2021年冬アニメを(後)

 (前回の)続きだぜ。

バック・アロウ

 これだけ2クールで扱いが難しいので一旦12話までの感想。
 谷口悟朗×中島かずきということで、このコンビが、というか中島かずき脚本が合うかどうかが全てだと思う。
 おれ含めた通話勢は大好物で、乏しくない評価を下す人も多いけど、おれたちは結構気に入っています。

 戦闘シーンを多めに尺を取ってくれているところがまず良くて、割とあっさりした展開もちょいちょい見受けられたりはするけど、とにかく動き回って戦ってくれるので見てて楽しいんだよな。
 通話勢も「ホビーアニメっぽいよね」という話をしてたけど、まさにそういう感じだと思う。その割には主人公のムガがあまりかっこよくないけど……(個人の感想です)。

 脚本に関してはまあ中島かずき。評価が高くない人らは多分中島かずき脚本が苦手か飽きたかだとは思う。当然おれらは好き。

 ただ致命的な話ではあるんだが、主人公のバック・アロウにそこまで魅力が感じられないんだよな。正直現状は舞台装置くらいにしか思えないというか。
「壁の外に行く」という彼の最大の目的が作中で何度も強調されたり、普段は馬鹿だが聡い一面もあるという若干範馬刃牙っぽい人格なんだが、それを踏まえた上で「自我や信念がない」とか言われてもさあ、そうかな……?ってならん?
 そういうところや、エッジャ村の人間たちの内ゲバとかもあってあんまり主人公組の話が面白くないのが12話までの感想かなー……。

 とはいえ主人公組でもお調子者のビットのキャラが抜群に美味しいし、レッカやリュートの話になると途端に面白くなる。
 特にレッカは作中におけるライバル勢力として描かれているんだけど、カイや皇帝のジジイが出てくると本当に盛り上がる。急に絵面が馬鹿っぽくなるからなのかな。

 総評すると、「今の所主人公のバック・アロウを好きになれない」だけで他は大体面白いと思う。女の子型のブライハイトが可愛いから立体は欲しいっちゃ欲しくなる。
 ちなみにこれ書いてる段階で13話見ちゃったんだけど、とんでもなく盛り上がりました。やっぱジジイが出てくると急にバカが考えたごちそうみたいになるのが良いね。

ワールドトリガー

 原作組です。ほぼ完全に原作をなぞるタイプのアニメだったので特に言うことが無いな……。
 別に香取葉子さんと染井華さんの話だけをしてもいいんだけど、まあアニメ感想だからやめとくか。この二人が一番好きです。言わずともわかられそうだけど。

 前半はガロプラ侵攻、後半はB級ランク戦という温度感もキャラクターも全然違う話になのでこのクールだけ見るとよくわからないアニメだった。とはいえ続きものだってのは承知の上で作られてるからいいのかな。
 作画や演出は良くもないけど悪くもなく、原作をそのままアニメ媒体に出力しただけって印象で、アニメとしては個人的にはそこまで好きではない。

 ところで、ワールドトリガーという作品は(ランク戦が始まってからは特に!)とにかく登場人物が多く、別に個性がないってわけじゃないんだけど頭数がそもそもありすぎて、ただ漫画を読むだけだと「誰が誰だったかわからない」という状態に陥りやすい。
 そこでCVが付いたりキャラが動いたりすると割と個体を認識しやすくなるので、そこはアニメ媒体の強みだよな~ってのを再確認させられたという意味ではこのアニメ化には十二分の意義があったとは思う。

 総評すると、ワートリって作品やっぱおもしれえな!です。中々原作進まんけど。
 原作勢はアニメ見ても見なくてもいいと思うけど、アニメ勢は原作見たほうが良いと思います。面白いし。ごめんやっぱ原作面白いって話しか出来ないわ……。

ワンダーエッグ・プライオリティ


 上のインタビューにオタクたちが「野島伸司、おれらをナメとる」と吹け上がってるのを見て視聴を確定しました。正直怖いもの見たさだったのだけど、今期一番面白いオリジナルアニメに君臨できるくらいのポテンシャルがあった。

 とにかくキャラクターが絞られているのが良くて、メインの4人の内面とその成長が丁寧に描かれていたという印象。
 このアニメが特に良かったのは4人の少女たちがそこまで重なり合っていないということで、挫折やトラウマからの脱却にあたって、「友達」の手は借りるけど、「自分」の足で立ち上がるというのが徹底されていた。こういう話、本当に大好きなんだよな~~~。

 そうでなくても「少女たちのトラウマを気持ち悪い怪物として描く」「自分にとって大切な日用品を武器として立ち向かう」「自殺した少女たちのそれぞれの悩みや鬱屈した部分を自分の置かれてる現状と重ね合わせる」など、一つ一つはアニメとしてはありがちな要素を組み合わせた上で、野島伸司による丁寧な少女性の描き方によって独自性を獲得した脚本だと思う。
 野島伸司がアニメに対して真剣に向き合って作ったという意味では本当にこの作品は今後数年くらいは語り継がれるべき作品だと思うし、おれらもごめんなさいしなきゃいけないよね。ナメてたのはおれらのほうだった。 

 演出もかなり光るものが多くて、特にアイの母親と沢木先生が再婚する話を聞かされた時のアイの心中を生卵で暗喩していたのはスタンディングオベーション出ちゃった。気持ち悪さの表現として新しすぎる。
 敵キャラも基本的には生理的に訴えかけてくる気味の悪さを強調しててどれも記憶に残るし、この手のアニメって戦闘シーンが大して魅力的じゃないことが多いような印象があるけどどれも動きがダイナミックで良かった。敵怪人の能力を逆手に取って倒すのはいつ見ても興奮するねえ。

 ……とはいえ尺が足りなかったというのは事実で、最後に出てきた新たな障壁であるフリルとひまり、そしてアカと裏アカの話をどう解決するのかと思っていたら、解決されなかったという。
 最終回はアレはアレで好きだったんだけど(プールサイドと少女が出てくるとオタクは興奮してしまうため)流石にこれで終わりって!という感じだったので、そこでモルカーに軍配が上がってしまいました。

 6月の特別編はマジで楽しみにしてます。1時間くらいでガッツリやってくれないかな。無理かな。

 総評すると、野島伸司、やりおるという感じです。今後もアニメ作って欲しいな。今のアニメ畑なら割と引く手数多じゃない?

呪術廻戦

 前回と大体同じです。だから前回を見てね。で終わらしてもいいかな……。

 とにかくMAPPAがすげえんだよという感じ。アバンが異常に長いのと、ちょっと劇伴調子に乗りすぎじゃね?ってボーカルBGMが気になったくらいかな。
 これもワールドトリガーと同じく原作が面白いからってしか言えないんだけど、そちらと違うのはとにかく演出も作画もずば抜けて良いというところ。戦闘シーンの一つを取ってもとにかくダイナミズムが違っていて、どの回も毎回興奮を隠しきれん。

 OPEDは……前回のほうが好きかな。EDでしみったれた曲聴くのは良いんだけど、毎回だと普通に飽きる気がする。

 あとこれは原作的な問題でもあるんだけど、今クールは京都組と伏黒姉の話だったので、「呪霊とのダイナミックな戦闘」がそこまで無かったというか。花御戦はなんかちょっと小さく収まった感じがしちゃったな~みたいなところがあって。重箱の隅をつつくような話ではあるんだけど、個人的には前クールのほうが呪霊戦は盛り上がった気がするな。悪いわけじゃないんだけど。

 総評すると、やっぱ呪術はすげえ。チェンソーマンですら本誌派になりきれなかったおれだが、呪術のためだけに本誌を読み始めてしまいました。クソ面白え。陰キャ版ハンターハンターみたいなことしだしてるし。

ゆるキャン△ Season2

 真の救済、これのことらしい。

 一話目からかなり質の高いオリジナルエピソードが挟まってきて震えてしまった。ゆらゆら揺れるロリ志摩リン、PCの壁紙にしています……(恥)。
 とにかくキャラの造形がみな可愛い。一枚絵だけでなく動きで可愛いのは流石。1期のときからそうだったけど2期もクオリティは変わらず。

 どうでしょうネタが結構気になる人にとってはCVネタはちょっとアレかもしれないですね(TLにはチラホラ見受けられた)。おれは藤村くんのCVは全然気になんなかったけど。つか普通に上手くね?
 キャスティングで言うと綾乃ちゃんのCV黒沢ともよはマジで100点満点だった。出番は足りない感じしたけど、そこは原作からそうだしね(11巻までアニメが続いてくれると良いなあ……)。

 毎回どのアニメにも苦言を呈しているからこれにも苦言を呈したいけど、「ワンピースくらい長期放送やってくれ!」しか言えねえ。どうにかやってくれんか?ロスで手が震えるから……。

 総評すると、吸ってみな、飛ぶぜ
 オタクが外に飛び出していく機運がそこそこ高まってて笑うんだよな。おれもぶっちゃけスーパーカブと併せてちょいちょいバイクに乗りてえ~みたいな気分になるし。


終わりに

 感想書いてて思ったけど、面白くなかった作品に書きたいことは多いけど面白い作品に対してはそこまで書くことがない。
 多分つまんないところは引っかかるので言語化しやすいけど、面白いところって自分の中にするっと入っていくから言語化しづらい、みたいな話なんだろうな。
 良くないところだから直したいけど、はてさてどうしたもんか。よくわからん。

 とりあえず今期一番楽しめた作品は、

 オリジナル枠:PUI PUI モルカー
 原作枠:ゆるキャン△ Season2

 ってな具合。それと今クールで一番良かったOPとEDを貼って終わりとする。

 今期も付き合ってくれた通話勢ありがとう。今期は特に見るアニメが多かったりして大変だったと思うけど、最後まで走りきれてよかった。
 来期はスーパーカブが熱い感じ。バックアロウも続きが気になるし、ゆゆゆのショートアニメも楽しみ。

 そして、このようなご時世でも素晴らしい作品を作ってくださったアニメスタッフの皆さんに、本当に感謝します。いつもありがとうございます。

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