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第一回 おしっこ我慢映画選手権

はじめに

ご無沙汰しております。はくあです。
映画館で映画を見るのは楽しいものですが、その際に付きものなのがおしっこ我慢ですよね。誰しも一本ぐらいは、おしっこを我慢しながら鑑賞したために「アレを観たときはおしっこを我慢していたなあ」という記憶しか残らなくなってしまった作品があるのではないでしょうか。

今回はそのような作品たちを「おしっこ我慢映画」と呼称し、皆さんからGoogle Formで珠玉のおしがま(おしっこ我慢の略)投稿を募りました。人のおしっこ我慢事情については改まって聞く機会がないので、興味深い内容も含まれているのではないでしょうか。本当にそうかな?

というわけで、「第一回 おしっこ我慢映画選手権」開会となります!

おしっこ我慢映画選手権 エントリー作品

我慢部門

上映終了まで席は立っていないと思われる投稿たち。

「龍とそばかすの姫」
尿意がすごすぎて細田守監督に怒りさえ覚えました。終演後はもちろん、ダッシュシュッコ(ダッシュでシッコをしに行くこと)しました。

ダッシュシュッコ、次に発売される「現代用語の基礎知識」には載ってるらしい。

※作品名失念(仮面ライダージオウOverQuarzer、JOKERあたりが怪しい)
なにかを観た際おしっこになってしまい、以後執拗に尿を出しておくことに捉われるようになりコーラとかも買わなくなりました なんなら前日から尿の調整をしている

調整型のプレイヤー。最終的に西城秀樹のサウナスタイルみたいになりそうで怖いですね。

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」
直前にトイレに行っていたにもかかわらず何故か最初の墓参りシーンからうっすら尿意を催し、猗窩座が出てきたあたりで本格的に限界を感じ始めた。せっかくの猗窩座と煉獄さんのバトルシーンが尿意によって台無し。

尿獄さんは負けてない。

「ホビット 竜に奪われた王国」
高校の期末考査の後に一人で観に行きました。3時間近い上映時間の映画を劇場で観たのは初めだったため、おしっこマネジメントができていませんでした。ドワーフが樽に入って川を流されていたシーンは覚えていますが、他はほとんど忘れてしまいました。終盤はベネディクト・カンバーバッチの声を聞きながらおしがましていた記憶しか残っていません。

少年少女はこうしておしマネを覚え、大人になっていくといいます。
これって「ベネディクト・カンバーバッチとおしっこ我慢が脳内で紐付いた」ということでもありますよね。ただでさえ特徴的な顔なのにいっそう忘れられなくなりそう。人類でいちばんウッドエルフに近い男。

中座部門

上映途中でおしっこに行っている投稿。これには、さほど重要でないシーンでトイレに立つ「見極め」の概念があるのがおもしろかったです。

「天気の子」
序盤からすでにおしっこ我慢が始まっており、できるだけおしっこ中断(おしっこをするために映画を観ることを中断する行為)をしてもストーリーがわかるようなしょうもないシーンを探して過ごしていた。可能な限り膀胱を開放させるため、映画館の暗闇を利用してズボンのボタンとファスナーを全開にしていた記憶がある。ついに耐えきれず、途中でおしっこ中断を実施しおしっこを済ませたが、その間に前作主人公が出演しひと盛り上がりしたらしく、悲しい気持ちになった。

膀胱にも卍解ってあるんですね。隣の人が暗闇の中でカチャ……モゾ……ってしてたらじゃっかんの緊張が走る。

「ハリーポッターとアズカバンの囚人」
入場待機中にドリンクを飲み切り2本目に突入、開始15分程でトイレ行くもキレが悪く、しかも途中経緯が何回かすっ飛ぶ。結局3回ほど中座。バックビークって何?

これはもはや「おしっこ我慢映画選手権」ではなく「おしっこ選手権」では? と思ってしまいました。攻めの姿勢が強すぎる。バックビークはハリーとハーマイオニーが逆転時計で逃がしました。

「ありがとう、トニ・エルドマン」
162分あるドイツ映画。全体的に緩慢としているため時間感覚が麻痺し、無限におしがましなくてはいけないのではないかという錯覚に襲われる。限界だ!と思って中座してトイレ行って帰ってきたらエンドロール流れてたときの絶望

単純に上映時間が長い、というのもおしっこ我慢の大敵です。ぼくが狂った金持ちになったら「牯嶺街少年殺人事件 おしっこ禁止上映」を開催しようと思います。

「時をかける少女(細田守版)」
友人と一緒に見に行ったのですが、途中で一度抜けたときに白い目で見られたので、終盤でもう一度行きたくなったときに席を立てず、ひたすら尿意を我慢しながら見た記憶があります。

ダブルおしっこはなんとなく気まずいので、シングルで抑えたいところですね。アズカバンの囚人でトリプルおしっこキメてた人はなんだったんだ。

筒井康隆「おしっこ我慢船団」の書き出し
→まずコンパスが登場する。 彼はおしっこを我慢していた。

「マッドマックス 怒りのデス・ロード  モノクロ版」
シネマ神戸でドントブリーズと二本立てで見ました。火吹きギター登場あたりから腹痛に襲われましたが、前半の追いかけっこが終わるまで何とかうんちを我慢し、鉄馬の女たちのところに辿り着いたところでトイレに行きました。ある意味映画のテンションとシンクロしていました。

「ストーリーの折返しでうんちをさせろ」ってハリウッドの脚本術の本に書いてあった気がします。
ちなみにこの流れで紹介するのもなんですが、シネマ神戸はとてもいい映画館です。ぜひ。絶妙なチョイスの映画が二本立てで観られます。

シン・エヴァ部門

シン・エヴァは話題作であり、かつ上映時間が2時間半と長めだったので全国で数々の選手権が開催されたことと思います。まとめて見ていきましょう。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(2週目)」
前回同様コーラを買う。 中盤で気づく「コーラが……無い……!」 どうやら無意識に全部飲んでしまったらしい。気づきと共に突然襲い来る尿意。まるでMark.06いやMark.07。 なんとか最後まで見終わったものの、猛攻に耐えた足腰はもうガタガタ。立ち上がっては痛み、一歩踏み出す度に腹に響く床の硬さ。本当に初号機が初めて歩き出した時のようにヘナヘナとしかししっかりと前へ進みなんとかトイレに辿りつき事なきを得た。 教訓を得た……もうコーラは買わない……。ガムでも噛もう……。 そして3週目でガムを噛んで臨んだらキシリトールでお腹が緩くなって苦悶したがレギュレーション違反なので別の機会に。

TVアニメでシンジくんがはじめて初号機に乗ったとき、赤木リツコが発したひどすぎるセリフ
→「歩いた……! 」
次はうんち我慢映画選手権でお会いしましょう。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」
数年ぶりの映画館だったのでデッカいドリンクとポップコーンを買って入場。ドリンクが全て膀胱に流れ込み、脂汗をダラダラかきながらゲンドウの独白を聞く。アスカの回想が始まったところで耐えきれず離脱、戻ってくると下書きのシンジくんが浜辺に座っており、なんかいい話風の曲が流れており、なに?となった

おしっこ調整をしない豪の者のエピソードですね。ぼくは「守り」に入っているのでドリンクはSサイズしか頼めなくなってしまいました。
シンエヴァのおしっこ中断ポイントについても考えてみたんですが、たぶん「綾波の田植え」です。

おまけ映像部門

あるとうれしいスタッフロール後のおまけ映像ですが、おしっこ我慢の大敵でもあります。最近になってぼくはおしっこ&リターン(スタッフロールでおしっこに行ったあと、戻ってきておまけ映像を鑑賞)を覚えました。

「X-MEN フューチャー&パスト」
普段なら最後まで見届けるエンドロールで我慢できず退場してしまったため、ヒーロー映画につきもののエンドロール後の見ても見なくてもいいおまけ映像があったのかなかったのか確認できずじまいになってしまったが、別に気にしていない。映画本編は排尿を我慢することで交感神経優位になったためか緊張度が増していつもより楽しめたような気がしないでもない。

あえて自分を極限状態に追い込むことで鑑賞体験を高めるテクニック。ミュータント能力ってこういうときに発現するらしい。

「スパイダーバース」
敵との決着がつくか付かないかくらいのところでもう膀胱は破裂寸前であり、中学時代塾で失禁した記憶がフラッシュバックした。トイレに行った瞬間に、色んなスパイダーマンによる協力感動シーンが入ったり、サプライズでレオパルドンが出てくるんじゃないかとも思ったので、席を立てなかった。なんか、ed入ってから速攻でトイレ行ったけど、ed後もおまけあった気がする。そういうのはやめろってマジで

コラボをちらつかせておしっこを我慢させてくる非道なマーベル・ユニバース。次は学習塾おしっこ我慢選手権でお会いしましょう。

映画側からの攻撃部門

「サタンタンゴ」
アル中のジジイが小便するだけのシーンが執拗な長回しで描かれるので、映画の中のジジイでさえ長回しで小便しているのに自分は…という気持ちになった

小便そのもののシーンはもちろんとして、「見ていておしっこが溜まりやすいシーン」というのはある気がします。未鑑賞のため想像ですが、「アクアマン」とかすごそう。

「ワイルドスピード(4DX版)」
ヴィン・ディーゼルの運転が完全に「お漏らし狙い」にしか見えなかった

おしっこを漏らしてもファミリーはファミリー。

「レオン」
午前十時の映画祭で鑑賞。一度見たことある映画だったが、どうも腹の調子が悪く集中できない。原因はおそらく三日前に食べた鳥刺し。スタンスフィールドが登場するたび、(ゲリー・オールドマン……)が頭によぎった。

厳密にいうと下痢便我慢映画選手権なんですが、オチがきれいなので受理してしまいました。スタンスフィールド刑事が天井を見上げながら砂肝をコリッといくシーンは洋画ファンなら誰しも真似したくなりますね。

その他

これは独創的すぎて「その他」に分類するしかなかったやつです。

「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」
直前まで参加していたサークルの先輩との飲み会をなかなか抜け出せず上映開始時刻過ぎの到着となってしまって、急いで発券手続きをして滑り込みで鑑賞しました。かなり早い段階でおしっこ我慢が始まってしまい、全然集中できなくて話が入ってきませんでした。酔いもかなり回っていて朦朧状態だったので、覚えている内容でさえも正確ではないと思います。以下に、覚えているシーンを挙げておきます。


・パイプから蒸気が吹き出す・施設の機械仕掛けが動く・ロボット少年レグが充電するなどのシーン:機械/メカ類が生々しく描かれていてテンションがあがった覚えがある。

・探窟家としての最高峰『黄笛』の称号を持つ黎明卿ことボンドルドの悪事が暴かれるシーン:ボンドルドは未開の地のルート開拓や探窟活動拠点の拡大などといった偉業を成し遂げたが、その裏では前線基地(イドフロント)という所で誘拐してきた少年少女を使って非人道的な尿科学の実験を行っていた。

・探検家少女リコがうっかり階段を登ってしまい上昇負荷で死にかけていたところを、ボンドルドの娘プルシュカに助けられるシーン:上昇負荷がかかるとアピスの呪いによって、目まい・吐き気・黒尿などの症状が現れるようで、深層で上昇負荷がかかってしまうと全身の『穴という穴からの尿墳』により『尿死』するらしい。

・少女ナナチが拘束され辱めを受けるシーン:「んにょ〜..... オイラもう我慢できねえ....」とナナチ、失禁してしまう。別場面でレグも拷問されて失禁していた気がする。

・ボンドルドが先輩彼女に手を出し、探窟家サークル内で大揉めするシーン

・ボンドルドとの戦闘シーン:ボンドルドをワイヤーで吊し上げ上昇負荷をかけることに成功するも、ボンドルドはアピスの呪いをカートリッジへ放尿。間一髪で『確実な尿死』を回避する。最終的に、命を響く結石(ユアワース)の力を得たレグが尿道の隙間に火炎砲を打ち込みボンドルドを撃破した。

「おしっこを我慢していたし酔っていたから、話の筋が定かではない」という体で完全な創作をはじめるのなんなんですか?
箇条書きが進むごとに嘘の濃度がじわじわと上がっていくのがすばらしい。「アピス」みたいな単語レベルのいじりにくわえて「カートリッジに放尿」みたいな動詞レベルのいじりが入ってくるのも芸が細かくて好きです。この投稿を優勝にしてもよかったんですが、「めちゃくちゃすごいけどなんか違うな」という思いから外しました。準優勝があるとすればこれですね。

優勝作品

さて、数多のエントリー作品を抑えて優勝に輝いた投稿はこちらです。

「映画フィッシュマンズ」
宇宙 日本 世田谷 おしっこ
とにかく音楽が良くて、その場にいるみたい。180分ドキュメンタリー、最後のライブシーン。柏原氏のベースは体を直接震わせるかのような低音。ZAK氏のおしっこ我慢サウンド・エンジニアとしての才能を実感することになった。

まず「宇宙 日本 世田谷 おしっこ」というキャッチフレーズのよさ、それに加えてインパクトだけにとどまらず映画の見どころまで伝わってくるような巧みな感想で、これを優勝とさせてもらいました。投稿者にはおしっこにまつわる粗品を贈呈させていただきます。
ちなみに"baby blue" って、体調の悪い日のおしっこの色を表現した言葉らしいです。

おわりに

力作揃いの第一回おしっこ我慢映画選手権、優勝は「映画フィッシュマンズ」となりました。日々映画館に足を運ぶおしっこファイターの皆さんにおもしろく読んでいただけたとすれば幸いです。それではまた! 


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