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「雨と珈琲の国」

玉造温泉駅から特急やくもに乗り込んで松江へ。
前日考えてた予定では松江駅から堀川巡りで船に乗って松江城行って…という感じだったけど朝からの雨は止む気配なし。旅の相棒に聞いても「マツエハアメデス」としか言わない。

空を見上げると頼んでもないのに次から次へと降り落ちてくる雨粒。それらの一部はダムに貯められ、一部は大地に染み込む。そして幾重もの地層を通過し地下深くに湛えられ、長い時間を経て再び地上に顔を出し、僕らの手元に飲料水として還ってくる。この日僕が飲んだ数杯の珈琲もいつか雨粒となって別のどこかの誰かを濡らすことになるのかもしれないし、僕を濡らした雨粒は過去の誰かが飲んだ珈琲だったのかもしれない。そんな風に考えると雨も悪くないななんて思え…ない!

「雨のバカ!もう知らない!」という気持ちで堀川巡りは諦めて別の計画を考えようと入った「喫茶室ツバメ」。暖かい店内で温かい珈琲を飲み、雨で冷えた体を暖めると一気に眠気が来たので、セットの冷たいオヤツ(ツバメの形のクッキーが乗った可愛くて美味しい小さなパフェ)で再び冷やす。醒めた頭で相棒と一緒にインターネットの海の中から探し出し、急遽決めた新目的地の話は次回するとして、この日は良く珈琲を飲んだ一日だった。夕方に訪れた松江城内の興雲閣という洋館の中にある「亀田山喫茶室」。ここもケーキが美味しくて綺麗な店員さんがいる雰囲気の良い喫茶室だった。
ロードムービーならここでちょっとした恋が始まったりするのだろうけど、人生は映画みたいにいかない。そう言うと相棒が棒読みでこう言った。「スミマセン、キキトレマセンデシタ」

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