2021年冬アニメを(前)

 今期も見た。百合アニメを見る集まりだったはずなのに今期はあんまり百合っぽい話が無かったのでとりあえず面白いアニメをピックアップしたらめちゃくちゃ多くなってしまい、毎週8話くらい見るようなハードスケジュールを余儀なくされた。
 なんというか、イマイチ褒めきれない作品が多いクールだったと言うか。変な意味では実況向け作品が多いというクールだったという印象だった。
 今回は10本くらいなので、各作品の感想はなぐり書きベースになる。本当にすまん。
 あと諸事情で2回に分けます。だるいので……

WIXOSS DIVA(A)LIVE

 終始作画ヤバかったね。一度しか無いライブシーンがあの出来って!

 これまでの暗く湿っぽい雰囲気を払拭してアイドルものに寄せた結果、カードゲームアニメとしてもアイドルものとしてもヒューマンドラマとしてもかなり中途半端な出来だったのは否めない、いやどれもぶっちゃけ落第点くらいだが……。
 A~Dクラスに分かれている中で主人公たちがずっとCにいて、ライバルとして出てくるのがかなり格上のAランクのユニットというところがよくわかんなかった。Bクラスをなんですっ飛ばしたん?
 夢限少女の目的、そしてマスターピースがなんなのか、そんな伏線を残して終わったので二期をやろうと思えばやれそうだけど、本当にやれんのか?
 あとマスターピースとして使ったヘブンズ・ドアー、200円で売ってました。川に投げ捨てたアークゲインは3500円するのにね……。

 とりあえずアニメ見てウィクロスを始めようor復帰しようという人が多いかと言われると多分いないと思う。
 いやおれらはディーセレ始めたしなんだかんだアニメも毎週楽しんだが、それは妙な文脈ありきだったしなあ。

 総評すると、予算が無いとアニメはいい出来にならないという事実を再確認させられてしまった。流石にエクスアームよりはマシだったかもだが。
 雰囲気は嫌いじゃなかったよ、雰囲気は。

装甲娘戦機

 原作がやっていたもの、制作陣が作っていたもの、視聴者が求めていたものが全てミスマッチして出来た本当に変なアニメだった。
「シビアな世界観でのミリタリーテイストなロボ娘モノ」の見た目で「少女5人のご当地ロードムービー」をかましてきたが、視聴者が求めていたものは「SFヒロイックアクション」だったので、凄い面食らったというか。
正直前半6話まであまり作品を飲み込めきれなかったというところがある。

 作画は悪くない、いやむしろ良いというレベルだし、3Dでそこそこダイナミックに動く戦闘シーンはそれなりに迫力がある……
のだが、世界観のシビアさに対して弛緩した雰囲気が多く、緊張感のバランスがかなり妙で、見ていて不安になる類の脚本だった。

 というか、作品内でロードムービーをやりたかったのかヒロイックファンタジーをやりたかったのか、ポストアポカリプスものをやりたかったのか日常系をやりたかったのか。
 何もかもがメチャクチャなバランスで積み上がっていた結果、「何を見ているのか途中からよくわからなくなる」12話だった。

 演出や世界観は嫌いではなかったけど、キャラクターの掘り下げが後半に偏りすぎてて最初はぶっちゃけ退屈で、3話のモブメガネやオタクロスが盛り上げてくれなかったらぶっちゃけ切っていたと思う。
 ポンコツ5人組の人となりが見えてきた後半はそれなりに面白かったけど、その頃にはなんだかこのアニメの妙なバランス感覚には慣れてしまい、少し無味無臭には感じた。

 総評すると、作品としては嫌いじゃないけど、面白いと胸を張って言える作品ではないかなー……。
 1クール追った体験としての面白さはあったけど、「変なアニメなのに見た目は優等生なのでパンチはない」という。
 人に勧めづらいし、かといって再視聴するような機運も生じなさそうだし。なんか可哀想な作品だ。生まれた経緯も含めて……。

FireShot Capture 043 - 装甲娘戦機 - Google 検索 - www.google.com

 つれえ。

裏世界ピクニック

 原作勢としては残念だった。特に最初の方。

 ネタとしてはポップで使いやすい都市伝説(この場合実話怪談か?)のきさらぎ駅を前面に押し出していたものの、作品的にはきさらぎ駅はそこまで重要なファクターではなかったような?
 というか裏世界ピクニックにおけるきさらぎ駅ってかなりきな臭くアレンジしたものだから、「あのきさらぎ駅が登場!」って言われてもなー……ってな具合に映った。
 多分アニメ化するにあたって「きさらぎ駅」という要素をアピールしてスポンサードしてもらったのかな……?とか邪推したり。
 まあでも裏世界ピクニックでメイクマニしようと思ったらきさらぎ駅よねまずは。

 そのきさらぎ駅のために合計4話ほどの尺を使ったり、原作からの話を入れ替えたりしていたものの、地味に始まって地味に終わったというのが本音。
 おれら原作勢は今なら胸を張って百合です!!!と言えるものの、如何せん百合としては丁寧な積み重ねをしてくるタイプの作品だから、1クールアニメではポップな百合描写が侵入してくる話にまで行けず、どの層にも強く響かなかったのかな、というように見えた。

 アニオリ回は巨頭村も焼き肉も良かったが、時空のおっさんをあそこまで端折ってまでやるエピソードだったのかな。時空のおっさん、2話使って全然いい話だと思うんだけどなー……。
 とはいえ後半はなんだかんだ良かった。ハードル下がっただけかもしれないけど。
 二期かOVAとかあるなら更にホラーっぽい話を作れそうだし、百合描写もマシマシに出来そうだよね。難しそうだけど……。

 総評すると、小桜さんがBIG LOVEなので視聴してください。
 真面目な話、原作未視聴ならそれなりに楽しめるとは思う。面白い意味で変なアニメだから一度はチェックしてみてはいかが?

画像2

 何やらせてもLOVE。

PUI PUI モルカー

 ストップモーションのアニメをこのご時世にやってくれただけで素晴らしいのに、作品自体も面白かったのでぶっちゃけ何も貶めるようなことは言えません。

 愛らしいビジュアルで描かれるモルカーは異質ながら可愛らしく映る造形がまずパンチとして強いし、そこに挟まれるブラックユーモアのなんともシニカルな味わいがクセになる。
 映画パロも含めて制作陣のやりたいことをやりきった上で面白さも十二分にあった、本当に愛のこもった作品だったと思う。

 次回作には大きな期待、だがモルカーの規模ですらものすごい時間がかかってるらしいので気長に待ちましょうね。
 今期のオリジナル枠では一番面白かった。とにかく毎週楽しみだったし、何度も見直したし、ロスも結構あった。
「2分半なので手軽に見れる」と「2分半だからすぐ終わって寂しい」が同居して結構バグる面も多々あったけど、ショートアニメなんてそんなもんよね。

 総評すると、話題に負けないくらい面白い作品ってこういうことだぞ!という感じ。長期展開は難しいかもしれないけどやる価値は絶対ある。

ぶらどらぶ

 今期一番好きなアニメ。しかし「好き」と「面白い」は必ずしも同伴するわけではなく……?

 お寒いスラップスティックコメディになりそうなものを演出の良さでカバーするところはまさしくベテランの技。
 とにかく演出と画が良い。話はうーんという感じだが、それだけでアニメオタクを持ってけるところがあるのはまさしく押井守の為せる技でしょう。
 後半の映画ネタ連打は流石に胃もたれしたし、ねじ式のよくわからんパロディだけで一話持っていったのはかなり謎。正直二度目は飛ばすぞあんなもの。

 この作品の問題点は「ほぼうる星やつらの再生産でしかない」ということで、押井守作品を幾つも追って文脈を理解していない人には、はっきり言って楽しめないと思う。
 キツめの方言を喋るキャラや妙に古いゲームやアニメのパロディをかましたり、映画トリビアを連発したり、何かあれば崩し絵でツッコミをさせて……といったやり方が面白いかと言われたら、少なくとも2021年にはNOであるとしか言えない。

 脚本としても、
・ヒロインであるはずのマイが途中からあまり喋らなくなるので、ヒロインとしての魅力がぶっちゃけ薄い
・キャラクターの動かし方がワンパターン
・そもそも話の主題が途中から薄くなってしまってダレる
 というような問題点が様々あり、前半6話に比べて後半6話はそこまで楽しめなかった。

 最終話の作りは上手だったけど、これを最終話に持ってきた理由はよくわからなかった。これは本来クライマックスへのフックとして使うべきなのでは……?
 せめて4話のような劇パト2パロディみたいなのがもっとあれば押井守ファンムービーとしての側面が強まったと思うんだけど、それをやるのは流石に筋違いなところもあるのかな。

 総評すると、おれは好きだけど、押井通ってない人が見ても多分刺さらないだろうなとしか言えません。
 やっぱ押井に好き勝手やらせるのはあんま良くないですね。誰かが手綱握らんとめちゃくちゃになってまう。
「じじいを怒らせたらどうなるか、思い知らせてやる」って言ってたけど、正直趣味全開のパロディアニメでそんなこと言われてもな……ってしか思わなかった。おれは好きだけど。


 この程度の文量でも疲れてしまった。残りは後半に。多分週末までには書いてくれるだろ。

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