世論調査で「自然環境の保護」への関心が61%。2022年9月の沖縄。

一体、沖縄県民(うちなーんちゅ)は自然に関してどれだけ関心があるのでしょうか。個人的には、うちなーんちゅはあまり自然環境の保全に関心がないと疑っています。
自然環境についてみる場合、大きく二つの側面についてよく注目されます。

一面は、よく見える自然環境、グリーン(イシュー)とも呼ばれますね。みずみずしい緑の森を背景に、美しいカエルの綺麗な写真が壁一面にドカーンとあって、うちの国はこんなにきれいな自然環境ですよ、是非旅行に来てください! といった観光促進のためにスポットを当てられるような、綺麗な自然を守るという面であったり、木をたくさん植えて、森林破壊を食い止め、二酸化炭素をたくさん吸収してもらって気候変動の対策をしています、というような自然環境の保全をポジティブな側面から支える一面と考えられています。

一方で、よく見える部分があればよく見えない部分もある。その一面は、ブラウン(イシュー)と呼ばれ、ごみ問題への対策、汚水対策など、かつて90年代頃まで「公害」というカテゴリーの下で捉えられていた自然環境を保全するためのネガティブ要素を減らす為の一面で、グリーンとブラウンはどちらも一緒に進めることがより良い自然環境の保全に繋がると考えられています。
気候変動の経済学(日本銀行2021年)*この中ではグリーン財、ブラウン財という呼び方をしています。

沖縄県の主要産業は、うちなーんちゅなら、もはや誰もがしっている「観光」です。コロナ禍前までは沖縄県が目標として挙げていた観光客数年間1000万人(内外国人観光客が約300万人)を達成しています。

そんな中、コロナ禍の最初の年である2020年は、258万人と約4分の1までに落ち込みました。これは世界的に人の移動の大幅な低下があったので、沖縄の観光誘致の努力不足でないことは明らかです。この観光客の世界的な減少や人の動きの低下をうけて、面白い現象が世界の観光地や都市ではニュースとなりました。
ベニス(イタリア)の水が綺麗に

沖縄でもおそらく似たように、人の訪問数が減って自然環境の回復につながる事が一瞬あったのだと想像されますが、特に一般的なニュースで取り上げられるような事はありませんでした。ヤンバルクイナの年間のロードキルの数が2020年は、2019年に比べて約10件減っていますが、その前後の年の数にも変動があり、観光客の数とはあまり関係ないように見えます。
ロードキル件数(環境省 やんばる野生生物保護センター)

話を戻すと、沖縄では、観光を主要産業としつつも、汚染水問題、ごみの不法投棄問題、生物の乱獲・密猟等々、土地利用の課題など、観光資源である自然環境を保全しようとする気があるのかどうか、頭をかしげる課題が山積です。しかし、今年は9月11日沖縄県知事選挙があるということで、もしかすると今後希望が持てるかもしれない、というアンケート結果がニュースで取り上げられていました。
NHK(沖縄県民世論調査結果:これからの沖縄にとって特に重要な課題は何だと思うか)

沖縄県知事選挙があるごとに、議論が過熱する「基地問題」。これと並ぶ61%の世論の関心事項として「自然環境の保護」が挙げられていました。こういった関心の高まりは、もしかすると自然環境が悪化している事を多くの人が気にし始めているという事なのか、観光を続けていくためには自然が大事だという主要産業への関心と相関するものなのか。

どちらにしても、沖縄の自然環境にとっては、これまで以上に希望がみえてきたかもしれません。

コロナ禍から観光も回復していくなかで、今話題になっている、自然や地域の受入れキャパを越えた過剰な観光客数をまた目指していくのか、それともきちんと整理をして目標数を下げて設定するのか。
➡受けいれキャパ越え(オーバーツーリズム

自然環境への負荷は、ヤンバルクイナのロードキル数からも分かるように外から来る観光客が全て悪影響を与えているわけではなく、住んで育ったうちなーんちゅの方がちゃんと考える課題なんでしょうね。


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