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【与太雑記】冬コミ原稿素案Ⅱ『第三章:高次存在-神(中編)』(メンバーシップ)

本文は冬コミ(C103)の原稿を素案という形で先行公開したものです。あくまで素案のため、同人誌に落とし込む際には適宜、追記・修正等が入る予定です。


TYPE-MOON第二期(魔法使いの夜以降)以降の設定


◯神代とは

・神代とその終焉
 神代。神々が支配者、星の霊長として君臨し、星に神秘が溢れていた時代は既に終わりを迎えて久しく、地上は人間の時代となった。この時代の変化はある日突然起きた訳ではない。様々な段階や出来事を経て、神代は終わりを迎えた。
 型月伝奇世界において『神代の終わり』と表現される出来事はいくつか存在する。支配者である神が地上を去った時か、あるいはその残滓が消え去った時か。神の代理人が死去した時か、あるいは完全に消滅した時か。誰に、何に着目するかで「終わり」が示す意味は異なってくるのだ。以下に主に神代の終わりに関連する主なイベントをまとめてみた。

 神代の終わりに関する出来事は大きく二つに大別出来る。一つは支配者である神の消失。もう一つは神を成立させる根源たる第五真説要素『真エーテル』の消失だ。

・神の消失
 神の消失は三つの段階を経て行われたと記録されている。その最初が紀元前12000年の「衰退」である。第二神代の黎明期として記録されるこの時代には既に後の各神話で語られる地球土着の神々、外宇宙からやってきたアトランティスの機神たちが存在し、支配者として君臨していた。そこに突如飛来したのが外宇宙に由来する遊星の尖兵たるヴェルバーⅡ、個体名「セファール」である。
 セファールはまず超大陸の北部から侵略を開始した。このソラからの脅威に対して地球土着の神々らは慌てて対策練っていたが、アトランティスの機神たちは自分たちも外宇宙出身であるため、セファールの脅威を軽視してしまっていた。しかし、セファールは対異星文明特化型の兵器であった。文明を破壊するほど上昇していく存在規模と能力。魔術、科学の手段を問わずに術式として加工された魔力を吸収し無効化する防御手段。結果、機神たちはあっさりとセファールに敗北し、彼らの母星由来の高い技術力で建造された『真体』は失われた。他の神話体系の神々も人間の庇護のため、セファールと交戦するもその大部分が敗北に終わっている。
 神々すら撤退させたセファールだが、最終的には星の内海にて六人の妖精に鍛えられた神造兵装、星の聖剣とその使い手である人間の聖剣使いによって、打倒されることになった。セファールは滅びたがその戦火の爪痕は大きい。機神たちにもたらされた技術で栄えていたアトランティスは滅び、先史神話文明は大きく『衰退』することになった。それでも世界の支配者、霊長の座は依然として神のものであった。だが、おそらくこの時、聖剣の担い手として人間が選ばれた時点で妖精たちが有していた『聖剣鋳造の資格』が妖精から人間へ譲渡されたと推測される。この神々の敗北と衰退、星の触覚たる妖精から人間への聖剣鋳造の資格の譲渡の二つが出来事をキッカケに、徐々にこの星の支配者の座は神々から人間へと移り変わることになった。

 神の消失の二つ目は紀元前2600年頃だとされている。神々が地上から消える神代末期たる『訣別』の時代だ。この時代に人間の文明は一度目の過渡期を迎えた。人の知恵の発達に伴い、地上に満ちていた神秘は減少し、地上の理は徐々に人間の知性に物理法則へ徐々に移行し始めた。これによって多くの古きモノが力を失った。神獣や幻獣等の幻想種は地上での活動が困難となった。大気の理を担っていた神々は指向性を失って、純粋な自然現象へ戻りつつあった。これがこそが人間の時代の始まり。人間がはじめて神から離れ、独立した黎明期である。
 地上を去った神々は天上へと移住し、大地は人間たちが統べることになった。それでも天上と地上は糸のようなもので結ばれていた。それもかろうじての話であり、人間の文明が発達し、神が不要となった時点で途絶えるのは自明であった。それに対してメソポタミアの神々は独自の手段で神代の延命を図った。それが天の楔。英雄王ギルガメッシュである。
 神代から離れていく地上を繋ぎ止め、人と神を繋ぐ『天の楔』という役割を与えられて、ギルガメッシュは神々に生み出された。これまでの支配者である神の血とこれからの支配者である人間の血を掛け合わされた混血。神と人間、どちらの視点を持ちながら最終的には神の陣営に付く超越者。神々の対策は正しかったが、問題はそうデザインされた筈のギルガメッシュが自らの役割を是としなかったことだ。ギルガメッシュは神々の思惑を外れ、人としてウルクを治め、"人の力のみで運営出来る"城塞都市を作り上げてしまった。これによって神々は「不要なもの」として証明されてしまった。結果、神々のいる天上と人間が住む地上をかろうじて結んでいた糸は途絶え、メソポタミア世界の地上から神々は消え去ることになった。

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