4日 ●お湯: 典型的な末っ子だと思われているが、最近は典型的な末っ子とはもっと、傍若無人なものだと思うらしい。 ▲塩胡椒: 大事な試験に落ち続けている。多分今年受かるかも知れない。彼女が欲しいが、無職なのでビビっている。 ◆味噌: 目付きが悪い。豹柄の服を着ているイメージとよく言われるが、着たことも持

          「今夜貴方と話そう」Vol.1

          引越しの記録

          【20210228】  やっと荷物が運び込めた。 新居で便所に行きたくて、既に契約は済ませているから元栓を探しに外を回るが、一向に見つからない。仕方がないので夜中に水道屋を呼んだが、それでも見つからない。水道屋の親父達も、こんな事は初めてです、と疲れ果てている。仕方がないので帰らせて、銭湯に行く。 【20210302】 この家では、出来るだけ空間を広々使いたいと思い、居間にクローゼットを作るのはやめて、ベッドルームに作ることにする。 旧宅でウッドデッキに使ったパーツがその

          引越しの記録

          引っ越しはリヤカーで

           2021年2月の末の土日は、運良く晴れた。五度目の引っ越しは、終わった後考えれば運の良い事づくめの、暗雲立ち込める嵐のようだった。 27日11時、Aさんとレンタカー屋の最寄駅で待ち合わす。お互い早めに着きすぎてしまった。昼飯に中華を選ぶと、いつものようにレバニラがこんもり出てくる。良い店だ。Aさんは、私が新卒入社した会社に半年ほど遅れて入って来た中途社員だ。我々のLINEにはお下劣な単語しか並ばない。彼を尊敬しつつ、心配もしている。  喫茶店で余った時間を潰し、二人でだ

          引っ越しはリヤカーで

          Day31,「Crawling along」Inktober2020

           日々はゆっくりと過ぎる。這い回る蛇の様にいつのまにか、一日、一日と終わっていく。気付けば、ひと月など早いものだ。一日ずつ、雪山に蹴り込むアイゼンの様に楔を打ち込まなければ、ぬめりきった時間は逃げてしまう。Inktoberは私にとって、2020年の十月を繋ぎ止める、釘や楔の一本ずつの様だった。 …  特別になりたい、何か誇れるものを、認められるものを、誰かをあっと驚かせられるものを。何か、何か、何か。人生は、そんな探求なのか、懇願なのか、諦観なのか、叫びみたいなものの連続

          Day31,「Crawling along」Inktober2020