ぐりとぐらのカステラ|エッセイ
恥ずかしながら、私は大人になってからはじめてぐりとぐらを読んだ。息子に読み聞かせながら私も初体験だ。
森にお散歩に出かけたぐりとぐらは、森で大きな卵に出会い、こんなに大きな卵なら、1日中食べても残るぐらい大きなカステラができるに違いない!とカステラを作ることにした。
持って帰ろうと工夫するも、小さなねずみの2人には難しかったので、もうここで作ってしまおう!と2匹は道具を運ぶ。
バターを大きなレンガのように抱きかかえていたり、大きなフライパンをずるずると引きずって歩いたり、2匹が小さな子供に見える。とても可愛い。
おいしそう…。
息子と絵本を読んでいると、夫が「ぐりとぐらのカステラ、焼いてみようか」と言い出した。
レシピを調べ、たくさんの卵とお砂糖と牛乳と小麦粉をぼうるで混ぜ、小さめのおなべに流し込んだ。
弱火でじっくりと火を通すと、家中が優しい甘いにおいでいっぱいになった。クッキーやパンのにおいとも、ホットケーキのにおいとも違う優しいにおい。
なるほど、これがカステラのにおいなんだ。
森の動物がカステラのにおいを嗅ぎつけて集まってきたのも頷ける。
カステラは、しばらく焼くとふくふくと膨らんだ。空気がたくさん入って、スポンジのようだ。絵本ではもう少しなめらかだったな?
息子と夫と私で、キッチンに集まってカステラを観察した。
まだかな?まだじゃない?
ふわふわだね。おいしそう。
まるでカステラのにおいで集まった動物たちのよう。
よし、焼けた!
おなべをそのままテーブルに運び、各々スプーンでカステラをつついた。
カステラはふわふわで、なかなか鍋底にスプーンが届かずちぎれない。火から下ろすとカステラは少し縮んでしまったが、それでもなかなかの大きさだ。
黄色くて優しい甘さの美味しいカステラを家族でぺろりと頂いた。
美味しかったね。また作ろうね。と言いながら気付いた。
こんな時間にお腹がいっぱいになったら、夜ご飯が入らない。案の定全く食べれなかったが、思い出になったのでそれでいいのだ。
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