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短歌:ほんの気持ち

除雪機で三十メートル道つける通学の子ら足取り軽く/銀猫
じょせつきでさんじゅうめーとるみちつけるつうがくのこらあしどりかるく

 我が家は、自治体の中でも雪が多い地区にあるので、家庭用除雪機があります。パートナー専用マシンであって、わたしは使いませんが。
 ですから、さも自分でやったような歌を詠んでいますが、これはパートナーのボランティア行為です。

 宅地開発のタイミングがずれた結果、我が家と左隣の家を境に、家の向きが逆に建っています。

 わかりにくいですね。

 我が家の玄関が面している道路に対し、左隣の家三軒は背を向けています。我が家が南向きに建っていると仮定すると、左三軒は北向きに建っている、と言いたいのです。

 そのせいだと思うのですが、面している道路は通学路なのに、自治体の歩道の除雪が中途半端に終わります。我が家の右側の方から歩道除雪車がやって来るのですが、我が家の前の除雪を終えると、そこで終わるのです。交差点まで行きません。残りは三十メートルだというのに。
 左三軒分の裏側三十メートルの歩道は、積もった分+車道の除雪で積まれた分で埋まります。

 その交差点までの三十メートルを、パートナーは自前の除雪機で除雪します。そもそもは、自分たちが車道を歩くのが嫌だったからなのですが、雪を除けたら我が家の前を通る歩行者は、みな歩道を歩いていきます。

 子どもたちだって、道路幅が狭くなっている車道を歩くよりもずっと安全です。雪に負けず、走って学校へと向かう姿を見ると、「いいことしたな」と思ってしまいます。

 ...わたしが労力を提供している訳でもないのに。

 元気な声を聞かせてくれていることへの、ほんの気持ちです。

サポート戴けた場合は、書籍購入など研鑽のために使わせて戴きます。