近年では鬼滅や呪術廻戦といった漫画・アニメ作品でも使用され、昔からあらゆるおとぎ話や伝説にて古くからいまだに使われ、愛され続けてきた

「鬼」

なぜこんなにも、時代と共に変化はあれど、人を「魅了」といっていいほど惹きつけるのだろうか。

主に絶対的な「悪」の象徴として、時に従者のように強い「味方」として…

見た目や資質的に「人間に近い」という点での使いやすさや、親近感に似たようなところが大きな影響かもしれません。
キリスト界隈のヴァンパイアやブードゥーのゾンビのように。

しかし、この「鬼」のメタファーは何なのか。考えてみましょう。

説

「金工師説」「蝦夷説」そして「外国人説」

この3説が主流でWikipediaにも記載があります。

「金工師説」

金工師とは、刀の装飾を手掛ける職人のことです。

「蝦夷説」

蝦夷（えみし、えぞ、えびす）とは、関東から東北、北方地方などに住む人の呼称です。

アイヌ民族も含まれた総称のようなもので、ジブリ作品の「もののけ姫」アシタカの故郷と噂されている範囲のことをさします。

阿弖流為（アテルイ）という人物が有名です。
朝廷が関東、東北へと侵攻するのに屈強な戦士や首領の、アテルイのような人物を「鬼」としていたのかもしれません。

「外国人説」

そして、外国人説。
個人的にはこの外国人説を推しているのですが、なぜ推奨するかは何か証拠や根拠があるとかではなく、他の説を否定するのでもなく

「現代の鬼のイメージでなら外国人だな」

という、現代までの流れの総合的な判断での意味なだけです。

起源

鬼の最古のお話としては720年の日本書紀にて語られたそうで、当時（昔）では、いまのように怪物のような姿かたちではなく「怨霊」「幽霊」てきな存在でした。

仏教の教え、六道輪廻での「餓鬼」や地獄の門番としての鬼の存在として、神や精霊、神隠しのように日本特有の文化として

「見てはいけない、見えてはいけないもの」

だったのではないでしょうか。

鬼の語源としても隠れた存在として「陰（おん）」「隠（おぬ）」が転訛したとされています。「おに」に転じたのは平安時代からで、それ以前では「もの」と呼んでいて、もののけ→物の怪、とも関係してそうですね。

付喪神、九十九神（ツクモガミ）

九十九年以上、百年の歳月を経た「物」には神（精霊）が宿るとされています。この文化は日本だけでなく、海外でも
element（エレメント）spirit（スピリット）
という考えかたは共通していて、どんな文化でも通る筋道なのかもしれません。

現代でもアマゾン奥地やアフリカ内部には
「シャーマン」「呪術医」
が存在していて、スピリチュアル文化を継承しています。

植民地（海賊）時代、世界中に侵略していたとき、各地で先住民「シャーマン」を魔女としていたり、日本では卑弥呼なども中国の「魏」や「唐」は同類としていたの可能性も。
まあ、それらはまた、べつのお話にて…

「もの」も、怨霊、死霊、生霊のことを指していたことも、鬼へと転じる要因だと思います。「物の怪」の概念としては、霊的なものが人に憑依した状態を指しており、卑しくがめつい餓鬼が憑依した人＝鬼、と結びつき、もの＝鬼、と、考えることもできそうです。

中国からも「鬼」の概念が伝わっていて

ということからも、元々は宗教観から

精霊、死霊、神

のような存在としていたことは、かなり明らかなことが考えられます。

いまでいうと、エクソシストのように怨霊などが憑依した人物＝鬼、という見方が支配的だったといえます。

奇形

つぎに出てくるのが阿用郷の鬼（あよのさとのおに）目一鬼（まひとつおに）
ここでは目がひとつの鬼が記されています。

文献で確認できる最古の鬼とされていて、記述『出雲国風土記』（いずものくにふどき）733年に聖武天皇に奏上されたといわれている。
百鬼夜行の鬼やひとつ目小僧、といったイメージのもの。

これについては「単眼症」ではないでしょうか。
先天的疾患も、とうぜん現在のように分析や研究されているような時代ではなかったはずです。

歴史、過去を想定する場合、いまの価値観や常識で見てはいけないのが基本だと思います。
医療、教育、自然現象ですら解明などもされず、神や悪魔、仏と怨霊の仕業としているのも世界中の共通点です。

世界中の「貴族」「王族」といえば当然「血筋」を重んじる傾向は周知だと思います。身内で結婚して『揺るぎない国政』を保護していきたい意識や、種族主義、裏切りや暗殺を防ぎたいのもあるでしょう。

そんなこんなで「血」が濃くなり、奇形率が上がってしまうのも上流階級では茶飯事だったことも想定できます。
これは日本も例外ではなかったことです。

畜生腹（ちくしょうばら）

というのはご存じでしょうか。
双子や三つ子、多胎児で妊娠、出産した場合ですら『忌み子』とされ、死産として処理されたり養子に出されたりとしていた時代が長かったのです。

江戸時代ですら忌み嫌われていて、前世で心中をした男女が生まれ変わった、とされていたりしました。
多産とは犬や猫など、畜生が子を多く産むことから畜生腹として忌避されてきたのです。


「南総里見八犬伝」
では、負け戦が決まりつつある殿様が「八房」と名付けて飼っていた犬に

「敵大将の首を討ちとれば姫を嫁にやる」

と戯言をいったところ、八房は見事に敵将を打ちとり首を咥えて帰ってきた。そのご”表向き”約束通り嫁がせると、姫は八房と”一切の接触もしていない”にも関わらず妊娠をする。

そして殿様の追手である部下に射殺されるのだが、姫は八房を庇い被弾してしまう。姫のお腹から八つの玉が放出され、そのごの八犬士として転生する…

このように曲亭 馬琴（きょくてい ばきん）が物語の主軸設定とするように、当時の多胎児出産は畜生との交わりや、畜生道との接点とされていたのではないでしょうか。

そんな時代に外見上の先天的疾患が見受けられ生まれた子は、どうしていたのでしょうか。当然、現代のようなエコーや心電図での検査など不可能な時代です。

「賽の河原」や「水子供養」といった考え方や措置も、重く考えてしまいます。

このような

「異形・奇形」＝「物の怪が人に憑依した」

と隠喩していたのかもしれません。多産が畜生道、鬼は餓鬼道との接点のように。

日本という国もおおきくなり、教養や認識が人のあいだに広まると、あからさまな姿かたちの「鬼」の認識から、行いや風習にも当てはめていくのも自然な流れかと思います。
※現代のわれわれがおおくの「人種差別」をいまだに繰り返しているように・・・

強面な部外者、人並はずれた屈強な敵国武士など、人外てきな比喩としても鬼という言葉が文献や伝承にてひろまり、色んな「鬼」が誕生したはずです。

なので「蝦夷説」も「金工師説」も、そういう意味では恐らく正しいのではないかと。

海流

そして、「外国人説」ですが「ペルー来航」以前、外国人が一人も日本へ来なかった、ということが逆にあり得るのでしょうか。

黒潮、親潮、リマン海流、赤道海流
といった、さまざまな海流とともに海の資源と四季にも恵まれた、正に日本という国は「ジパング」なのです。

流れ着いてしまった外国人がいない訳がなく、そして鎖国を続けてきた国民にしてみれば外国人は現代でいうところ宇宙人みたいなものです。

昔の義務教育もなかった時代の日本人が理解できるわけもなく、受け入れられることもなかったでしょう。

そんな彼らはどうすることもできずに、島、山、森、洞窟へと身を隠しながら暮らしていたはずです。

山や森へと隠れたものは恐らく
「天狗」※山窩（サンカ）山岳民族
島や洞窟へと逃げたものは「鬼」
そんな総称として表現していたのではないでしょうか。

※山窩（サンカ）この話もまた別でしたいと思います。
追記
⇩下記「天狗」にてサンカについて触れています。是非ご参考に

鬼の色

赤鬼、青鬼、黄鬼
と、一般的にはこの三色がメジャーで、他には

黒鬼、緑鬼

赤、青、黄、黒、緑の五色が設定されています。この概念は
五行説と五蓋説
が組み合わさったとされています。

青鬼とは、そのまま「白人」
血の気が引けばもっと青白くなります。

赤鬼とは、白人が興奮状態になり全身が真っ赤になった状態。もしくは「返り血」

黄鬼は、中東、もしくは鬼の仲間になったアジア人（日本人かも）

黒鬼は、「黒人」

緑鬼は、ちょっとわかりませんが・・・無理やりこじつければ
「緑膿菌」
といったなんらかの感染症や病気の状態など。

かれらの、ひと回りもふた回りもおおきな体、もちろん言語も通じない。日本人とは桁外れなパワー、体格てきなもの以外でも、毛深さや顔の堀の深さなども、現代ビジョンでの鬼は、正に「外国人」だと感じざるを得ません。

補足

現代でも、SF、ファンタジーの物語でさまざまな「宇宙人」を模索しているように、昔から「外国人」を模索し研究や創造を膨らませていたはずです。

そして、現代でも不思議な現象や物体、分からないことはすべて宇宙からのエネルギー、宇宙人の仕業だと片づけられている事件や陰謀もおおいのです。

それらと類似して考えれば、とうじの鬼や妖怪は「外国人説」などが妥当であり、そして私たちはこれからの宇宙に対しても、まだまだロマンがあるのではないでしょうか。